WEB・モバイル2020.12.19

ハーバリストの「推しハーブ」

Vol.8
編集者・シニアハーバルセラピスト (JAMHA認定)
メディカルハーブライフ
二橋彩乃

 

日本メディカルハーブ協会認定の資格「ハーバルセラピスト」取得のためには、
まず認定校に通う必要があった(試験は卒論を経てスクール修了後に受けられる)。

今はオンラインがメインだが、当時はリアルの授業のみだったため、
著名な人気講師を求めて遠方から通っている人もいた。

リアルでよかったことの一つは、一緒に学ぶ仲間の刺激を受けて
モチベーションが高く保てたこと。

あとは、なにより、学んだその場でハーブティーの試飲ができることだった。

私の通っていたスクールは自然療法の専門店が経営母体だったため、
授業中、資料としてハーブやアロマの商品に触らせてもらうことができた。
店舗で並び始めたばかりのアロマグッズを試し、仲間同士でハーブティーをふるまった。

特に、その日に学んだばかりのハーブについて、
正確に量った茶葉を、時間も計って熱湯で抽出し、色や香りの変化について観察する。

試飲後、仲間や先生とともに、味の感想を言い合いながら、
成分や作用については、テキストで確認し合う。

ハーバリストになった後、ハーブを使いこなしていくためには、
知識として覚えるよりも、
最初にシングルで味わったときの「第一印象」が大切だと先生に言われた。

「好き」「嫌い」「濃すぎる感じがする」
「後から甘くなる気がする」「苦味が強い」
「香りがいい」「エグい」「おいしくない」「苦手」……

授業中、皆が率直に感想を言い合うことが面白く、他の仲間の感じ方や印象も、参考になった。

また、そんなさまざま感想から、「ではその苦味をどう緩和するか?」など、
ブレンドも提案しあえた。

ハーバリストになった今も、この時の印象から、「推しハーブ」ができた気がする。

推しハーブとは、ついつい自宅でもストックしたり、人にもやたら詳しく説明したり、
ブレンドにこだわったりしてしまうハーブのことだ。
初めて飲んだり香りを嗅いだ時の印象で、その後の推しハーブが決まっていくような気がしている。
(他の仲間もそうではないかと思っている)

私の推しハーブは、「リンデン」だ。
ヨーロッパで昔から、風邪や不眠、高血圧などに用いられてきたハーブである。

特徴は、「ファルネソール」という精油成分だ。
やわらかく甘い香りを放つので、ハーブティーを飲む前に、ふわっと甘い香りをまず楽しめる。

仕事中にホッと一息つきたいときや、寝る前に特にオススメだ。
緊張感を取り除いてくれたり、心と体を同時にゆるめてくれる。

ドイツの小児科では子どもの風邪のひき始めに、
リンデンとペパーミントを4:1の割合で(リンデンが4)、ブレンドティーを処方するという。
汗を出したり、咳を鎮めたりする作用を狙っている。

他にもリンデンは、相性の良いオレンジフラワーとも、よくブレンドされている。

免疫力が気になる今、香りにも癒されながら、
ハーブティーで体を温めるのはいかがだろうか。

プロフィール
編集者・シニアハーバルセラピスト (JAMHA認定)
二橋彩乃
2つの出版社でデザイン、アート、生活実用など多ジャンルの編集経験を経て独立。独立後の仕事に『使える禅』(編集・執筆/朝日新聞出版)、『美術館&博物館さんぽ 首都圏版』(編集/ぴあ)、雑誌「セラピスト」(取材・執筆/BAB)など。現在は主に占い系メディアで執筆中。植物の魅力を広めるべく、ハーバルセラピスト、シニアハーバルセラピスト、メディカルハーブコーディネーターと3つの資格を取得して活動中(すべて日本メディカルハーブ協会認定)。

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