ミッション17 一泊二日で47都道府県を巡れ!

ミッション17
電通第5CRプランニング局 クリエーティブ・ディレクター / コピーライター
Akira Kadota
門田 陽

☆まず謎解きを考える

どんな手段を使っても一泊二日で47都道府県は行けません。仮に予算を度外視で飛行機や新幹線を駆使してもまるでムリ。ということは、これは一休さん的なアイデアが必要です。いきなり思い付いたのはアンテナショップ。ふだんわりと目にしますし、よく行くお店もあるので調べてみるとどの県もこぞって東京に出店しています。しかもその大半(26道府県)が銀座・日本橋地区に集中していて、取り急ぎ有楽町の交通会館に行ったところ(※写真①)ここだけで12道府県を一気に回れます。あれ?こんなにスムーズでいいのだろうか?と思いながら再びネットで「47都道府県アンテナショップ」で検索すると数名の方が同じ企画をすでにやっていることがわかりました。おやおや?それじゃ今さらつまらないし、もっと言うと2日は必要ありません。ここでアンテナショップ案はボツ。初っ端から企画変更です。

写真①

☆企画決定

一旦帰宅。悩んだ末に出たアイデアは名前マニアな僕ならではのヘンテコな企画。その昔、仕事でもよくやった手段です。バーゲンセールの広告でオーストラリアのセールという街に行ったり、新潟県にある割引岳という山に行ったり。今はなきガソリンスタンドJOMOという会社のCMでチョモランマ(現地語でJOMOLUMGMA)に行ったり、ケニアのJOMO空港に行ったりしたもんです。ズバリ今回は47都道府県にある地名と同じ名前の場所を東京都内で見つけてそこをまわることにしました。

☆47の名

最初の難関は47の地名決め。過去の経験上、ネットでは検索のしようがないので地図帳頼りの超アナログな力仕事。東京都の地図帳後ろの索引から片っ端に知っている地名をチェック。そこで引っかからなかった県は日本地図帳で細かに見て地名の一つずつをネットを使って同名が東京にないかを調べていきます。この作業が午前中いっぱいかかりました。そして選んだのが次の47の場所です。

①北海道 深川市  →江東区深川
②青森県 三沢市  →日野市三沢
③岩手県 山田町  →八王子市山田町
④宮城県 仙台市  →港区仙台坂
⑤秋田県 大曲   →新宿区大曲
⑥山形県 村山市  →東村山市
⑦福島県 白河市  →江東区白河
⑧茨城県 富士見町 →板橋区富士見町
⑨栃木県 富士見町 →板橋区富士見町
⑩群馬県 富士見町 →板橋区富士見町
⑪埼玉県 富士見市 →板橋区富士見町
⑫千葉県 富士見  →板橋区富士見町
⑬東京都 富士見町 →板橋区富士見町
⑭神奈川県 富士見町→板橋区富士見町
⑮新潟県 弁天   →新宿区弁天町
⑯富山県 新富町  →中央区新富町
⑰石川県 加賀市  →板橋区加賀(小学校)
⑱福井県 立石   →葛飾区立石
⑲山梨県 富士見  →板橋区富士見町
⑳長野県 松本市  →江戸川区松本
㉑岐阜県 関市   →練馬区関町
㉒静岡県 清水区  →板橋区清水
㉓愛知県 豊田市  →日野市豊田
㉔三重県 熊野市  →板橋区熊野
㉕滋賀県 日野町  →日野市
㉖京都府 東山区  →目黒区東山
㉗大阪府 梅田   →足立区梅田
㉘兵庫県 相生市  →板橋区相生
㉙奈良県 吉野町  →台東区吉野(公園)
㉚和歌山県 高野町 →足立区高野(駅)
㉛鳥取県 日野町  →日野市
㉜島根県 松江市  →江戸川区松江
㉝岡山県 岡山市  →目黒区大岡山
㉞広島県 府中市  →府中市
㉟山口県 長門市  →足立区長門(小学校)
㊱徳島県 三好市  →江東区三好
㊲香川県 高松市  →豊島区高松
㊳愛媛県 松山市  →清瀬市松山
㊴高知県 中村市  →練馬区中村
㊵福岡県 久留米市 →東久留米市
㊶佐賀県 佐賀市  →江東区佐賀
㊷長崎県 長崎市  →豊島区長崎
㊸熊本県 東陽町  →江東区東陽町
㊹大分県 立石   →葛飾区立石
㊺宮崎県 新富町  →中央区新富町
㊻鹿児島県 城山  →八王子市城山
㊼沖縄県 西原町  →渋谷区西原

