WEB・モバイル2023.01.11

人がつながり、学び、吸収できる場所をつくりたい。地方で働くために必要なモノとは?

新潟
合同会社Prototype Cafe 代表
Yuki Kikuchi
菊地 優基

国内外の企業数社を渡り歩いた後、49歳の時に独立し、その後家族とともに新潟へ移住。システムエンジニアリングサービスを提供する、合同会社プロトタイプカフェを設立した、菊地優基(きくち ゆうき)さん。システム開発などの技術提供を事業の主軸としながら、IT/IoT/デザインに関わる方々の交流の場として自社スペースの一角を開放しています。 菊地さんが大事にしているのが、学びと吸収、成長の場として開催している勉強会です。「自分を知る場」と菊地さんが話す、勉強会への想い。クリエイターが地方で働く意義や可能性について、お話を伺いました。

どこにも転職できなかった結果49歳で独立し、数年後家族とともに新潟へ移住

会社設立までの経緯を教えてください。

新潟大学理学部を卒業後、研究職につきたくて、組み込み系エンジニア職種としてアルプス電気株式会社に入社し17年間勤めました。その後3回勤務先を変えて、独立することになります。当初は、独立する気はなかったのですが、最後の勤め先である外資系の企業が日本での事業縮小を決定、人員削減を行うことになりました。しかし社内でだけ働いていたエンジニア49歳では非常に転職市場は厳しく、やむを得ず2012年に独立し、2021年に法人化しました。

49歳での決断。非常に勇気が必要だったのでは?

勇気というより、とにかく誰も雇ってくれないのに家族を食べさせないといけない。(笑)独立しようにもどうしたら自分で稼げるのか何も分かりませんでしたから、起業塾のようなところに行ってみたり、経営大学院にもはいり、事業戦略を考えました。仕事をもらいにいく時に仕事を割り振ってくださる営業さんが手短にいうと「何をいくらで売りたいのですか?」と聞いてきたのが会社員エンジニアだった自分にとって衝撃で、それがマインドセットを変える一つのきっかけになったとも思います。

なぜ、新潟で起業されたのですか?

私が新潟の大学に進学し、4年間住んでいた経験があったからです。平野が開けた街で、新潟市内であれば、思っていたより降雪量も少ないです。私が特に気に入っていたのは、新潟の夏。5月から9月は晴れっぱなしというか、本当に天気がよくて、過ごしやすいんです。東京だけでない日本のどこかに子どもたちを連れてきたい。一緒に生活をして、子どもと向き合う時間を取りたいと考え、東京から新潟へ家族全員で引っ越してきました。

新潟から首都圏のクライアントにSESを提供、IT/IoT/Web/デザイン/スタートアップに興味のある人が利用するオープンスペースも運営

御社の業務内容を教えてください。

SES(システムエンジニアリングサービス)を提供しています。クライアントさまが求める成果物を作るお手伝い、技術力の提供というのが主な業務内容ですね。

具体的にはどのようなお仕事になるのでしょうか?

実にさまざまです。パソコン上で動くソフトウェアの開発や、回路基板の製作、基板の中で動くソフトウェア、アプリ開発……。システム開発に関わる、多様なニーズに対応しています。クライアントとしては、県外の企業さまがほとんどです。

また、ITや起業に対して興味を持った方の交流の場としてオープンスペースを設けていると伺いました。

はい、自社スペースの一角を開放しています。非営利の各種勉強会コミュニティにご利用いただいています。勉強会に参加される年齢は幅広く、小学生から60代の方まで、多様な方がいらっしゃいます。

カフェには菊地さんが開発した製品も(上図)

なぜ、交流の場をつくろうと考えたのですか?

