映像2020.09.08

映像×音の話 ~録音と整音~

自粛@たまに打ち合わせ 都内
映像編集&シナリオ
秘密のチュートリアル!
野辺五月

映像編集で大事な要素としては「絵」や「構成」はさることながら、「音」と「テロップ」があげられます。
今回は、「音」のお話。その1です。

映像に入る音は大きく分けて3種類あります。
・声(演者・ナレーション)
・BGM
・フォーリーサウンド・効果音

声は言うまでもないのですが、動画において一番大事です。
とくに「録音」が。
これを編集でいじるのは骨なのです。
もちろん、最近はありがたくも、「整音」(後から音をキレイにすること)のソフトも安く手に入ったり、コロナの影響で期間限定セール・無料おためしさせてくれたり……もあります。
iZotopeという、DTMユーザー・プロご用達の、「後からある程度音を調整できる」スゴイソフトも期間限定配布してくれたりしてたんですが、「だからどうにかなるか?」というと、基礎部分が分からないとさっぱりだと思います。
そもそも、わざわざ後で直す手間の方がずっと重いのです。

そして修正するためには道具以外に、後で空気をなじませる「現場音」のような、「素材」も必要になります。
現場でとれる「音」がマストな場合、録音は何より優先されるべき技術だと思います。一人で全部こなす人もふえてきましたが、それぞれ選任がいる現場をみるとますますその凄みはわかります。私は映画で現場のプロの話をきいたのですが、もう見てる部分がちがっていて、習得できるとはおもえませんでした。最低限は自分で分かって、そのうえでプロに頼むべき領域の一つだと思っています。
また注意したいのが、上記の「整音」と、「録音」の専任者というのが大きな意味では違うこと。BGM製作者とも違います。最近は専門家でも、もちろん全部こなせる場合も多くあるのですが、ここで大事なのは違うパートであるという理解です。

つまり……奥が深い!!!そして知識がいる!

全部をマニアックに踏まえろとはいいませんが、役割を知ってると楽だと思います。

例えばMA……。(「Multi Audio」の略称。音の調整や収録作業を行う役割の人)。
この方は後の編集がメインです。テレビや映画などではMA室が別にあるのも一般的だったりします。が……現場の録音担当者とは違うので、調整は行うけれど、音場は作れません。イベントや、現場音を重視するタイプの音作りでは、この方たちにアドバイスを求めても担当違いになってしまいます。反対に「録音部」の人は、後々の編集アドバイスを求めても「録音段階でほぼ完ぺきに上げる」ことを大事にしているので、また話がちがってくるかわり、現場については最強です。

映像を編集する場合、「どのレベルでどこまでを担当するのか」を把握する必要があります。
仕事の種類・業界・ポジション……全部の勉強をしていたら時間は足りません。
私のコラムでは「中途」で入る前提にしているので、ここについては、「広く浅く」「専門がどこまでできるのか」役割が分かっていることこそ大事なのでは?というコメントにとどめておきます。

それから覚えておきたいこと――「録音環境」は大事!とっても!

機材もですが、環境がすべてのところもあります。
救急車がしょっちゅう出入りする場所・街宣車が通る場所……それから踏切が下りる場所なんかは最たるものです。
西武線沿いのある現場で、一時間に数度不自然な休憩があって尋ねたら、「踏切だよ」といわれたことがありますが、当然撮影の効率はすこぶる悪いのです。
仕方ないけれど、そのたびに中断しないとならないのは演者さんにも申し訳なくなかなか難所でした。しかし、ロケ地的に譲れない場合ももちろんあります。逆に言えば、ここが変更できる立場や状況ならぜひ変更をという場面でもあります。また空調の音なども抑えたほうがいいこともあれば、後でなじませるための「環境音」として録音したほうがいいこともあります。

話が少し散らかってしまいましたが、まずは「録音」出来る音が大事だということで……。

 

次にBGM。
ここは編集者としてわりと兼任させられるパートだと思うのですが、音の幅と、テンポ(特にモーショングラフィックスの場合)は重要なファクターです。音が変わると劇的に内容が変わって感じられるので、仮で音をあてるためにも、無料でいいので「素材」も持っておきたいところ。
また「音量」も大事です。声とのバランス・全体の大きさ・何が納品物か……ついつい初心者ほど忘れがちになる要素なのですが、個人的に動画の半分はここで決まるのでは?と思っています。
音素材についてと効果音については次回もう少し細かくお話しようと思います。

現場での音は優先すべし――繰り返してまた次回にしたいのですが、先に一つ……
今でないとお伝え出来ないことをお知らせして終わりにしたいと思います。

『ようこそ映画音響の世界へ』
http://eigaonkyo.com/
こちら、ハリウッドの音へのこだわりをすべて詰め込んだ映画が今まさに上映中です。
東京はシネマカリテ(新宿)・ヒューマントラスト渋谷他……
話題になるにつれ、ちょっと込み合ってきています。
映像、特に映画における音の重要さを一番表してるので、気になる方は是非チェックしてください。(残念ながら、映画に興味がなく、下地がないと、半分くらい分からないところも出てくると思いますが可能なら見ておいて損はないと思います。この先見たくなった時どこで見られるか怪しいので)
日本よりもハリウッドの方が音についてはかなり大事にしていて、仕事としても多いです。実際海外で活躍している日本のフォーリーサウンドの方とお話する機会がありましたが、職業としての地位で言うと海外の方がずっとおおく、かつリスペクトされているという話でした。
ここに興味がある方は、中途だろうと新卒だろうと、海外市場含めて大きく見たほうが良いような気がしていますが、日本にいながらも市場が海外向け含め始めた今、「音」の重要度は上がると思います。
それ以前に、出てくるエピソードもめちゃくちゃ面白いので、気になる方は是非。

プロフィール
映像編集&シナリオ
野辺五月
学生時代、研究の片手間、ひょんなことからシナリオライター(ゴースト)へ。 HP告知・雑誌掲載時の対応・外注管理などの制作進行?!も兼ね、ほそぼそと仕事をするうちに、潰れる現場。舞う仕事。消える責任者…… 諸々あって、気づけば、編プロ・広告会社・IT関連などを渡り歩くフリーランスと化す。 2015年結婚式場の仕事をきっかけに、映像畑へ。プレミア・AE使い。基本はいつでもシナリオ構成!のひと。趣味は飲み歩き。

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