「革命前夜」の鹿児島にクリエイターが輝く場を。スタッフ一丸でお客さまの期待に応えるFCRとは

福岡
株式会社FCR 代表取締役
Ishigami Kazuya
石神 和哉
名刺1枚の提案から、Webや動画などの企画・制作まで幅広く手がける株式会社FCR。学生時代から地元・鹿児島を中心にフリーマガジンの制作に携わるなど、クリエイティブ活動に余念がない代表取締役の石神 和哉(いしがみ かずや)さんは、「フットワークはネットワーク」をモットーにクリエイターの人脈を広げ、鹿児島の地に新たな働き方のムーブメントを起こそうと奮闘しています。石神さんに、事業内容や会社設立の経緯、展望などを伺いました。

「すべては“好き”が原点」。信頼と経験を土台に幅広く事業を展開し、時代の変化に対応。

石神さんと「クリエイティブ」の関わりを教えてください。

子どもの頃からサブカルチャーが大好きなんです。貪るように映画を観てましたし、邦楽、洋楽問わずいろいろな音楽をあさってました。その延長に写真や物書きがありました。「その分野で食べていきたい」という気持ちが強かったので、学生時代に地元・鹿児島のフリーマガジンの編集部をいくつか掛け持ちし始めました。とは言っても、仕事の半分はエディターという肩書きの営業でしたね。
営業で案件を取ってきたら好きな企画を持たせてもらうというスタイルだったので、その時から自分の好きなことを仕事にする下地が出来上がっていました。「名刺1枚と企画書でいきたいところに行けて、やりたいことができる」というのが自分にとってのクリエイティブです。

FCRの母体となる渕上印刷とはどのような形で出会ったのですか?

2004年に中途入社しました。渕上印刷は創業80年になる地元の大きな印刷屋さんで、そこのディレクターさんから「フリーマガジン立ち上げるんだけど、やってみない?」という誘いがあり、ジョインしました。
配属になったのは出版部でしたが、自分を招き入れたディレクターが所属する企画・ディレクションの部署も掛け持ちしました。自由な社風だったので、これまでの仕事で培った人脈を生かし、フォトグラファーやライターを好きにアサインして企画を回していったのですが、気がつくとプロデューサーのような立ち回りをするようになっていました。

FCR設立までの経緯を教えてください。

時代が進むにつれ、印刷営業部隊の仕事と、企画部隊の仕事に温度差が出てくるようになりました。出版・印刷だけでは時代の変化に対応しきれないところがあったんですね。そこで、19年に「印刷だけではない、さまざまな媒体を用いるクロスメディアな提案ができる会社を作ろう」ということで、企画の部署を新たに株式会社FCR(Fuchigami Creative Room)として独立させたんです。
タイミング悪くコロナや抱えていた赤字事業が悪化し、21年頃、見通しが立たない時期があって、大きく舵を切らなければならなかったのですが、現場をよく知る自分を中心に先陣をきらせてもらい、人員の見直しをお願いされたんです。結果的に代表は交代となり今にいたります。

ディレクション力を兼ね備えた各分野のプロフェッショナルが叶える、お客さまに対してなすべきこととは

FCRの事業内容と、強みを教えてください。

名刺1枚の提案から、商品の企画・プロモーション、動画制作まで、幅広く行っています。
強みは、企画、ディレクション、Web制作、広告運用などそれぞれの分野に特化したスタッフがおり、営業からディレクション・納品まで一気通貫で実施する体制があるところです。
また、クリエイター界隈、特に鹿児島ではディレクターとして、プロジェクト全体の指揮を執れる人材が不足しているなか、うちのように、デザインができるディレクター、エンジニアリングができるディレクター、写真が撮れるディレクターといった形で、ほぼ全員がディレクションのスキルを持っているのは強みの一つです。

鹿児島のクリエイティブ業界の課題を教えてください。

鹿児島は、編集プロダクション、芸大、スタジオといったクリエイティブを産み出す環境に恵まれているわけではありません。まちをもう少し活性化できる余地があるように思います。
しかし、今はリモートワークの普及で距離に関係なく仕事ができてしまうので、クリエイティブ制作をあえて地元企業に依頼する必要がありません。そのため、求められるアウトプットはよりシビアになりますし、淘汰されやすい業界でもあります。限られた鹿児島県内のパイを取り合うのではなく、県外も含めて差別化を図っていく必要性を感じています。

そのようなシビアに成果が求められる市場環境下で、FCRの事業は、地域やお客さま、働く人にどのような価値を提供しているのですか?

