映像2021.07.29

映画ソムリエ/東紗友美の”もう試写った!” 記念すべき第1回は『ドライブ・マイ・カー』

Vol.001
映画ソムリエ
Sayumi Higashi
東 紗友美
拡大

拡大

拡大

拡大

拡大

拡大

拡大

拡大

拡大

拡大

拡大

拡大

拡大

拡大

『ドライブ・マイ・カー』

▶日本のクリエイティブの奥深さに衝撃受けちゃう度:100

日本屈指の才能のコラボレーションに触れて、モチベUPしたい人にオススメ!

 

映画業界に、うれしいニュースが舞い込みました。
第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門において濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が、日本映画初の脚本賞を受賞したのです!

『ドライブ・マイ・カー』では、妻を亡くした俳優・演出家の家福(西島秀俊)が寡黙な専属ドライバーのみさき(三浦透子)と出会い、喪失感と向き合っていく様子が描かれます。
179分という上映時間、作品に浸れる期待とともに「これは集中力を必要とするタイプの作品だぞ」と内心ドキリともしていました。

が、、、そんな心配はどこにもいらなかった!

テンションが高くなるタイプの映画ではありません。
静かに、でも、たしかに流れていく彼らの時間をともにする。これが不思議なくらい心地よい。
その独特なスピードはまるで心地よいドライブとよく似た速度と言えるかもしれません。

映画を鑑賞しているというよりも、自分の人生と並行しているかのような、一緒に生活しているような感覚になるんです。
だからこそ、ずっと見ていられます。
最後には「また、あなたたちに会えるかな?」なんて、聞いてしまいたくなってしまいました。

原作は「ノルウェイの森」「海辺のカフカ」など、もはや説明不要の世界に誇る作家・村上春樹の短編小説「女のいない男たち」。
こちらに収録された一遍を映像という表現で味付けし、さらなる没入感を体感できる世界線へと広げていったこの作品。
映画と小説の相思相愛の関係性を垣間見た気がしてなりません。

ドライバーの彼女はおそらく気付く。ドライバーを生業にしていたけれど、走ることで救われていたのは彼女自身だったこと。

ちょっと視点は違うけれど、わたしはコロナ禍で一時、口紅を塗らなくなっていた。でも、血色の上がった顔を見ると誰よりも自分がイキイキと高揚した。口紅は、自分のためのものだったと気付いたのは去年のことでした。

誰かのためと思ってしていることが、実は自分を救っている。そんな出来事って誰しもあるんじゃないでしょうか。
誰の視点でみるかで、異なる発見ができる映画です。あなたは誰に心を投影し、なにを想いますか?

実のところカンヌ国際映画祭の会場での下馬評では、パルム・ドールはこちらの作品が受賞するのではと噂されていました。
意外な結果に落ち着きつつも、日本人、日本映画初という称号を世界三大映画祭で獲得してくれたこの作品に拍手を贈りたい。

今日も東京の空の下、高速道路を眺めてみる。
ふたりの乗っていた車が、いま横を走り去っていった気がしてならない。
行き交う車には、それぞれの人生の物語がー。

座席を立つ頃には、彼らを他人とは思えない私がいた。古き良き友人ができた気分です。

 

(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

8/20(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

西島秀俊 三浦透子 霧島れいか/岡田将生

原作:村上春樹 「ドライブ・マイ・カー」 (短編小説集「女のいない男たち」所収/文春文庫刊)

監督:濱口竜介 脚本:濱口竜介 大江崇允 音楽:石橋英子

製作:『ドライブ・マイ・カー』製作委員会 製作幹事:カルチュア・エンタテインメント、ビターズ・エンド

制作プロダクション:C&Iエンタテインメント 配給:ビターズ・エンド 

(C)2021 『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

2021/日本/1.85:1/179分/PG-12

公式サイト dmc.bitters.co.jp

〈公式SNS URL〉

プロフィール
映画ソムリエ
東 紗友美
映画ソムリエ。女性誌(CLASSY、sweet、旅色他)他、連載多数。TV・ラジオ(文化放送)等での映画紹介や、不定期でTSUTAYAの棚展開も実施。 映画イベントに登壇する他、舞台挨拶のMCなどもつとめる。 映画ロケ地にまつわるトピックも得意分野で2021年GOTOトラベル主催の映画旅達人に選出される。 音声アプリVoicyで映画解説の配信中。

日本中のクリエイターを応援するメディアクリエイターズステーションをフォロー!

TOP