WEB・モバイル2023.01.18

広告代理店で培った企画力、徹底したヒアリングで他社に負けないデザインを。お客さまの笑顔がやりがいに

札幌
株式会社プロトゴノス 代表取締役
Akihiro Yoshida
吉田 彰浩

企業ロゴやファッション雑誌、建物の内装から部活動のユニフォームまで。あらゆるデザインで、全国の顧客の活躍を後押ししている北海道札幌市の株式会社プロトゴノス。広告代理店勤務を経て独学でデザインを学んだ代表の吉田 彰浩(よしだあきひろ)さんは、持ち前のセンスと企画力で、創業2年ながら全国の顧客を獲得しています。今後は「地方展開も考えている」と歩みを止めない吉田さん。その成功の背景にある仕事への取り組み方や考え方について、話を伺いました。

広告代理店やインテリア業をするなかで出会ったデザイン業への思い

立ち上げ以前の経歴を教えてください。

以前勤務していたのは、東京の広告代理店です。在宅ワークを希望する人材を広告で募集し、面接をしてパソコンのスキルを測り、合格者を仕事先とマッチングするという仕事でした。当時はそうした業態は東京でもまだ少なかったですね。アフィリエイト広告がうまくハマったことで、全国から月に約1万人の応募者が集まりましたが、さすがに自分たちだけではさばき切れなくて。僕たちが窓口になり他社に割り振りしていました。
そのひとつに札幌の会社があったんです。担当の方と仲良くなって遊びに来ているうちに、いつかここに住みたいと思うようになりました。拠点を変えても面接や広告の仕事はできますからね。知り合いが増えたこともあり、2014年に札幌への移住を決めました。

デザインを始めたのは2年ほど前ですよね。

2021年からですので、厳密に言うと1年半くらいですね。札幌に来てからも面接の仕事をしていたのですが、だんだんと発注社側の仕事が少なくなり、需要と供給のバランスが合わなくなってきました。そこに危機感を抱いて、別の仕事をしようと思ったんです。
そこで取り組んだのが、インテリア雑貨の卸しと販売です。自分でもイラストを描いて販売していましたが、これが大変で……。そうしたなかでWeb制作の仕事を知り、とても楽しそうに思えたんです。これを仕事にできたらいいなという気持ちや、自分で描いたイラストをほかに生かしたいという思いもあり、次第にデザイン業へと気持ちが傾いていきました。

好きこそものの上手なれ。独学でデザインの専門スキルをマスター

デザイン未経験からのスタートと聞きましたが、既に多くの実績を積んでいますね。

書籍を読んで学ぶことが好きでしたので、独学でAdobe InDesignとAdobe Photoshop、Adobe Illustratorのスキルを学びました。周りからは「いつの間にかやっていて、できているよね、じゃあお願いするわ」と言われて(笑)。たまたま僕と札幌の相性が良かったのか、お仕事をいただけています。日々勉強中ですが、すごく楽しいですね。

デザインを始めたときは、どのような思いやビジョンを描いていましたか?

お客さまに喜んでもらえるような仕事をしたいという気持ちが強かったですね。そうでないとやる気が起きませんし、意味がない。これまではお仕事をマッチングさせることで喜んでいただいていましたが、今度は自分のデザインで売り上げや集客がアップし、お客さまに喜んでいただけると気付き、この仕事にやりがいを感じています。

デザインに加え、広告代理店時代に得た企画力が強みとなる

スタッフは何人体制ですか?

スタッフは僕のほかに、営業経験者が1名とWeb制作をするデザイナーが1名、僕と同じくらい幅広くデザインができるデザイナーの計4名です。デザイナーはフリーランスの方で、弊社と専属契約をしてもらっています。今はとても便利で、ひとつの案件に対して応募してくださるフリーランスの方が何百人もいます。そのなかからデザインやテイストを見て、実際にお願いしたいと思う方を選びました。

他社に負けていない御社の強みを教えてください。

今どきのデザインと企画力でしょうか。Webサイトやロゴなどで会社の持ち味を分かりやすく表現したり、販売業であれば商品画像を作ったります。運用に関しては、広告代理店での経験を生かし、どの媒体にどのような広告を出したら効果的かといった提案もしています。

ヒアリングを徹底し、お客さまが求めるデザインに落とし込む

クライアントはどのように獲得していますか。 

ホームページのSEO(検索エンジン最適化)とリスティング広告、営業で獲得しています。現在、一日100件ほど届くお問い合わせや申し込みメールをリスト化し、それを元に僕と営業スタッフで対応しています。以前は広告だけでお客さまを獲得していましたが、現在の戦略ですと費用も抑えられますし、効率がいいと最近気付きました。無駄がなく獲得率が高いのですが、件数に対して営業の人数が足りないため、近々2名増やす予定です。
お客さまの傾向としては、インテリアに興味のある方や、店舗経営や販売事業をしたいという方が多いです。あとは知り合いからの紹介ですね。

デザイン制作において、こだわっている点を教えてください。

現代風なデザインに加え、お客さまが求めていることにできるだけ合わせることです。皆が求めているのは多くの人が想像できるデザインで、最先端のデザインを提案しても伝わらず、「見たことがない」「読みにくい」といった反応が返ってきます。
最初はそれが分からなくて、正直めちゃくちゃ落ち込みました。今でも、その部分の葛藤はあって、本当は第一案や第二案がかっこいいんですよって言いたい(笑)。でも、それは僕たちの感覚であって、押し付けてもだめですからね。お客さまが求める範囲内で、一番オシャレでかっこいい形に仕上げるようにしています。そこの感覚のズレを少なくするためにも、ヒアリングは徹底的に行います。

ヒアリングは営業の方が担当するのですか?