スピード感を持ってアウトプットを出せるのが価値なのではないかと思います。弊社は外注も使いますが、基本的に内製で、言うなれば極力FCRの中で完結するように仕事を進めています。そうすることでお客さまへのレスポンスを早くできますし、そこで余裕が生まれると、もう一歩先の提案ができるのですね。そのスタイルがお客さまに満足していただけますし、限られた時間を有効に使えるという意味で働く人にとってもいい環境を提供できると思っています。

自由な働き方や活躍できる“場”づくりに力。仕事を進めるうえでの合言葉「フットワークはネットワーク」

仕事をするうえで大切にしている価値観を教えてください。

20年以上前からスタンスは変わっていなくて、「楽しく、ポジティブに」に尽きます。仕事が苦痛だと人生が辛くなってしまうので、自分も、社員も「お前、楽しそうだよな(仕事好きだよね)」っていう風に見えるよう心がけています。
あとは「一期一会、出会いを大切にする」ということです。この仕事に限らず人と人の関係性で成り立っているので、どんな人との出会いも大切にすることを心がけています。人生は旅でもあります。私たちは鹿児島市の移住促進の事業にも携わっていますが、それもご縁が連鎖した結果なのかな、と。FCRがHPでも掲げているM・V・V(ミッション・ビジョン・バリュー)のValue(やるべきこと)に、「利益よりも無形資産(信用、知識、仲間)を優先」と掲げていまして、それが仕事を進めるうえでの生命線でもあります。

FCRをどのような会社にしていきたいと考えていますか。

社員がコワーキングや在宅などをうまく使って、自由な働き方や生き方を選択できる“場”にしていきたいです。そういう状況でこそ人は否応なしに主体性を持って己の可能性を解放できるのだと思います。でも、それを実現するには、会社として利益をあげていかなくてはいけません。信頼と実績を積み重ね、地固めをしていくことが必要です。
また、今後事業を拡大していくうえで、若い人材を獲得し、育成していくことの必要性も感じています。鹿児島には若手のクリエイターが少なく、さらに活躍の場が少ないことから食べていくのが難しい現実もあります。そういう人たちのために、“場”を作っていくのも私たちの役割です。「場がないのであれば、場を作るしかない」ってことですね。

「今の鹿児島は革命前夜」。クリエイターとともに、鹿児島をもっと面白く!

場があって初めて、クリエイターが活躍できるということですね。では、FCRが一緒に仕事をしたいと考えるのはどのようなクリエイターですか?

良い意味で癖が強いのは全然OKです。若い子は変に真面目になりすぎちゃうところもあるので、どんどんはっちゃけてほしいですね。今の時代はいろいろな意味で若い人が抑圧されているように感じます。もし、クリエイターとして関わってくれるなら、仕事の場面で思いっきり自我を解放してもらって構いません。
少々乱暴な言い方かもしれませんが、私は常々、「クリエイターは猛獣」「ディレクターは猛獣使い」だと思っています。とはいえ、ただ、闇雲に暴れまわってもらうと手に負えないので、個々がオーナーシップを持って仕事に向き合ってもらえれば、そこには必ず素敵なクリエイティブワークが生まれます。

クリエイターが安心して活躍できる土壌があるということですね。では、そのようなクリエイターがいることで、鹿児島はどのように変わっていくでしょうか。

今の鹿児島は「革命前夜」だと感じています。「東京は何かと刺激的だけど日々そこに居て仕事する必要はないよね」ということに多くの人が気づき始めているように思います。それこそ大手旅行代理店からの観光サイト制作の依頼など、時に東京からの取材クルーが知らない土地を取材するより、地元スタッフに任せた方がいいものが出来上がりますし、経費面や時間的側面からみても圧倒的に合理的です。また、地元志向の高まりもあって、昨今ではUIターン、30代の人たちが帰ってきている状況もあります。それにともなって、首都圏の第一線で活躍していた人が鹿児島に舞い込んできています。東京と地元の仕事を両立する働き方も当たり前になってきているんですね。そういう人たちと、FCRの人が関わって新たな“場”を作っていく。緩やかにでもクリエイティブの底上げに寄与できます。そうすることで、鹿児島はもっと面白く、元気になっていくのではないでしょうか。

取材日:2024年2月27日 ライター:畠山智行

株式会社FCR

  • 代表者名:石神 和哉
  • 設立年月:2005年8月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:企画・編集、コンサルティング、プロモーション、マーケティング、WEB制作、運用、広告運用、デジタルブック作成サービス「デジサク」運営
  • 所在地:〒892-0838 鹿児島県鹿児島市新屋敷町24-5 1F
  • URL:https://fcr-inc.jp/
  • お問い合わせ先:上記サイトのお問い合わせよりご連絡ください。

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