教室は男湯脱衣場! 名古屋の銭湯を知る旅

Vol.3
ライター
Nagoya
加藤 デコ

「まだ見ぬ、面白いに出会う」

名古屋には「大ナゴヤ大学」というNPO法人があります。

ナゴヤに関するヒト・モノ・コトに触れ、私たちが知らないナゴヤの魅力を学ぼうというグループです。

大ナゴヤ大学には、主旨・目的ごとに、さまざまなプロジェクトがあり、特に実費以外の参加費が無料の「大ナゴヤの日」プロジェクトは、基本的にボランティア活動により運営され、

「授業コーディネーター」という役割の方が自分の興味に基づいてイベントを「授業」として企画します。これらの授業は、おおむね月に1~2回の授業を開催しています。

詳しくはこちらへ!

大ナゴヤ大学(特定非営利活動法人 大ナゴヤ・ユニバーシティー・ネットワーク)

先月の授業の一つが、「銭湯へ行こう!白山温泉編~バックヤード見学と銭湯談義を楽しもう~」。銭湯・サウナ好きの授業コーディネーター・河津一輝さんの企画です。

お風呂大好き・温泉大好きな私、さっそく参加してきました。

会場となった白山温泉は、名古屋市西区枇杷島にある老舗の銭湯です。創業は1911年。もともと染色工場を営んでいましたが、銭湯にお仕事を変え、1955年、1988年と二度の建て替えを経て、現在に至っています。

創業者が石川県の白山温泉を好きだったことからこの名前になりました。昔は、白山温泉から取り寄せた湯の花を入れていたとか。

白山温泉

8種類のお風呂と2種類のサウナがあります。

ジェットバス、寝風呂、泡風呂、白湯、うたせ風呂、電気風呂、水風呂、薬風呂(露天)、高温サウナ、薬草スチームサウナ

現店主は、4代目の飯田宗一朗さん。銀行員として日本全国を転勤しつつ20年間働いた後、家業を引き継いだそうです。

 私 「ええええ、その転職って、ご家族反対されませんでした?」

飯田さん 「そら、されますよー(笑)。だから、アタマあがりません」

フフフフフ。それでも、“いつかは家業を継ぐだろうなあと思っていた”という飯田さん。お風呂屋さんという地域コミュニティを大切にしながら、いろんな企画に取り組んでいます。転職時の気持ち、お風呂屋さんへの熱い思いもいつか聞いてみたいと思いました。

入口の下駄箱。カギに鈴がついていてチリンチリンなるのがカワイイ。個人的にはかなりツボ。

 

青果市場の働き手を支えた銭湯

授業は各自簡単な自己紹介の後、白山温泉の周囲を歩いて、バックヤード見学から始まりました。

 
 
(上)裏手には、井戸水を貯めたタンクやろ過装置が並びます。(下)全自動でお湯の温度や量を制御。

白山温泉のお湯は、天然の井戸水100%です。地下150mからくみ上げています。一般的には、5~10mほどの深さからくみ上げている銭湯が多いとのこと。深いところからくみ上げた分多様なミネラルが含まれ、「お湯がやわらかい」とお客様から好評だそうです。

また、災害時にはタンクの井戸水を利用できるよう、名古屋市と提携が結ばれています。

 
説明してくださる飯田さん。
うしろにはパイプや機械がいっぱい。

飯田さんが子どもの頃は、まだ薪でお湯を沸かしていました。もちろん、飯田少年も大事な働き手(?)。「手伝うの、いやでしたねえ。ぜったい継がないよって思いましたもん」。小学生の頃に行われた二度目の建て替えですべてが自動化され、飯田さんが無事4代目となる環境(?)が整いました。

また、白山温泉の東側には、1983年まで枇杷島青物市場がありました。この市場、なんと起源は徳川家康の命によると言われており、東京の神田、大阪の天満と並ぶ、歴史ある青物市場でした。そのため、白山温泉のお客さんには市場の関係者が多かったとそうです。「朝のセリが終わると、みんなお風呂に入りに来るのね。商売柄、元気のいい人が多かったですよ」。

青果市場の閉鎖・移転に伴い、スポーツ施設や住宅街が生まれ、お客さんも変化していきました。

なお、銭湯の価格は1946年に出された物価統制令によって、行政が決めることになっています。行政が決めているのは知っていましたが、なんと戦後の物価高騰を防ぐためにつくられた法律とは…(驚)。現在、この法律で価格が決められているのは銭湯の料金だけなんだそうです。

 

男湯・女湯、それぞれの風景

さて、今回のツアーでおもしろかったのは、みんなが男湯と女湯を見学できたこと!人生でこんな機会はまたとないハズ!なにか違いがあるんでしょうか???

 

左が男湯、右が女湯です。男性はイスをカランの前に置いたまま入浴し、女性は重ねて積んで帰る。そこが違うんだそう。なんで?? 「なぜかはわかりません」(飯田さん談)。

シャンプーやリンス、石鹸は持参する方が多いので用意してありません。必要があれば、受付で購入できます。これはスーパー銭湯との大きな違いかもしれません。銭湯は、あくまでも「生活の一部」なんですね。

 
 

(上)赤いボールを手前に回すとシャワーが出ます。
   これは初めて見ました!
(中)ブルーの蛇口がないのも、初めて!
   でも、そんなに熱くないので、お湯だけで大丈夫。

(下)これはなんだ?…ボンタンです!ボンタン湯!

この日は「ボンタン湯」の日。毎年この時期に、鹿児島県阿久根市からボンタンを取り寄せて、お湯に入れているそうです(ちなみにこの写真、お湯をいれている最中に撮影。浴槽にお湯が半分ぐらいしか入ってないの、わかりますか?

上の写真は、大ナゴヤ大学さんからご提供いただきました。ありがとうございます!開店前に、女湯で飯田さんから説明を受けています。男女混じっているし、みなさん着衣だし、なんだか変わった風景…。下は、女湯の脱衣場にしかない「おかまドライヤー」。ふだん女湯に入れない方は「これは貴重!」と(笑)。かぶってみる方もいらっしゃいました。これも、通常はイスにくっついているものが多いのですが、白山温泉のものは壁からアームでつながれています。

 

湯の脱衣場で銭湯について語り合う

見学の後、スライドを見ながら銭湯の現状を学び、参加者でフリートーク。なんとまあ、銭湯フリークの多いことよ…(笑)。昨年、愛知では銭湯のスタンプラリーがあったそうで、県内54件すべてをコンプリートしたツワモノも。小さいころ、家にお風呂がなかったので銭湯に行ってた人、ふだんから白山温泉にきていてバックヤードが見たいから参加した人、コロナ禍で趣味を持ちたいと銭湯巡りを始めた人、参加者それぞれに思い出や銭湯愛、興味関心があり、楽しい交流時間でした。


 
授業コーディネーター・河津さんの解説。

 

もちろん、入浴して修了

そうこうしているうちに白山温泉の開店時間15時になり、企画としてのツアーは修了。もちろん、常連さんにまじってボンタン湯にしっかりつかりました!ボールみたいなボンタンを抱えたり、水に押し出してみたり、そのうちほろ苦い柑橘系の香りがして、五感で癒されます。

うたせ風呂の勢いがハンパなくて、痛いほどでしたが、肩こりのわたしにはちょうどいいぐらい。ほかのお風呂屋さんもこれぐらい刺激的にして~!

 

 

プロフィール
ライター
加藤 デコ
目指せ、ソロワーク、ソロ旅、ソロ温泉。 そのために、フリーライターとしてがんばって働きます。

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