「お伊勢参り」を支えた問屋街@伊勢・河崎

Nagoya
ライター
chocotabi vol.5
加藤 デコ

多くの参拝客が訪れる伊勢神宮。古くから日本人の憧れの地です。

江戸時代にはお伊勢参りの爆発的な流行が何度も起こり、

日本の人口が3000万人といわれるなか、

年間400万人を超える参拝客があったと言われています。

河崎は、そうした参拝客たちのおもてなしを支えてきた問屋街です。

水運を利用し、物流の拠点として繁栄した河崎で、「伊勢河崎商人館」を訪ねました。

 

 

河崎一の大店、「小川酒店」

伊勢河崎商人館は、酒問屋「小川酒店」の家屋を保存し、見学できるようしたもの。

一時、取り壊しの危機もありましたが、

現在はNPO法人伊勢河崎まちづくり衆により管理・運営が行われ、

住民有志もボランティアとして運営を支えています。

 

小川酒店は、敷地約1,000㎡の広さを誇り、

江戸~明治期に建てられた蔵7棟、町家2棟をもつ商家です。

創業は元禄年間(17世紀後半)。

灘の清酒「白鹿」の東海地方トップの代理店でもあり、

当時の看板が掲げられています。

伊勢でも有数の大店です。

 

 

茶室や応接間のしつらえは、まさに大店

主屋1階で目を引くのは、なんといっても茶室。

庭からの風で畳の香りがふんわりと漂い、清々しい気持ちになります。

この茶室は、明治末期に京都・裏千家から許しを得て「咄々斎」を写したもの。

8畳の茶室に6畳と5畳の控えの間があります。

 

 

欄間やふすまの引手の意匠も目を引きます。

また、2階への階段は黒光りし、時の流れを感じさせます。

 

一方、1階には商談に使われた応接間も。

こちらは、大正時代に作られた離れの間で、

暖炉や照明など茶室とは全く異なる洋風のしつらえです。

 

日本最古の紙幣「山田羽書」を見る

 

 

 

伊勢河崎商人館でぜひ見学したいのが、地元の歴史資料の展示館。

なかでも希少なのが17世紀の初頭から使用され、

日本で一番古いとされている紙幣、「山田羽書」です。

当初、個人の手形のようにして使われ、

その後、伊勢(山田)の商人が売買に使用するため

幕府公認の元で発行されるようになりました。

 

当時の商取引では、関東では金、関西では銀が主流。

中間地点に当たる伊勢では金と銀が混在し、迅速な取引の妨げとなったこと、

少額の取引に預かり手形が増えたことなどもあり、

山田羽書は普及していきます。

幕府公認となったのち、

明治初頭まで伊勢の経済を支える紙幣として使われていました。

 

勢田川に船が着くところを想像しながら

伊勢河崎商人館のすぐ近くには「川の駅」があります。

駅舎は100年以上前の醤油蔵を利用したものです。

水運が主流だった時代には、川沿いには蔵が建てられ、

舟から荷を直接納めたり、岸で荷車に乗せて蔵まで運ばれたりしました。

伊勢河崎商人館までは、近鉄伊勢市駅・近鉄宇治山田駅から歩いて15分ほど。

伊勢神宮への参拝と一緒に、

古の伊勢の名残りを残す河崎の町なみを訪れてみてください。

 

伊勢河崎商人館

所在地 〒516-0009 三重県伊勢市河崎2丁目25番32号

見学有料=入館料 (大人350円 高校大学生200円 小中学生100円)

開館時間 9:30~17:00

休館日 毎週火曜日(火曜日が祝日の場合翌日となります)

電話番号 0596-22-4810

プロフィール
ライター
加藤 デコ
目指せ、ソロワーク、ソロ旅、ソロ温泉。 そのために、フリーライターとしてがんばって働きます。

日本中のクリエイターを応援するメディアクリエイターズステーションをフォロー!

TOP