WEB・モバイル2023.04.12

Web関連事業をワンストップで。一歩先を見据えることが事業拡大の原動力に

奈良
株式会社るーぷ 代表
Takahiko Onishi
大西 隆彦

Windowsが一世を風靡(ふうび)し始めた頃、Webページの将来性に目を付け、Web制作を学校で学びながら独立した、株式会社るーぷの代表である大西 隆彦(おおにし たかひこ)さん。サイト制作のみならず、サイトの運営代行、SNS発信、アプリ制作など、Web制作から広がるさまざまな依頼をワンストップでサポートできることを強みに、事業を拡大してきました。「お客さまからの依頼があって、新たな展開に気付くことも多い」と話す大西さんにるーぷのビジョンをお聞きしました。

働きながらWeb制作の学校へ。32歳で独立、人とのつながりで出だし好調

独立にいたるまでの経緯を教えてください。

大学卒業後、営業としてOA機器メーカーに就職しました。ところが3年くらい働いて「自分のやりたいことはこれとは違う」と思い始めました。教育訓練給付制度を利用すれば学費が80%返ってくると知り、デザインが好きだったこともあってWeb制作の学校に通い始めました。
会社に勤めながら、毎週土日に勉強する生活が1年続きましたが、とても楽しかったですね。会社に辞表を出したものの引き留められたこともあり、結局10年勤めて、2度目の辞表で退職しました。

株式会社るーぷを設立したきっかけを教えてください。

最初にWeb制作の学校へ通ってから5年のブランクがあったので、会社を辞めてからもう一度学校へ通いました。もうこのタイミングしかないと思い、32歳のときに独立しました。
当時はホームページを持っていない中小企業が多い時代でしたので、以前の営業のつながりから仕事を依頼されることもあり、学校へ通いながら仕事もこなしていました。当時は営業する時間も取れなかったので、紹介で仕事が入ってきたのはありがたかったですね。

経営知らぬまま、ただがむしゃらに働いた当初。出会いと人とのつながりが支えに

会社を立ち上げるにあたり、苦労した点を教えてください。

正直、経営のことを何も分かっていませんでした。仕事が立て込んで、忙しいから人を採用するという状態で。自分も仕事をしているので、従業員をまとめるなど、経営に専念することができませんでした。
当時、働いてくれていた人は、ただただ忙しいだけで将来が見えない不安があったでしょうね。今から5~6年前から、やっと会社としての将来も見据えて、軌道に乗ってきたように思います。

設立当時から途切れることなく仕事の依頼があるのが素晴らしいですね。

この仕事はWebを作って終わりではなく、更新作業もあります。また、Webコンサルをやっている人と知り合ったことで、奈良だけでなく全国区のお客さまとの仕事も始まりました。出会いがあって、人とのつながりでここまでやってこられたと感じています。奈良経済産業協会にも37歳で所属し、経営者の方からホームページに関する相談を受けたのも大きかったですね。

Web関連事業を手広く展開。ワンストップでお客さまの味方に

まず、事業内容について教えてください。

メインはWeb制作ですが、時代とともに、関連する仕事の依頼が増えてきました。ネットショップの運営代行やメルマガ配信、Web広告の出稿、SNSの発信、スマホのアプリ制作、そしてパンフレットや名刺制作など、手掛けている仕事の幅は広いですね。
強みは、Webに関することならワンストップで受けられるところ。お客さまにとっても窓口が一つで済みますし、トータルで相談できるところが魅力になっていると思います。
これまで多くのWebページを作ってきましたが、作ったあとのフォローができていなかったので、そこを強化するため、おととし営業を採用しました。Web制作以外の事業を既存のお客さまにPRしている段階です。

