グラフィック2022.01.12

“こころ動く”デザインを原点に、街・地域・社会の問題解決を目指す、株式会社ワーク・ワンダース

新潟
株式会社ワーク・ワンダース 代表取締役
Hiroyuki Soga
曽我 博行
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「こころ動く場所へ」がテーマ。心が動けば、人を、社会を動かす力になる。そんなクリエイティブの実現を目指すデザイン制作会社。

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いろいろなご縁が重なり、心機一転2020年に現在のオフィスへ移転。

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目の前のお客さまと向き合ってきた結果、数々の広告賞をいただくことにもつながっている。

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広告賞をはじめとした受賞は、会社も個人も自信となり、さらなる成長のモチベーションにもなる。

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2018年新設の私立大学のVI及びスローガンを開発。設立準備、初期段階のコミュニケーションにおいて強い推進力となる。シンボリックなマークは校舎にも大きく配されている。

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コロナ第一波後、いち早く負けない観光業の取り組みを力強いメッセージと共に発信。同時に新潟県の旅館・サービス業向け感染対策用のピクトグラムを開発。新聞広告は第62回 新潟広告部門 優秀賞受賞。

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ビジュアルコミュニケーションを通じたブランディング、広告制作が業務の中心。大型ショッピングモールの周年祭キャンペーンのビジュアル開発。 店内ツールからCMまですべて制作。

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キャラクターによるコミュニケーション設計も得意分野のひとつ。

2012年に起業した株式会社ワーク・ワンダース。それまで有限会社三友(みつとも)で切磋琢磨してきたメンバーたちが、長年培ったノウハウを活かし、さらなるデザインクオリティーを目指して奮闘中です。

これまでの歩みや今後の展望について、また地元新潟におけるデザイン制作で感じることなど、代表取締役である曽我博行(そが ひろゆき)さんに過去・現在・未来のストーリーをお聞きします。

 

メンバー構成はそのままに、クリエイティブに対する情熱をより高めて。

曽我さまのご経歴を教えていただけますか?

新潟デザイン専門学校を卒業後、地元の印刷会社に就職しました。2年ほど勤務しましたが、当時華やかな広告業界に強い憧れがあり、「新聞広告を制作してみたい」と思っていました。

有限会社三友というデザイン制作会社に勤める先輩に相談したところ、そのまま面接&採用に。そして、そこに勤めていた別のある先輩は、誰もが目にする全国的に有名なロゴを制作していたことから「新潟でこんなに大きなプロジェクトに関われるんだ」とワクワクした記憶があります。その先輩は私が入社して1年ほどで独立し、他の先輩方も辞めてしまい、25歳くらいで三友の制作スタッフの最年長になっていました。

どのような流れで起業に至ったのでしょうか?

三友で20年以上勤務する中、当時の社長や専務とともに、今後の業務について、 また、社長が病気だったこともあり、会社の引き継ぎをどうするか? など、さまざまな話し合いをしてきました。

最初は事業を引き継ぐことに対して、リスクや不安を大きく感じていました。しかし改めて思いを巡らし、自分の思考と行動で、将来を見据えた事業のアップデートをしていくチャンスが目の前にあると捉え直しました。そして、社長となって新たに事業をスタートさせようと決断したのが起業の経緯です。

今受注している仕事を引き継ぎ、一緒に働いてきたスタッフもそのまま移行するカタチで2012年6月「株式会社ワーク・ワンダース」がスタートしました。
(※有限会社三友は、印刷部門だけを残し事業継続をするものの2020年に廃業)

ワーク・ワンダース立ち上げ時の苦労、印象的なエピソードをお聞かせください。

設立時から業務も売上もスムーズにシフトできたので、大変ありがたかったです。私が立ち上げの際に重要視したのは「社員のモチベーション=仕事のやりがい」でした。

売り上げの数字のためにレギュラー案件になるからと低単価・短納期の流通チラシや、印刷とセットの簡易なチラシ制作などからは手を引き、同じ時間をかけるならクリエイターとしてのモチベーションが上がるような案件、自分自身が少しでもワクワクするような案件に関わりたいと考え、社員のためにも、自分自身のためにも仕事の内容にこだわりたいと考えました。

それは、クリエイターのやりがいこそが良質なクリエイティブを作り出す生命線だと思っていたからです。仕事をいただけることはとてもありがたいことですが、各自の制作時間も限られているからこそ、仕事を選べる自分たちでありたい、つまり、お客様に選んでいただけるクオリティーやサービスにもこだわり、1つ1つの案件に向き合ってきました。

当時、スタッフ5名(その後1名追加)と私、平均年齢は40才くらいの自立した大人の仲間たちとチームワークも良く、理想的な再スタートが切れたと思います。

今日に至るターニングポイントはいつでしたか?