☆いざ城山

出かけるのは明日にしようかとも思いましたが、乗りかかった船です。まずは選んだ地名の場所を東京都の白地図に書き込んで(※写真②)、ともかく東京駅へ向かいました。ここでJRの休日おでかけパス(2,720円)を購入。一番遠いと思われる八王子市の城山から攻めることにしました。最寄りの中央線高尾駅に着いたのが11月2日13時4分。そこから坂道を20分以上歩いて見つけました!城山大橋(※写真③)、1箇所クリアです。再び歩いて高尾駅に戻るとすでに14時。このペースであと46箇所だと軽く1週間はかかってしまいます。効率を考えながら行く順を考え、初日に少なくとも23区以外の離れた場所だけは回ろうと思いました。


写真②

写真③

☆日が短い

城山の次は山田です。県で言えば鹿児島から岩手ですが、東京だと高尾駅から京王線で3駅(※写真④)。その後は多摩モノレールや西武鉄道を次々と乗り継いで、豊田(※写真⑤)日野(※写真⑥)三沢(※写真⑦)府中(※写真⑧)とまわって東村山に着いたのが17時17分。気分はまだ夕方ですがあたりはすでに真っ暗(※写真⑨)。秋深しというよりも冬近しを感じました。急がないとまずいです。この後、清瀬市の松山(※写真⑩)から東久留米市(※写真⑪)さらに練馬区の中村(※写真⑫)と豊島区の長崎(※写真⑬)までまわりここで終了。帰宅は21時を超えていました。初日の成果は11箇所12県分、万歩計で19200歩。残り35都道府県。近所でラーメン定食を食べながら明日の作戦を練りました(※写真⑭)。


写真④

写真⑤

写真⑥

写真⑦

写真⑧

写真⑨

写真⑩

写真⑪

写真⑫

写真⑬

写真⑭

☆早起きは100円の得

ものの本によれば一文は約33円なので三文だと約100円。でも早起きはもっとお得な感がありますね。昨日あまりまわれなかったことを反省して二日目は5時起きでルートの確認。できればスペシャルな富士見町までを午前中で終わらせたいと朝7時に麻布十番にある仙台坂(※写真⑮)に到着。この坂の中腹に韓国大使館があるので警備の警察官が2名、僕の写真を撮る姿を凝視していました。恐かったです。即座に退散、目黒区大岡山へ向かい(※写真⑯)それから目黒区東山(※写真写真⑰)渋谷区西原(※写真⑱)新宿区大曲(※写真⑲)新宿区弁天町(※写真⑳)豊島区高松(※写真㉑)練馬区関町(※写真㉒)板橋区相生町(※写真㉓)と進んだところでかなりへたばりました。路線が違う場所ばかりなのと大岡山を除く他がぜんぶ駅からかなりの距離を歩くので時間がかかります。このとき11月3日13時30分、すでに1時間半の誤算です。そして足の付け根が痛いです。しかし次の場所は本日のハイライト(古ッ!)、ここで一発逆転を狙います。


写真⑮

写真⑯

写真⑰

写真⑱

写真⑲

写真⑳

写真㉑

写真㉒

写真㉓

☆ありがとう富士見

そのうれしい場所は板橋区の富士見町(※写真㉔)。なぜうれしいかは一目瞭然。富士見と言う名前がある県が7つもあるのです。東京も入れて8つ。ただこの場所も思ったよりもタイヘンでした。最寄りの中板橋駅から徒歩20分かかりました。富士見というからには昔はきっと富士山が見えたのだと思いますが、360度どこにもその姿はわかりませんでした。歩道橋の上にも昇りましたがダメでした(※写真㉕㉖)。この後同じ板橋区の清水(※写真㉗)と加賀(写真㉘)熊野(※写真㉙)をクリア。さらに西日暮里から舎人ライナーで高野駅(※写真㉚)に着いたのが16時36分。またしても日が沈んできました。

