WEB・モバイル2023.06.07

クリエイティブで香川を「住み続けたい」地域へ。反面教師で見出した、豊かな「働き方」とは

高松
株式会社NEOWERT(ネオヴェルト)代表取締役
Yoshitaka Yoshikawa
吉川 佳孝

ホームページ作成からSEO・運用サポート、Webアプリケーション開発など、ITを中心とした広告代理業をおこなっている香川県の株式会社NEOWERT(ネオヴェルト)。代表取締役兼フロントエンジニアの吉川 佳孝(よしかわ よしたか)さんは、「ITで生まれ育った地元、香川県を盛り上げ、子どもがずっと住み続けたい地域にしたい」と日々奮闘しています。一方で、完全テレワーク×基本残業なしの職場環境を実現し、社員のプライベート時間の確保やスキルアップできる環境作りにも努めています。完全テレワークを推奨している背景や高品質なクリエイティブを生み出す秘訣、地元への思いについて、伺いました。

周囲のクリエイターを巻き込んで、それぞれの得意分野を最大限活用

NEOWERTを立ち上げるまでのキャリアを教えてください。

地元の高校を卒業後、大阪にあるゲーム・クリエイティブ関連の専門学校に入学しましたが、1週間で中退しました。自分でITの勉強をしていたので、学ぶことがあまりなく、おもしろさが感じられなかったからです(笑)。都会でさまざまな経験を積みたかったので、そのまま大阪で約3年間、アルバイトをしながら生活していました。
21歳のときに大阪から地元に戻り、広告代理店で約4年間働きました。私は営業から制作まですべて個人で任されており、24時過ぎに退勤したり、朝日が昇る時間まで働いたりすることも……。業務量は非常に多かったのですが、デザイナーやシステムエンジニアの方々とコネクションを築けました。その後、仕事でも私生活でも柔軟に対応できる個人事業主になりたいと考え、広告代理店を退職しました。個人事業主として約7年間活動した後、NEOWERTを設立しました。

NEOWERTを設立したきっかけを教えてください。

2020年のコロナ禍が大きなきっかけです。コロナ禍で企業の業績が下がり、個人事業主ではなく、社会的に信用できる会社に仕事を依頼したいというお客さまが増えたのです。また、当時は多くの案件を抱え込んでおり、自分だけですべての案件をこなすのが難しい状態でした。そのため、広告代理店で働いているときに知り合ったデザイナーやシステムエンジニアの方々と協力して、会社を一緒に運営することに決めました。
デザイナーはホームページのデザインは考えられますが、プログラミングの領域が苦手だったり、システムエンジニアは技術力がすぐれていますが、営業が苦手な人が多かったり……。それぞれの能力を最大限活用できない、もったいないケースも数多く見てきました。自分はお客さまが困っていることを聞いたり、解決策を提案したりするのが好きなので、それぞれの不得意分野を埋め合わせるように活動すれば、「それぞれの持ち場で能力が最大限発揮でき、お客さまに本当にいいものを提供できる!」と考えたのです。

プロフェッショナルとの密接な連携とスピーディーな返答が信頼につながる

現在の事業内容について教えてください。

ホームページ作成・リニューアルや運用サポート、Webアプリケーション開発など、ITを中心とした広告代理業をおこなっています。これまでに宿泊施設・芸能事務所・弁護士法人・建設会社・電力会社など幅広いジャンルのホームページを手がけてきました。今期(第3期)からSEOを中心とした事業も立ち上げ、お客さまに集客効果をしっかり感じていただけるよう、検索ページ上位にヒットするコンテンツの書き方などもお伝えしています。

御社の強みはどのようなところにありますか?強みが発揮された事例も教えてください。

デザイナーやシステムエンジニアのプロフェッショナルと密接に連携しているので、高品質なクリエイティブを提供できることですね。技術力の高さ・予算に応じた最適な実装の提案なども信頼され、口コミや紹介で多くのお客さまから案件をいただいています。
個人事業主として約7年間活動してきたので、デザインやプログラミングに精通しているのも強みの一つです。お客さまとの打ち合わせで、「こういう機能を追加したいです。どう思いますか?」「どのくらい費用がかかりますか?」と相談されたときにすぐ返答できるので、返答を待っている間にお客さまが感じるストレスは非常に少ないと思います。このスピード感もお客さまからの信頼につながっていると考えています。

ITに関する知識が疎いお客さまとは、どのようにして案件を進めているのですか?

最初の打ち合わせは、お客さまの考えや予算について約2〜3時間じっくり話し合います。お客さまもその道のプロフェッショナルですし、弊社はホームページ作成・運用のプロフェッショナルです。まず、お互いに意見を言い合えるような関係性を作ることが大切だと考えています。お互いに不信感があって一歩引いた状態で話をしても、本音が聞き出せないので本当にいいものが作れません。

お客さまの反応は口頭で伝えてクリエイターのモチベーションを高く保つ

現在の制作体制について伺います。どのようなクリエイターが在籍されていますか?

