職種その他2024.01.10

石川の魅力を「埋もれさせない」地方にこそPRを。母親起業家、打率1割でもまず行動

金沢
株式会社オフィスシュナイダー 代表取締役
Tejima Sieglinde
手島 シークリンデ
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石川県を拠点に、伝統工芸品や和菓子をはじめ飲食店や印刷会社など多岐にわたる「素晴らしいもの」たちに光をあてたPR・ブランディング事業を展開する株式会社オフィスシュナイダー。代表の手島シークリンデ(てじま シークリンデ)さんは、「いくら素晴らしいものをつくっても、伝えなければ、ないのと同じ」という、かつてスティーブ・ジョブズが残した名言そのままを、この地で実践されています。コンセプトは「お客様の夢を仕立てる」こと。お客様ファーストだからこそ生まれた枠にとらわれない事業、またビジョンについてお伺いしました。

ミーハー視点がカギ?地域と人をつなぎ魅力を広める「お客様の夢を仕立てる」PR事業とは

事業コンセプトやその内容について教えてください。

「お客様の夢を仕立てる」というコンセプトを掲げています。「仕立てる」というワードは、私の旧姓「シュナイダー」に由来します。父がドイツ人でして古くから洋服の仕立屋さんにとても多い名前なんです。大好きな旧姓と、その背景にある歴史を含めて「お客様の夢を仕立てる」をコンセプトにしていこうと考えました。
メインはPR・ブランディングという事業形態で販路の開拓や商品の企画、コンセプト立案やロゴ制作、レセプションの運営、PR動画制作などを行なっています。私自身ミーハーな視点を逆手にとって強みとしているので、今のトレンドを把握した戦略をお客様に提案しています。メディアPRだけではなく、ユーチューバーやインフルエンサーの方々とタッグを組んだり、動画制作やSNS発信など時代に沿った手法で展開したりしています。

御社の強みを教えてください。

PR・ブランディングだけでは、お客様の「夢の実現」には追いつかないので、伴走するような形で、あらゆる面でサポートをさせていただいております。
例えば、女性の意見をもっと取り入れたいというご要望があれば、ターゲット層の座談会を開催したり、サービス業のクライアント様には人材育成を行うこともあります。個々に応じて、柔軟な対応ができることも強みの一つです。

お客様の9割強が満足。伴走する事業スタイルで得た「信頼」という人脈

もはやPRとは関係ない分野まで担われていますね。

そうなんです。「一緒に成長していく」という思いで取り組んでいます。すると、クライアントさんも「この人に任せて良かった」と思ってもらえる。私としては、やっぱりこれがうれしいですし、長期的な契約につながることが多いです。
実際、起業して7期目になりますが、自ら営業アプローチをしたことはないんです。もうちょっと営業しなきゃいけないとは思っていますが、口コミと紹介と問い合わせフォームからの案件とですべて賄っているようなかたちです。

現在は、どうのような分野の企業を担当されているのでしょうか?

飲食、宿泊施設、医療関係、老舗の和菓子店、地元の食品業界、印刷会社などさまざまですね。
あとは石川県のみにとどまらず、京都でもレセプションとPRに携わりました。最近は首都圏のお客様からのご依頼も多いです。ご依頼があれば石川県に限らずどこへでも手配します。

お客様の反応はいかがでしょうか?

9割強のお客様に「頼んで良かった」と、とても喜んでもらえています。新聞や雑誌に掲載されたり、お客様が列をなしたりして、目に見える成果が出るので、私自身も達成感があります。

母として、妻として、娘として…ライフステージの変化が起業のきっかけに

2018年に起業されるまでの経緯を教えてください。

東京でアパレルの仕事に従事し、直近ではイタリアブランドのプレス・PRとして約8年間携わりました。
女性って人生のライフステージでいろいろなことが起こりますよね。妊娠出産、子育て、はたまた、親の介護…。当時、私は初めての出産に加えて母親が病に伏してしまう状況に直面しました。母親に寄り添いたい、起業もしたい、大好きな石川県を活性化させたい―。すべてが重なり合って石川県を拠点にやりたいことを全部やろうと決めました。

「良い商品の開発=ゴール」ではないことを伝えたい

地方でのPR事業展開について、都心部とは異なる部分はありましたか?

都心との違いはとても大きいです。地方では、広告宣伝費に充てる予算は必要ないと考える傾向にあります。また、PR事業自体をご存じないという企業もとても多かったですね。
良い商品の開発=ゴールという発想になりがちなんです。これはまさに、「どんなに素晴らしいものを作ってもそれを伝えなければないのと同じ」というスティーブ・ジョブズの名言通りで、多くのお客様の手に渡って満足してもらえるまでがゴールであり、売り上げにもつながると思っています。金沢って伝統工芸をはじめ素敵なものがたくさんあるんです。それらを埋もれさせないアプローチがもっと必要だと感じています。

地方にこそ、広告費0円で発揮する「PRの力」を

神社庁にてPRの講習会を開催

地方にこそPRの力が必要なのではと、強く感じました。

まさにそうですね。広告はCMや新聞の広告枠、雑誌などに掲載する際、露出のボリュームに応じてそれなりの料金が発生しますが、PRってほぼ0円でできるんですよ。例えば、プレスリリースの書き方や配信の仕方によっては、いろいろなメディアにアプローチができます。それによってメディアに露出できた場合、広告費に換算すると3億円以上の成果を上げることができるんです。もちろん、PRはプレスリリースの配信だけでは足りないので、弊社だからこそできる細やかなアプローチ、幅広い人脈を駆使した打ち出し方を行っています。なので、まず、そういったことを丁寧に説明してお客様に納得していただくところから始めています。

打率1割でもとにかく行動、石川県の「いいもの」を広めたい。長きメディアアプローチへの道のり

地域にあまり馴染みのない事業をどうやって広げていったのでしょうか?