写真㉔


写真㉕

写真㉖

写真㉗

写真㉘

写真㉙

写真㉚

☆一泊二日は諦めた

時間も問題ですが、それよりも足の方が限界に近いので(すでに本日25000歩超え)あと3箇所まわって残りは明日と決断しました。高野から再び西日暮里に戻り足立区の梅田(※写真㉛)長門(※写真㉜)から亀有駅でこち亀像に見送られ(※写真㉝)葛飾区立石で二日目終了。立石の駅では翼くんと岬くんに迎えられました(※写真㉞)。二日目の成果は17箇所25都府県、31549歩、残り9箇所です。牛丼食べて帰宅したのが22時(※写真㉟)。ジーンズを脱ぐといわゆる股擦れ状態。明日はジャージにします。


写真㉛

写真㉜

写真㉝

写真㉞

写真㉟

☆三日目に突入

目覚めスッキリ。本日も早起きで朝6時半には銀座駅。オリンピックまでにはきれいにするのでしょうが、それにしてもとても銀座とは思いたくない駅のありさま(※写真㊱)。ここから地下鉄でまずは台東区の吉野へ(※写真㊲)。吉野公園は鍵が閉まっていて入れませんでした。台東区から見るスカイツリーは大きく感じられます(※写真㊳)。浅草駅から電車を乗り継ぎ新小岩へ。ここからバスに乗って江戸川区の松本を目指しました(※写真㊴)。川沿いにある松本小学校は佇まいがよく(※写真㊵)、また近くの橋から見えるスカイツリーもいい絵でした(※写真㊶)。そこから徒歩45分かけて松江に到着(※写真㊱)。残りわずか。船堀駅から電車を乗り継ぎ清澄白河駅で下車。ここから白河(※写真㊸)三好(※写真㊸)深川(写真㊺)と歩いて門前仲町から東陽町(※写真㊻)と佐賀(※写真㊼)まで巡って江東区終了。いよいよ最後は中央区新富町。ここをラストにしたのは単純に僕がいま住んでいる町だからです。以前旅行で富山に行ったときも出張で宮崎に行ったときも偶然に新富町を歩いたことがあります。東京の新富町はやはりオリンピックの影響からこの10年でずいぶん変わりましたが、僕が好きなのは駅のそばから見えるこの景色です(※写真㊽)。11月4日11時52分。初日が午前中から始められていれば一泊二日でコンプリートできたミッションでした。三日目の成果は9箇所10道県、25747歩。

写真㊱


写真㊲

写真㊳

写真㊴

写真㊵

写真㊶

写真㊷

写真㊸

写真㊹

写真㊺

写真㊻

写真㊼

写真㊽

☆おまけ

全行程を歩ききって、もし同じルートを本物(?)の都道府県でやったらどれくらいの時間とお金がかかるかを検証してみました。驚きました!なんと移動だけで237時間39分でその費用は正規運賃で101万3020円。寝る時間や食べる時間を入れると丸2週間かかる計算になりました。因みに今回の費用(電車賃)は9900円でした。

プロフィール
電通第5CRプランニング局 クリエーティブ・ディレクター / コピーライター
門田 陽
電通第5CRプランニング局 クリエーティブ・ディレクター/コピーライター 1963年福岡市生まれ。 福岡大学人文学部卒業後、(株)西鉄エージェンシー、(株)仲畑広告制作所、(株)電通九州を経て現在に至る。 TCC新人賞、TCC審査委委員長賞、FCC最高賞、ACC金賞、広告電通賞他多数受賞。2015年より福岡大学広報戦略アドバイザーも務める。 趣味は、落語鑑賞と相撲観戦。チャームポイントは、くっきりとしたほうれい線。

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