NHK朝ドラ「おかえりモネ」がちょっと楽しくなるかも知れない宮城県登米市の魅力3点を宮城県出身者が補足します

東京
フリーランス記者・作家
スーパーいわちゃんねる!クリ目版
岩崎

今年の宮城県民は東北楽天ゴールデンイーグルスに田中将大投手が帰ってきたことと、NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」の舞台に気仙沼市・登米市が選ばれたことでテンションが上がっている。神の子・マー君再来も嬉しいが、今回は後者のトピックで。

さて、「おかえりモネ」5月17日の初回放送を拝見したが、主人公・モネちゃんの就職先である登米市がクローズアップされていた。登米市は「とにかく豊かな地」「故・石ノ森章太郎の故郷」「伊達家ゆかりの地」「元県庁所在地(かつて存在した『水沢県』のこと、その後水沢県が廃止されて登米は宮城県に合併したそうだ)」と紹介されていたが、同市の魅力はこれだけでは留まらない。宮城県出身者として、数ある中から特に面白いと思っているポイントを3点紹介しよう。

 

歴史オタク必見「みやぎの明治村」

登米市と言えば「みやぎの明治村」として名高いこと。

登米市ホームページより

登米町(とよままち)に明治時代の建築物が残っているエリアがあり、国重要指定文化財建造物に指定されている旧登米高等尋常小学校(現・教育資料館)をはじめ、レトロかわいい建物が多数並んでいる。歴史オタク、とり分けて近代史マニアにはたまらない一帯だろう。

 

素朴で優しい味わいのソウルフード「はっと汁」「油麩丼」

登米地方の伝統的な食べ物といえば「はっと汁」と「油麩丼(あぶらふどんぶり)」の2つだろう。

登米市ホームページより

「はっと汁」は小麦粉を薄く伸ばした生地を、野菜をたっぷり入れた醤油仕立てのスープに入れたもの。江戸時代に米を(伊達藩が買い上げたせいで)満足に食べられなかった人々が小麦を栽培して作ったそうで、農民が米栽培をサボることを恐れた藩が禁止=法度にしたのが名前の由来と言われている。

登米市ホームページより

「油麩丼」は、フランスパンのような形をした油麩(揚げ麩)を輪切りにした後甘じょっぱく味付けし、親子丼やカツ丼のように卵でとじたものである。一度食べたことがあるが、ヘルシーなのに油のジューシーさで満足感たっぷりの味わいだった。また食べたいなぁ……。

ところで、はっと汁も油麩丼も原材料が小麦粉。登米市は米どころ・宮城としては珍しい小麦粉LOVEの食文化を有している。先述の伊達藩による米の買い上げがあった際に、飢饉にならず、反乱を起こすわけでもなく、小麦を作っておいしい料理を生み出す……という史実が、クリエイティビティあふれる登米の土地柄・人柄を表しているように思えるのは私だけだろうか。

 

「登米無双」というぶっ飛んだPR動画を作った

県北部の山間の街で、静かでとても暮らしやすそうなところ……。誰もがそう信じていた登米市。

だが2016年、市は突然「登米無双」というPR動画を公開した。

孫と一緒にはっと汁を作る優しいおばあちゃんが、現代によみがえったはっと汁禁止の「御法度」を打ち破るため、市内に現れた黒ずくめの男たちをなぎ倒し、旧登米高等尋常小学校に籠城する黒幕と死闘を繰り広げる、手に汗握る痛快アクションムービー……。

って、なんじゃこりゃあああああ!!!!! 重要文化財でバトルって(万が一傷が付いたら)超怖ぇぇぇぇぇ!!!!!

県内自治体のPR動画でぶっ飛んだものといえば、これを挙げずにはいられない。というかこれを超えるPR動画を見たことがない(パンダライオンのMoz氏が、登米市の隣で自身の故郷である栗原市の自虐と郷土愛を詰め込んでバズった「I.N.K.」もあるが、あれは自主制作→後に市から感謝状)。

動画の最後に「登米市は、赤ちゃんから高齢の方までが活き生きと安心して暮らし続けられるまちづくりを行なっています」という注釈が入るが……その言葉、信じていいんですよね?(震え声)

ちなみに動画0:59頃で逃げているゆるキャラは登米市観光PRキャラクター「はっとン」だが、ボディがはっとでできているため御法度の札を貼られてしまったようだ。不憫……。

 

ストーリーと並行して、リアルの登米市もぜひお楽しみください

ほかにも、東京オリンピック関連で一時話題になった「長沼ボート場」や、白鳥の飛来地として有名なラムサール条約登録湿地「伊豆沼」、江戸時代初期の「隠れキリシタンの里」など、市内には魅力的なスポットと文化がギュギュッと詰まっている。モネちゃんの青春時代を見守る地・登米市にもぜひ注目しながら、ストーリーを楽しんでいただきたい。

余談だが、登米市は面積がそこそこ広いので、聖地巡礼も兼ねて現地を訪れる際は車に乗って行くことをオススメする。

 

あ、もう一つの舞台・気仙沼はまたの機会に。

プロフィール
フリーランス記者・作家
岩崎
メディア関係の仕事を経て、書いて撮って編集・デザインして発信できる「平面系マルチクリエイター」を目指す平成元年生まれ。巳年・蠍座の女。本家ブログ&連絡先は「スーパーいわちゃんねる!」で検索。宮城県出身、東京都在住。引き続き帰省自粛が続く中、親切な練馬人に教えてもらった店で仙台味噌と白石温麺と油麩を見つけ、テンションが上がっている今日この頃。

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