いろんな宿を経験したい
贅沢ってなんだろう
先日、愛知県の老舗ホテルを訪れ、ランチとお茶を楽しんだ。
このホテルは、谷崎潤一郎『細雪』にも登場するため、以前から名前は知っていた。中に入るのは今回が初めて。館内のしつらえが老舗ホテルにふさわしく、様々な意匠はまさに眼福である。
海の見えるレストランでの昼食、テラス席でのお茶は本当に気持ちが良かった。ゆっくりと時間が流れている。仕事も用事もあっちいけ。ここはぼんやりと過ごしたくなる。リラックスできる空間なのだろう。
昨今、「最高級の設備と贅沢な体験」を謳ったラグジュアリーホテルがあちこちに建設されている。しかし、このホテルの老舗らしい古さ、不便さを楽しめることが贅沢だと思う。最新の設備やお金のかかる体験ではないと私は思っている。
広すぎても落ち着かない……貧乏性?
「部屋の広さ」という点で挙げるなら、コロナにかかってしまったときに入院した病室は本当に広かった。上の写真は病室の様子。本来は4人で使う部屋を1人で使わせていただき、入院当夜は「こんなに広いの?」と困惑。慣れてくると、窓も大きいし、昼間は陽光で明るく、夜景も素晴らしい。病気が病気だったためスタッフさんの出入りも限られていて、一人の時間がとても充実した。最初の10日間はとてもつらかったのだが、治り始めると正直、「旅」気分である。
なお、この時のスタッフの皆さんには本当によくしていただき、心から感謝している。
一期一会が楽しいゲストハウス
10年ほど前に、愛媛県で初めてゲストハウスに宿泊した。サイクリングの旅行者が多く利用する宿だ。女性だけの相部屋を予約したところ、自転車でお遍路さんをしている人や日本一周をしている人と同室になった。「なぜそんな旅をするのか」と話を聞いてみると、「転職の合間に」「ただ行きたくなったから」など、それぞれの旅のきっかけがおもしろい。
ゲストハウスなのでお風呂も食堂もない。近くのスーパー銭湯へ行き、オーナーに近くの美味しいお店を教えてもらって出かけていく。面倒なようだが、その分、日常的な街を歩くことができる。
最近のゲストハウスは、カプセルホテルと変わらない施設もあり、私も何度かハズレを引いた。いつかまた、素敵なゲストハウスに出合えるといいなあと思う。
宿サイトを眺めるだけでも…
ここしばらく、個人的な旅行は減っているのだが、暇なときに宿泊サイトを眺めることはやめられない。叔父も同じ楽しみを共有していて、ときどき情報交換?している。「温泉がある」「夕食、朝食つき」が理想的だけれども、私は、実際にそういう宿に泊まることはほとんどない。ビジネスホテルに泊まって、外食したり街を歩いたりする方が好きだ。
早く物価高が収まり、労働者の賃金があがって心置きなく宿を選べるようになることをこころから祈っている。