社員はデザイナー1人、フロントエンジニア2人、システムエンジニア1人です。社外の個人事業主とも連携し、10人くらいで仕事をしています。完全テレワークなので、自宅での作業がメインです。ビジネスチャットツール「Chatwork」やWeb会議サービス「Zoom」を使用して、業務の進捗状況や困っていることなどを確認しています。

完全テレワークを推奨している理由を教えてください。

過剰なコミュニケーションを避け、業務に集中する時間を作れるからです。通勤時間なし×基本残業なしなので、プライベートな時間をしっかり確保でき、ワーク・ライフ・バランスも充実します。そしてそれが、高品質なクリエイティブを生み出せるカギだとも考えています。広告代理店で働いていたときに感じた「誰かが先に帰るまで帰りにくい」という職場の雰囲気も嫌いなので。

広告代理店とはまったく逆の考えなのですね。

反面教師です(笑)。将来、社員が家庭を持ち、お子さんが生まれたときに、親の帰りが遅くて、お子さんが親の顔をなかなか覚えられないという状況は絶対に避けたいのです。夜は家族とコミュニケーションをしっかりとれる会社にしたいと考えています。また、少子高齢社会で、親の介護で家を離れることが難しい方が増えてくると予想しているため、そのような方々にも配慮して、完全テレワークをこれからも継続したいと考えています。

社員のモチベーションを保つためにどのような工夫をしているのですか?

自宅での作業が続くと制作のモチベーションが下がったり、達成感があまりなかったりするので、「制作したものを公開したよ!」「お客さまが喜んでいたよ!」など、お客さまの満足度や意見はZoomで直接伝えるようにしています。「○○○を制作した」だけで終わらせず、次の案件でもお客さまを喜ばせたいと意欲がわくような運営を心がけています。
第1期のときはかなり忙しかったため、チャットツールだけのやりとりが多く、Zoomで直接コミュニケーションがとれていませんでした。そんなときに社員から「最近テンションが上がらない。朝起きてコーディングしてごはんを食べて眠っての繰り返しで、生活があまりおもしろくない」という相談がありました。社員のメンタルケアについて、不十分だったと反省し、「しまった!」と感じました……。それからは、ほぼ毎週月曜日はZoomで話したり、定期的にランチミーティングを開催したりして、コミュニケーションを促進するようにしています。

子どもが「住み続けたい」と思える地域づくりを。クリエイターの育成にも注力

今後どのような会社にしたいとお考えですか?御社が目指していることや新しい事業、将来のビジョンなどを教えてください。

社員教育や対外的な研修などを充実させたいと考えています。クリエイターのスキルを伸ばすには、家で作業するだけでなく、外に出て新たな知識を身につける必要があるので、デザインコンテストなどに社員を参加させたいと考えています。また、地域貢献ができるような会社の運営も心がけていきたいです。

香川県内の案件が非常に多いと感じました。地元のこれからを盛り上げたいという思いを教えてください。

仕事で大阪や東京に行ったりしますが、地元に帰ってきたときのゆったりとした空気感と安心感がすごくいいのです。自分の子どもが10〜20年後に「香川県に住み続けたい」「香川県で仕事をしたい」と思えるような環境にしていきたいですね。
香川県は日本で一番面積が狭い県ですが、災害が少なかったり、自然が豊かで住みやすかったりといろいろとメリットもあります。サンポート高松エリアに四国最大級のアリーナが2025年にオープンしたり、ほかにも外資系ホテルが建てられたりなど、さまざまな施設が誕生する予定なので、香川県はこれからどんどんおもしろくなりそうです。そこで、私たちが新しい施設をより魅力的に発信できるか、どれだけ集客率を上げられるかが焦点になってくると考えています。私たちの発信に刺激を受けた県内の大学生や県外の方々が、「もっとこういうのがあったらいいな」と考えて新しいイベントなどを企画すると、香川県はさらに盛り上がっていくと思います。

お客さまに必要なものを考えて提案できるクリエイターを積極採用

一緒に働くクリエイターに対して、御社としてどのようなことを求めますか?また、今後の採用についてどのようにお考えですか。

一番大切なのはお客さまのことを考えてものが作れるかです。お客さまに寄り添った機能を実装し、「こういう機能があればさらに便利になる!」とディレクターである私に積極的に提案できる人物ですね。 弊社ではお客さまとの打ち合わせなどは私が担当するので、対面で話したり、作業したりするのが苦手な方でも、得意分野を最大限活用して制作できると思います。
また、新しいプログラミング言語やバージョンなど、日々アップデートされるIT技術を積極的に取り入れるなど、向上心も大切です。専門学校の夜間教室などでデザインやWebを意欲的に学んでいる方、これからデザインやWebについて学びたいという方は、Photoshopなどの業務上必要なツールの知識があれば、積極的に採用を考えています。プロフェッショナルと一緒に実務をこなし、愉しみながら経験を積んで、ポートフォリオを充実させていきましょう。

取材日:2023年4月25日 ライター:宮澤 剛史

株式会社NEOWERT

  • 代表者名:吉川 佳孝
  • 設立年月:2020年12月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:ホームページ作成、SEO対策・サイト分析/解析、Webコンサルティング、Webアプリケーション作成、グラフィックデザイン、広告代理業
  • 所在地:〒761-8044 香川県高松市円座町364-11
  • URL:https://neowert.co.jp/
  • お問い合わせ先:https://neowert.co.jp/contact
  • 電話番号:087-880-4755

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