クリエイター3人で起業、経営と制作の2足の草鞋を履き続けて新卒を一線級に

東京
株式会社SiBaFu 代表取締役/CGディレクター 取締役/アニメーションディレクター 取締役/リードCGアーティスト
右から
今井 真司/五十嵐 丈久/長川 エリ

2015年に設立された株式会社SiBaFuは、“自由で気持ちの良い”映像作りを目指すCG映像の企画・制作スタジオ。かつて同じ大手映像制作プロダクションに所属し、意気投合して起業した3人の役員は、今もクリエイターとして業界の最前線に立ち続けつつ、新人の教育にも力を入れています。エネルギッシュに二足の草鞋を履き続ける原動力とは?代表取締役・CGディレクターの今井 真司さん、取締役・リードCGアーティストの長川 エリさん、取締役・アニメーションディレクターの五十嵐 丈久さんにお話をうかがいました。

3人で新たな可能性にチャレンジしてみたくて企業を決意。社名に込めた“原点”とは

代表取締役 今井さん

SiBaFuが設立された経緯を教えてください。

今井さん:僕たちは3人とも同じ大手映像プロダクションの出身です。そこでも同じチームに所属しており、私がリーダーを務めていました。SiBaFuを設立したのは2015年で、当時は僕が業界歴15年、長川が12年、五十嵐が8年ほどだったと思います。
以前の職場ではゲーム、映画、CMなど、さまざまなジャンルのCG映像を手がけていました。決して不満があったわけではありませんが、もっとチャレンジしてみたくなり、独立を決意しました。
長川さん:たまたま社内体制が変わるタイミングと私もキャリアに変化をつけたい時期が重なって、起業してみたいと思うようになりました。

SiBaFuという社名にはどのような思いを込めているのでしょうか。

今井さん:芝生のように気持ちが良く、自由なイメージを備えた映像を作りたいという思いが根底にあります。
五十嵐さん:「Simple,Basic,Fun」というコンセプトもあるのですが、僕らが起業を決意した頃によく話し合っていた場所が、芝生のあるカフェテラスだったのもあって、3人の原点でもあるねと、意見がまとまり決まりました。

3DCGを主とした映像制作事業をされていますが、ジャンルや比率はどのようになっていますか。

今井さん:ゲーム、映画、コマーシャル、企業VP(Video Package)、VR系などジャンルを問わず案件を受けています。案件の数は同じくらいですが、ゲームの案件はどれも作業の比重が大きいので、人員の比率としては7~8割がゲームの案件に従事しています。

今井さんは代表取締役、長川さんと五十嵐さんは取締役を務めておられますが、業務はどのように分担されているのでしょうか。

今井さん:僕が会社全体のことを見つつ現場をまとめるプロデューサー、ディレクターを兼任し、長川が総務・経理・労務、五十嵐がシステム周りを担当しています。
五十嵐さん:一般論として会社のトップの人数が奇数だと意見が割れがちだといわれることがありますが、弊社は常に3人で話し合い、落としどころを探しています。
長川さん:3人でそれぞれの角度から意見が出るのでなかなか意見が決まらない事もありますが、その分、決まった意見は後から正解だったと思える事が多いのではと思います。中には多数決で決めちゃうこともありますが(笑)

取締役 長川さん

クリエイターと経営者、二足の草鞋を履き続ける原動力は“創作の楽しさ”

みなさんはクリエイターとしても第一線に立ち続けていると聞きました。

今井さん:3人ともが以前はCG制作において一通りの事をこなしてはいましたが、現在の業務ではそれぞれの得意分野を担当することが多いです。僕は演出やレイアウトなどを中心にカットシーン制作全般を得意とし、長川はCMやVPのCG制作全般を幅広くまとめて担当することが多く、五十嵐は、ゲームや映画、CMなど幅広い分野でキャラクターアニメーションを中心に、アニメーション全般を得意としています。

設立から9年、ずっと二足の草鞋を履き続けているのですね。その理由は何なのでしょうか。

今井さん:皆で協力し合って映像制作をするのが好きだからですかね(笑)
二足の草鞋を履くのは大変ですが、今後も“履き続ける”ためには、僕らも成長し続けなければならないと思っています。
しかし、僕らを含めた従業員数はもうすぐ15人になります。人数が増えるにつれて役員として把握しておかなければならない情報も増えますので、今は現場で僕らの代わりを務めてくれるリーダーをいかに育てるか、というのが目下の課題です。

