映像2019.10.23

「サスケに無性に会いたくて」

第50話
とりとめないわ
Akira Kadota
門田 陽

ついこの前の9月の終わり、まだ消費税が8%だった頃。増税前にふだんから欲しかったものを大人買いしようかと、アマゾンで自分のページの「あとで買う」リストを覗いたらなんと216点もあって笑ってしまいました(※写真①)。

写真①

まー、あるわあるわ、よくそんなにも沢山カゴに入れたものです。大好きな落語家やお笑いのDVDやブルーレイだけでも50本以上。それ以外に中学時代からの趣味の映画と子どものときに夢中だったアニメのコンプリート版の数々。そこにはいつかは自分の所有物にしたいというあさましい気持ちが溢れています。幼い頃、大きくなったらカステラを丸ごと一本食べたいという夢を高校生のときにバイト代で叶えたのですが、食べた後はただ虚しくてそして翌日はお腹を壊して情けなかったこと。我ながら本当に恥ずかしい思い出ですがそのときのような心持ちがしました。

映画の主なものだけを挙げても、「黒澤明ブルーレイBOX」「ジャン・リュック・ゴダールDVD―BOX」「ウォン・カーウァイDVDコレクション」「北野武監督全集」「座頭市DVD―BOX」「ジャック・タチコンプリートDVDーBOX」「アッバス・キアロスタミブルーレイBOX」「グザヴィエ・ドランブルーレイBOX」「アキ・カウリスマキブルーレイBOX」「小津安二郎名作セレクションDVD」「ヴィム・ヴェンダースDVD-BOX」「ウディ・アレンコレクション」等々、全くキリがありません。仮にこれをみんな手に入れたとして、僕の人生の残り時間に見終える自信もありませんし、何より財力も不足していますので手をつけずに見過ごしたのですが、どうしてもひとつだけ気になって仕方なくとうとう10月になってから購入してしまいました。

それは白土三平原作のアニメ「サスケDVD-BOX」です(※写真②)。1968年の9月から1969年の3月まで全29話、TBS系列で放送されています。僕はそのとき6才。当時はネットどころかスマホどころか携帯電話もまだ皆無で、ブルーレイやDVDどころかVHSすらもない時代。つまり家庭では何も録画や保存などする術はなかったので好きな番組は絶対に見逃すわけにはいかなくてまさにテレビにかじりついて見ていました。だからでしょうか。記憶がとても濃いのです。火曜日の夜7時がドキドキでたまりませんでした。ただこのドキドキ感は単なる楽しみとは違って少し恐さも混じったものでした。それが何だったのかが知りたくて買い求めたのですがいきなり1話目で思い知らされました!

写真②

この作品は一言で言うと忍者漫画(アニメ)で主人公のサスケは幼い子どもです。誕生日のシーンなどは当然ない(笑)ので正確にはわかりませんが6才か7才くらい。当時の僕とほぼ同年齢が活躍するその第1話でサスケの大好きな母親がまず容赦なく殺されるのです。今のアニメに多い全体的にハッピーなトーンが微塵もないのです。「命」を包み隠さずに表現するのでおそらく今の地上波では許されないだろう描写が所々に登場します。タイトルもストレート。第4話「通り魔」、第9話「人買い」、第12話「砂地獄」、第16話「赤い雨」、第21話「おとし穴」、これだけでもゾクッとします。

そして、毎回どこかでいい台詞があるのです。僕が大好きなのは第7話。 サスケの父の大猿の言葉、「恐ろしい男だ。あの男は勝てる相手としか勝負をしない」、これにサスケが「それじゃ卑怯じゃないか」と言うと「いや、卑怯とは言わない。相手の力をはかる眼力、それも勝負のひとつなんだ。覚えておけよ、サスケ」。 いや~カッコイイ!!と、この話を会社の後輩達に力説したところポカ~ンとされました。彼ら彼女らのサスケはスポーツ番組のSASUKEのことでそれ以上話すのを諦めました。そりゃそうだ、非はこちらにありです。サスケの父の印象的な台詞をもうひとつだけ。亡き母の夢を見て涙ぐむサスケに向かって「死んだ者のことは忘れろ。生きていくのはお前だ。思い出ではない」と言うのです。6才の僕はこの言葉の意味がわからずその日のご飯の味がしませんでした。今回DVDを見ながら一瞬あの日あのときの僕に戻れました。今さらですが、録音とか録画とかを発明した人にはぜひノーベル賞をあげてください。

ところで、このサスケのDVD-BOXは 増税後に買ったわけですが、キャッシュレスで5%還元になったので増税前より安く手に入った話はまたの機会に。

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