最初にお任せいただいたお仕事で、地元メディアに初めてアプローチした際、「広告出稿ありきのPR」が当たり前という風潮だったんです。これは、相当なカルチャーショックを受けましたね。
これでは石川県の「いいもの」が世の中に広がっていかないな…と、この部分を切り崩していくことから始まりました。結果、無料で取材していただくことができて、本来のPRの形をどんどん増やしていったという感じですね。

赤面症だった自分を変えたのは、自分。人は「いつからでも変われる」

地元になじみのない事業を広げていくのは相当ご苦労があったと思いますがどのように乗り越えられましたか。

嫌なことは全部忘れてしまうのですが…(笑)。まずは、やっぱり行動あるのみですよね。待っているだけじゃ始まらないので、軽く投げてみる。もう10球打って1球当たればいいぐらいの感覚でやっています。取材をお願いしても、やっぱり断られる。だったらもう、もう次、次、次っていう感じで。

メンタル面はもともと強かったのでしょうか?

まったく違うんですよ。真逆なんです。本来は赤面症で初対面の方とはなかなか話せないタイプでした。意見を求められたりしても話せない。でも、自分で変えていかなきゃいけないんですよね。
そういった意識を変えていくためには、1日のルーティンから変えてみるだけでもいいと思うんです。朝起きたら太陽を浴びて1日のスタートに感謝するとか。やっぱり感謝の気持ちを持つことは、本当に大切だと感じています。「自分で自分を変えようとも思えば、いつからでも変われる」ということを私自身で証明している感じですね。

人との縁は、持ち前の「偶察力」が呼び水に

仕事に欠くことのできない人脈を広げるためのヒントがありましたら教えてください

「ここ、なんか私求められてそう」っていうところには自ら積極的に行きます。とてもいいものを作っていらっしゃるのに、世の中にうまく出せていないとか、何か大きなものを作ろうとしているのに、その運営に困ってそうだなとか。それを見つける感度が、人よりも高いと思うんです。

動画制作から販路開拓まで幅広く展開されていますが、細分化された事業のプロセスを教えてください

その分野に強い人たちとチームを組んで一つ一つのプロジェクトを進めています。適材適所といいますか「餅は餅屋で」と言われるように、分野ごとにプロのクリエイターに外部委託しています。私が「この人だったら絶対できる」と責任と確信を持てる方としかチームは組まないと決めているので、そのプロジェクトに応じた人を集めて取り組んでいます。

過ぎていく日常の一瞬を「立ち止まる」ことの大切さ

ともにチームを組むクリエイターのみなさんに求めるものはありますか?

トレンドをおさえた美的センスです。あとはスピード感も大切なんですけど、相手の気持ちを理解しながら丁寧に物事に取り組むことがベースに必要だと感じています。スピードの中にも丁寧さがないと、結果的に仕上がりが雑に見えます。

「センスがある」とは、どういうことなのでしょうか。

クライアントさんの思っていることをちゃんと理解し形に落とせること。これってすごく難しいと思うんですけど、言わんとすることを表現できる人っているんですよね。
目に見えない、言葉に表現できないものだからこそ、日ごろからいろいろなものをたくさん見てきた人って、ちゃんと落とし込むことできるんだと思います。きれいなものを綺麗だって思うこと、一つ一つ物事に感想を持つなど、さっと流しがちな日々の中で、立ち止まって「どこが良かったのか、何で売れなかったのか」とか、自問自答してほしいなって思います。

クリエイターたちとチームを組む際に心がけていることはありますか?

ご依頼いただいた企業の背景、経営者のストーリー、紆余曲折のストーリーが必ずあると思うので、そういう背景もちゃんと説明したうえで、今やろうとしていることの本題に入ります。
それらのストーリーが必ず事業に影響を与えているため、その部分はしっかり伝えます。

地元の素晴らしい伝統工芸や文化を、多くの人に広めるために


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展望についてもぜひ聞かせてください。

地元が誇る素敵な伝統工芸やものづくりなどの産業をより多くの方に広めていきたいと思っています。地方には譲れない伝統を守りながらも、時代にあわせて発展し続けている方が実はたくさんいます。そういう方々が持つ技術や素材のポテンシャルをもっと世間に知ってもらう仕掛けを作りたいですね。意外な物との組み合わせや、影響力のある方とのコラボによる共同商品開発など、地方の伝統産業の新たな道を拓くコーディネーターとしてチャンスをつかみたいと思っています。

過ぎていく日常の一瞬を「立ち止まる」ことの大切さ

これから起業する方、そしてクリエイターの方々に何かアドバイスをいただけますか?

私は思いついたことをとにかくメモをするようしているんです。本を読んで刺さったフレーズや、次の仕事のアイディアなど、思いついたらなんでも書きます。信号待ちの時でも書き留めます。
その一瞬、ふと思い浮かんだことって忘れてしまうのが人間ですよね。「センス」を養うという前段の話にも共通しますが、とりこぼさないように立ち止まり、自身に落とし込むことが大切ではないかと思います。

取材日:2023年11月17日 ライター:新谷 永里子

株式会社オフィスシュナイダー

  • 代表者名:手島シークリンデ
  • 設立年月:2018年4月
  • 資本金:100万円
  • 事業内容:飲食店経営・PR業・ブランディング業
  • 所在地:〒920-0901 石川県金沢市彦三町1-2-1 アソルティ金沢彦三1F
  • URL:https://officeschneider.com/
  • お問い合わせ先:TEL 076-293-1733

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