そもそもは私自身、個人事業主として都内から新潟に移住してきた関係で、新潟に仕事の知り合いが多くいるわけでもありませんでした。ですので、新潟でエンジニアリングコミュニティをつくって、いろいろな人とつながっていきたいという想いから始まりました。私の心理的安全のためという側面もありますね。(笑)いろんなコミュニティに参加したくてひとつの場を提供しています。

勉強会を通して、刺激と新しい知識を得る

御社名「プロトタイプカフェ」に込めた想いを教えてください。

秋葉原にあった「はんだづけカフェ」という場所から発想しました。現在は閉店してしまいましたが、株式会社スイッチサイエンスという電子部品の開発や製造、販売をされている会社さんがお客さまと触れ合う機会の創出を目的にオープンした場所でした。
大企業でユーザーの顔が見えない仕事をしていた私は、独立を決めた後、人としてお付き合いできる仕事をしたいと強く思うようになりました。人と人が出会える場所。そんな意味合いから「カフェ」という言葉をイメージするようになりました。そこに「プロトタイプ」を合わせたのは、実験の場になればという想いから。道具があって、作業ができる場所で、いろいろと試せる。そういった意味を持つ「プロトタイプ」を組み合わせました。

御社のホームページに記載されている、オープンスペースでの「勉強会の開催」にその想いはつながるのでしょうか?

まさしくそうですね。さまざまな刺激を与え合える場所にしたい、という想いが強くあります。私は元来「さまざまな場所で、いろいろな経験をしてくることは大切」だと考えています。場所が違えば、常識だって変わりますし、物事を捉える視点だって変わる。多くの人と関わることはこれに似ていて、人と話すことで、自分を知り、自分の人生を生きることができるようになると思っています。「自分の武器はなんなのか?」「どういったことが得意なのか?」「何をしたいのか?」……。一方的に話を聞くセミナースタイルではなくて、お互いがお互いに話をする勉強会スタイルに私がこだわる理由でもあります。

勉強会について具体的に教えてください。

IoTやモノづくりを始めるきっかけの場所になればという思いから「IoT LT新潟」と題して、Io TについてLT(ライトニングトーク)、5~10分程度の短時間のプレゼンテーションをしていただく、意見交流会にも似た勉強会を実施しています。こちらの参加者も実に多様で、IoTに興味はあるけれど知識ゼロの女子大生だったり、すでにエンジニアとして就職されていて、さらなるスキルアップを目指す40代の方であったり……。開催するたびに私も多くの刺激を得られるので、非常に楽しい時間です。

誰でも参加できるのですか?

はい、IoTに興味があればどなたでも参加していただけます。新型コロナウイルス禍となり、回数は減ってしまいましたが、年に何度か開催しています。詳細は、弊社のホームページ やTwitter に随時アップしているので、興味のある方はそちらを参考にしてください。

新潟には他にも同様の勉強会がありますか?

はい、私が始める以前から複数の会があり、相互乗り入れ的に、それぞれの会を行き来している方も数多くいらっしゃいます。新潟は南北に長い県なので、各地に会が点在しています。それぞれの会に参加することで、より幅広い人脈ができ、さらに多くの学びが得られますね。

自分をみつけたら世界のどこでも楽しく生きていけると伝えたい
地方でも収入を諦める必要はない

今後、どのようなことをしていきたいですか?

自社をどうしようかというのは正直言って迷っています。ただ誰も私を雇ってくれなくてほんとによかった(笑)と思っていて、だからこそ会社の外の方々やコミュニティ・学校とのつながりができ、こんなに楽しい仕事をさせていただいていると思っています。 地方に来たら収入が減るとかよく聞きますが、そんなことはありません。機会は首都圏だけではなく、地方でも海外でも、楽しく、自分のしたいことをしながら、生活できる術がある。そういった今の時代にマッチした文化ができあがり始めていることを一緒に発信できる方を募り一緒に事業化していきたいという想いもあります。私の近くに来てくれて、私が経験したものすべてを伝えたいと思わせてくれる熱意のある人、そんな人がいないかな、と考えています。

菊地さんが一緒に働きたいと思う方のイメージ像を聞かせてください。

独立したいという気概があるくらいの方と働きたいですね。独立したけれど、どうしたらいいのか分からない、そういった方にこそ、私が培ってきたものを伝えたいと思います。

取材日:2022年12月14日 ライター:コジマタケヒロ

合同会社プロトタイプカフェ

  • 代表者名:菊地 優基
  • 設立年月:2021年3月
  • 資本金:100万円
  • 事業内容:システムエンジニアリングサービス、オープンスペース運営
  • 所在地:〒951-8061 新潟県新潟市中央区西堀通二番町778番地 ⻄堀シャルム201号室
  • URL:https://www.prototype-cafe.space
  • お問い合わせ先:050-3708-3042

※掲載の社名、商品名、サービス名ほか各種名称は、各社の商標または登録商標です。

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