取締役 五十嵐さん

クリエイティブへの信頼が可能にした“営業いらず”。アニメーション制作に定評

ゲーム「モンスターハンター」や「クレヨンしんちゃん」など、多数のヒット作に参加しておられます。大手CGプロダクションやゲーム会社などとの関係性を構築・維持できている御社の強みはどこにあるのでしょうか。

今井さん:大手映像制作プロダクションに所属していた頃からのご縁のたまものです。その頃に一緒に映像制作をして信頼してくださるようになった方たちが、今日でもいろいろと声をかけていただける事が多いです。SiBaFuは設立以来営業活動をほぼ行っていませんが、途切れることなく何らかの案件をいただけています。

設立年や資本金など、基本的な企業情報だけでは見えてこない強みがあるのですね。クリエイティブ面における御社の強みも教えてください。

今井さん:CG映像制作の企画・絵コンテから最後の仕上げまで一貫して制作できることや、その中でも特にキャラクターアニメーションに定評があると自負しています。ゲームのカットシーン制作案件では演出やアニメーションスキルが特に必要になりますし、CMやVP制作などでは、モデリングやエフェクト、ライティングやコンポジットなど幅広いスキルが必要になります。そうしたさまざまな案件に幅広く対応できるのも弊社の強味ですね。

若手スタッフは自分たちよりもっと先へ進んでほしい。“映像への情熱”を大切に

スタッフの採用や人材育成で心がけていることを教えてください。

今井さん:弊社は、中途採用よりも新卒採用からのスタッフが多いのですが、そのスタッフたちがOJTで、一緒に色々な壁を乗り越えて経験を積み、今ではやっと現場のリーダーを担ってくれるまでになっています。一緒に成長して、一緒に映像制作を楽しみ、頼れる存在になってくれたらと思っています。
五十嵐さん:若手スタッフを指導する際は、自分であればどのようにするかという手順やワークフローをできる限り目の前で実演することを心がけています。人数が手の届く範囲であるからこそ、できることですね。
また、彼らが壁にぶつかったり悩んだりしている時は、こちらで提示できる回答は速やかに教えるよう心がけています。「まずは彼ら自身に考えさせるべき」というのも一つの考え方ですが、僕が10年をかけて学んだことを数年間で教えてあげられれば、彼らは10年間で僕よりもっと先に進めるし、その分会社を引っ張ってくれる存在になると考えているからです。
長川さん:先ほど今井が語った「自由」というコンセプトは手がける映像だけでなく働き方にもいえることで、弊社は設立当初からリモートワークにも対応しています。ただ、リモートワークには対面でなくとも意思疎通を問題なく行える高いコミュニケーション能力が必要であると考えています。

最後に、御社を志望する学生へのメッセージをお願いします。

今井さん:能動的な姿勢を忘れず、新しいことにチャレンジし続けられる人を歓迎します。僕らも、背伸びし続けてきたからこそ今があると思います。
また、ポートフォリオの優劣だけで採用の可否は判断しません。学生時に積み上げた技術の差は、社会に出てから追いつき、追い越せる程度のものである事がほとんどです。CG映像が好きだ、良い映像を作りたいという思いの強さの方が重要です。
長川さん:学生時代に学べるのはせいぜい数年ですが、仕事は何十年と続けるものですしね。
五十嵐さん:お2人の意見に同意ですが、たとえ拙いところがあるとしても、好きだからこそどれだけの時間を費やし、準備し、形にしたのかが伝わってくるポートフォリオを見せてもらえるとうれしいですね。
今井さん:そのためには、自分の“好き”を正確に捉えることを意識してみてください。なぜ好きなのか。どういうところが好きなのか。それを踏まえ、自分はどのような映像を作りたいのか。そこまで意識できれば、日々の学生生活から得られるものが如実に変わると思います。

取材日:2024年2月22日 ライター:蚩尤

株式会社SiBaFu

  • 代表者名:今井 真司
  • 設立年月:2015年3月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:映画、ゲーム、CMおよび各種映像メディアにおけるCG映像の企画、制作、興行
  • 所在地:〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2-37-2 SiBaFuビル
  • URL:https://sibafu.co.jp/
  • お問い合わせ先:上記HPの「CONTACT」より

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