僕もしますし、営業メンバーもします。無形商品を扱っていますし、人によって明るさの度合いや色の濃さの感覚が違いますので、ヒアリングシートに添って、相手が何を求めているかを細かく丁寧に聞き取り、そこからデザインの方向性を立てるようにしています。

全国にクライアントがいますが、クリエイティブに対する地域格差などを感じることはありますか。

どちらかと言えば東京の方が、攻めのデザインが受け入れられやすいですが、だからといって北海道が遅れているとも感じていません。地域によって変わるというよりは、業種や業態、経営者の方の年齢などによって求められるクオリティの違いがあると思います。
世の中にリモートワークが定着したおかげで、今はどこにいても全国の方と仕事ができますし、お客さま側の抵抗感がなくなったことで、仕事がスムーズに進むようになりました。今は札幌のデザイン会社には負けたくない!という気持ちで取り組んでいます。

ユニフォームでモチベーションを。高校部活動のロゴ制作に手応え

これまでに印象的だったお仕事、エピソードについてお聞かせください。

北海道恵庭南高等学校男子バレーボール部のロゴ制作は楽しかったですね。バレーボールの強豪校でASICS(アシックス)がスポンサーになっているのですが、ユニフォームにひと手間加えて生徒たちのモチベーションを高めたいと先生からご依頼をいただき、一から企画して、ロゴ制作や印刷まで関わらせてもらいました。
先方のご要望は、北海道のプロバレーボールチーム「ヴォレアス北海道」のロゴのようなトライバル調のデザインにしたいというものでした。そこで野生の王者であるライオンをメインにし、バックに北海道の形をモチーフにした青い炎を描きました。完成した作品は手直しなしでOKをいただいたので、めちゃくちゃうれしかったですね(笑)。生徒たちにも喜んでもらえましたし、高校生に関わる仕事ができたこともすごくうれしかったです。
ユニフォームに始まり、スウェットやチノパン、バッグなどアイテムが増え、それに合わせて文字やロゴの位置を変えたり、色違いを提案したりしました。これが後輩たちにも続いていくのかと思うと感動しますね。
今は難しいですが、コロナが明けたら大会に応援に行きたいですし、会場で多くの方に僕の作品を見てもらえることを考えるとワクワクします。

ほかにもエピソードがあればお聞かせください。

北海道ガス株式会社からのご依頼も面白かったですね。内容は、約10年前からある自社サービスの「ガスマイホーム発電」をもっと浸透させるために、一から企画を練り直してほしいというものでした。今まで通りの「年間いくら安くなる」というお得さに焦点を当てるのではなく、「違った切り口で」というオーダーでした。
そこで、「普段生活するだけでエネルギーが有効活用できる」「CO2の削減になる」「災害時に役立つ」など、消費者の意識の変化という部分に焦点を当ててデザインしました。文字を少なくし、イラストやデザインで見せるということに挑戦してみたかったので、これはとてもいい勉強になりました。

地方ニーズに応えられる拠点を作りたい

今後の取り組みや将来のビジョンなどを教えてください。

札幌での仕事の仕方をモデルケースにし、地方展開を考えています。デザインはどこででもできますが、もっと身近に話を聞いてあげられる会社があれば、地方の方たちのニーズに対応できるのではないかと思うんです。小さな拠点を作り、対面窓口役として1人常駐させて話を伺い、デザインなどはフリーランスの方にお願いする。このシステムを全道に広げていきたいです。

一緒に働くクリエイターに望むことは何ですか? 

自分もデザイナーなので分かりますが、気持ちが乗らないときにいいものはできません。それなら休んでもいいんじゃないかと。ストレスを発散した後で集中したほうがいいものができると思うので、自分のペースで働きやすい環境を作って、最高のものを作ってほしいです。

クリエイターを目指している人にアドバイスをお願い致します。

僕のように、専門の学校に行かなくてもクリエイターにはなれます。今は専門書もたくさん出ていますし、インターネットでも調べられるので、要領よく学んで実務をするといいと思います。
また、営業はできるに越したことはありません。結局、企画を立てるにも提案をするにも、相手との会話が必要になりますし、お客さまに未来を見せてあげるトークをしないと次にはつながりません。どうしても話すのが苦手な人は、会話が得意な人や営業マンをサポート役にして、一緒に取り組むといいと思いますよ。

取材日:2022年11月18日 ライター:八幡 智子

株式会社プロトゴノス

  • 代表者名:吉田 彰浩
  • 設立年月:2020年10月
  • 資本金:100万円
  • 事業内容:
    1.デザイン業
    2.商業用販促物デザイン、グラフィックデザイン、イラストレーション、パッケージデザイン、企画、立案、制作、管理及び販売
    3.Webサイト制作、LPサイト制作、バナー制作、SEO対策
    4.広告運用代行、リスティング、SEO、チラシ折込
    5.アートディレクター及びコンサルティング業務
    6.看板、インテリア雑貨、日用品雑貨、家具の企画、開発、デザイン、製造、卸、販売及び輸出入
    7.アパレル製品、アクセサリー、服飾雑貨等の企画、デザイン、製造、卸、販売及び輸出入並びにそれらの代行
    8.イベント会場におけるディスプレイに関する企画、デザイン及び演出
    9.キャラクター商品、玩具、文房具、ゲームソフト、DVD、書籍、雑誌等の出版物の企画・制作、デザイン、製造、卸、販売及び輸出入
  • 所在地:〒065-0016 札幌市東区北16条東10-2-8 ブランノワールN16 403号
  • URL:https://www.protogonos.jp/
  • お問い合わせ先:上記HPの「お問い合わせ」へ

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