武器は対応力の高さ。意識は常に「次はお客さまのために何ができるか」

これから力を入れていきたい分野は何でしょうか。

Web広告ですね。2年前にWebマーケターを採用し、リスティング広告に力を入れています。 弊社のモットーは3カ月で結果を出すこと。これまで幅広い業種の広告を運用してきましたが、少なくとも3カ月で結果を出してきました。お客さまの目的は、購入、お問い合わせ、実店舗への来店などさまざまですから、これまで経験のない分野の依頼があっても、経験の蓄積による対応力の高さは武器になっていますね。また、競合他社の情報も踏まえ、裏付けをきちんととった報告をすることで信用を得ているとも感じています。
また、独自のWebサービスとして、予約システムをパッケージで販売しようと思っています。「予約システムを作りたい」という問い合わせは多いんですね。ホテルや美容院などの予約システムは大手が手掛けているので、参入する余地はありません。ターゲットとして考えているのは、予約システムが充実していない会議室や体育館といったニッチなところ。シンプルで使い勝手のいいものを作って、毎月の利用料などで収益を得ようと考えています。

時代に応じて事業を拡大されていますが、次は何が来るとお考えですか。

簡単にWebページを制作できるツールも出てきているので、今後は小規模制作の依頼は減り、専門的な知識を生かした大規模サイトの制作にシフトしていくでしょう。いかに見てほしいページに誘導するかなど、階層や導線を考えたWeb制作はまだまだなくならないはずです。リスティング広告を運用することでWebの問題点を洗い出し、ページの改善やリニューアルといった提案につなげていくなど、「次はお客さまのために何ができるか」を常に考えています。
お客さまからの依頼があって初めて気付くこともたくさんあります。コロナ禍でいっきに変わった部分も多いので、新たなサービスについては、常に考えていかなければならないですね。

お客さまが求めるものをそのまま作るのではなく、プロとして提案できることがある

一緒に働くクリエイターに対して、会社としてどのようなことを求めますか。

“お客さまのお客さま”のことを考えた仕事をするように、常々伝えています。クライアントの意向があっても、実際にWebを見る人や利用する人の立場になって提案しないといいものは作れません。また、制作スタッフには、お客さまに専門用語を使いすぎないように言っていますね。クライアントへのメールなどをたまに見ますが、専門用語が多くて分かりにくいものは、もっとかみ砕いて説明するように言うこともあります。
会社は勉強する場ではなく、成果を出すところ。勉強はプライベートの時間で行い、その知識を会社で発揮しなければならないと思っています。今やらなければならないことは教えてもらって作業を進めますが、「なぜ?」の部分は帰ってから自分で調べなさい、というスタンスですね。それぞれが集中して仕事をする意識が根付いているので、残業もとても少ないんですよ。平均で10時間もないほどです。
社員が行きたい研修があれば、基本的に反対しません。それがどう役に立つのかを確認し、許可しています。自分から学ぶ姿勢や意欲は大事にしてほしいですね。

Webクリエイター職業訓練校の実習先にもなっているそうですね。

今年も1カ月間、2人を受け入れて、1人が「就職する意思がある」ということで、そのまま採用しました。実習では働きぶりだけでなく人柄まで見ることができますし、本人もどんな会社でどんな仕事をするのかを知った上で入社を決められるので、お互いにメリットがありますね。

これからどのような会社にしていきたいとお考えですか。

「奈良のWeb制作会社で働きたい」と思っても見合う会社がないという状況を変えたいと思っています。この業界は東京一極集中で、奈良はWeb制作会社が少なく、大阪まで通っている人も多い。会社としての規模が小さく、Web制作を印刷会社さんが請け負っているケースも少なくありません。
弊社は、奈良のWeb制作を一番多く仕事を請け負っているので、今後は近畿、そして全国へ仕事を拡げていきたいと思っています。地元奈良で働ける環境を整えて、2030年に目標である20億円、社員50人を達成したいですね。

取材日:2023年3月6日 ライター:上野 典子

株式会社るーぷ LOOP Inc.

  • 代表者名:大西 隆彦
  • 設立年月:2006年5月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:WEBサイト制作、WEBサイト更新・運用管理、受託WEBシステム・プログラム開発、WEBコンサルティング、WEB/SNS広告出稿及び運用代行、メルマガ・SNS配信代行、SEO対策、MEO対策、スマートフォン用アプリ開発、各種印刷物デザイン(名刺・パンフレット・フライヤー・看板等)、電子カタログ作成
  • 所在地:〒631-0805 奈良県奈良市右京3丁目19-24 PATIO 2F
  • URL:https://web-loop.com/
  • お問い合わせ先: 0742-70-3005

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