北海道の七夕は 「笹の葉 サラサラ」ではない?

北海道
フリーライター
youichi tsunoda
角田陽一

太陽暦ではムリヤリな
7月7日の七夕

7月7日は全国的に七夕?である。

天の川を挟んで光る織姫(西洋式で言えば、こと座のベガ)と、彦星(同じく西洋式で言えば、わし座のアルタイル)が年に一度の逢瀬を遂げる、とされる。

だがこの光景は地上から見えない。

太陽暦の7月7日と言えば日本本土の大半は梅雨の真っ最中、晴天に恵まれ天の川を拝めるのはまさに僥倖である。天の星が、織姫と彦星が自らの逢瀬を恥じて、あえて地上を雲で覆い隠している、などという奥ゆかしい?理由からではない。

そもそもこの時期、7月7日の七夕が間違いなのである。

もともと日本はもとより東アジアでは月の満ち欠けに則った暦「太陰暦」が用いられていた。

 正月

七草粥

三月三日の桃の節句

五月五日の端午の節句

七月七日の七夕

 みな太陰暦の日取りである。

陰暦の正月は立春の頃。だから「新春」で七草も芽吹く。

三月三日は現在の4月半ば。だから桃も桜も花開く。さくらさくら 弥生の空は…

五月五日は梅雨の真っ最中。「五月雨」はまさに梅雨。「五月晴れ」は「太陽暦5月の爽やかな晴」ではなく、梅雨の中休みの晴れ間。

陰暦六月は梅雨が明けるから「水無月」。

そして七月七日は夏の真っ盛り。天は晴れ渡り星も綺麗に拝める。

 

本来は陰暦で行うべき、日本の年中行事

なのに太陽暦で無理やり行うから、グジグジと曇天を拝むことになる。

北海道の七夕は竹も笹も使わない
使うのはヤナギ

さて冒頭で「7月7日は全国的に?七夕」と書いた。

全国的に?と書いたのは、太陽暦7月7日に七夕を行わない地方もあるからだ。

 それが北海道である。

最近は地球温暖化で様変わりしたとは申せ、梅雨のない北海道。太陽暦7月でも夜空の星を拝めそうなもの。だが七夕は月遅れの8月7日に行う。

だが、その七夕は「笹の葉サラサラ」ではない。

いうなれば「楊の葉ザワザワ」である。

 日本本土と気候が異なる北海道は動植物の分布も異なる。

たとえば鯛が獲れないから、お祝いの定番の分かりやすい魚がいない。

タイやヒラメの舞踊り、と言われてもいまいちわからない。

 同様に、北海道には竹が無い。

お正月に使う門松の竹は、「内地」からの移入品。

道産子が内地に引っ越せばまずは竹藪に感動する。

一方の北海道には山野に生える「根曲がり竹」が生えるが、これはササともタケとも区別がつかず、バサバサの葉は飾り付けるべき短冊とほぼ同じ大きさ。とてもサラサラとはいくまい。

 だからこそ、北海道の七夕は「楊」に短冊を飾る。

枝が枝垂れる「柳」ではなく、河原や荒れ地に生える「楊」である。

水気の多い葉はサラサラとはいかず、言わばザワザワ。

やなぎのは ざわざわ では文部省唱歌にもなり得まいか。

それでも形は繊細な葉は短冊を覆い隠さず、静かにかしこまる

 

 写真はWikipedia

©Scarper Montgomery

 

 

プロフィール
フリーライター
角田陽一
1974年、北海道生まれ。2004年よりフリーライター。食文化やアウトドア、そして故郷である北海道の歴史文化をモチーフに執筆中。 著書に『図解アイヌ』(新紀元社)、執筆協力に『1時間でわかるアイヌの文化と歴史』(宝島社)など。現在、雑誌で文学、アウトドア、歴史などを中心に執筆中。

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