会社設立から2年目に、新潟日報の新聞大会イベントで受賞したことが大きな喜びと自信になりました。

新聞の特集号が企画コンペで採用になったことはもちろん、新潟広告賞で優秀制作賞をいただいたのもこの年でした。安易な案件に流されず、制作内容にこだわって制作に取り組んできた結果が出たのだと感じられてうれしかったです。

社名に込めた想いはありますか?

ワーク・ワンダースという言葉の起源は、(薬の)「効果がある」「劇的に効く」です。クリエイティブで効果のあるものを作ろう、という気持ちでネーミングしました。

社名を新たに、制作内容を吟味し、受賞の喜びを味わい……クリエイター集団としてさらに上を目指そうと、社員全員がいただいた仕事と向き合う中で「良い仕事をスピーディーに」対応できるようになりました。

定時で帰ってプライベートタイムを満喫し、また翌日仕事に専念するという良いサイクルもこの時に育めた「効果」のひとつだったのかもしれません。

 

人のこころが動けば、社会が動く!明るい未来に一石を投じるモノづくり


創業間もない時に参加した、新潟県内十数の有力デザイン会社と
争った企画コンペで獲得した新聞大会の別刷特集号。
第56回新潟広告賞優秀制作社賞受賞。
その後多くの仕事につながったエポックとなった仕事。

社内にはその時の賞状が飾られている。

 

現在の事業内容について教えていただけますか?

広告宣伝の企画、グラフィックのデザイン制作がメインですが、従来の紙媒体の仕事は減少傾向にあるため、その分幅広いビジュアル提案の相談をいただくようになってきています。このご期待に1つでも多く応えられるプロダクションを目指しています。

VI(ヴィジュアル・アイデンティティ)からブランディング、CMや動画制作、各種ツール展開までクライアントとともに進むためには、アイデアと実行力を伴う多角的なアプローチが大切です。

御社が特に大切にしていることを教えてください。

スローガンは“こころ動く場所へ”。すべての人のこころを動かす「モノ」を生み出していきたい。さらにその「モノ」が街や社会全体に効果をもたらし、「コト」を作り出していけたらと考えています。

単に広告を作って終わりではなく、行政のキャンペーンに広く携わったり、制作物が社会問題解決のきっかけになったり……といった、波及効果のあるプロジェクトを大切にしていますね。

御社の競合優位性は、どのようなところですか?

スピード感を意識して短納期に対応できることと、タイトな時間の中でもお客様の意向を汲み取ってカタチにする制作力でしょうか。

弊社の社員は、さまざまなデザイン制作で培ってきた幅広い広告制作のノウハウや、経験値の高いスキルを持っていますので、「より良いものをよりスピーディーに届ける」ことがシンプルにお客様に選んでいただいているところかと自負しております。

新潟エリアのデザインマーケットについてどのように感じていらっしゃいますか?

私は、ずっと新潟市のデザイン業界におりますが、若い頃は目の前のことに夢中で地域社会全体を見渡すゆとりはありませんでした。

徐々に仕事にも慣れ、広い視野で新潟を見た時に感じたのは「もったいない」です。

新潟=米と酒。確かにそこからお菓子や化粧品などにも派生しています。新潟の県産品や自慢の伝統・文化・景勝地などもたくさんあって。ビジネスにおいても、新潟本社のナショナルクライアントも多いです。ただ彼らは予算もあるため、全国展開する広告は主に東京の代理店が担当します。

地元の広告代理店やデザイン制作会社の規模では対応できないとは思いますが、その中でももっとやれることがあるはず。地元が自らチャンスを諦めているようでもったいない。

いろいろな仕事を通じて、積極的に東京のプロジェクトチームと関わることも、新潟のデザインマーケット拡大には、より一層必要かと思います。

そういったプロジェクトへの関わりから影響力を強くしていき、新潟エリアのプロモーションや地域課題への問題提起、解決への啓蒙・啓発などへの広がりを作っていくのも大事だと考えます。

本当はもっともっといろいろなチャンスがあるはずだからこそ、「もったいない」この状況を少しでも変えていくことにチャレンジしたいですね。

プロモーションやブランディングツールの主体が変化する中での、御社の対応や取り組みをお聞かせください。

世の中の流れに合わせて、紙媒体からWebや動画にもっと力を入れていく必要があると思い、準備を進めてきました。

また日々感じるのは、プロジェクトの肝の部分を高レベルで提供できれば、おのずとそのプロジェクトのクリエイティブには“広がりが出てくる”ということ。その中で、まずは自分で企画やビジュアルを突き詰めることが大事です。

その先はアウトソーシングも含めて、多くの人の知恵、力を借りながら進めていきます。必要に応じて、柔軟にさまざまな連携体制が作れるのも、少数精鋭でやってきている強みだと考えています。

曽我社長がクリエイターとして最も大切にしているこだわりはなんでしょう?

まず高校時代は建築科だったこともあり、広く「モノづくり」に興味があります。

あと、こだわりと言えるかどうかは分かりませんが、自分の作る何かで「誰かを元気にする」「社会を明るくする」ことができれば幸せです。

最近は、子ども食堂、空き家問題、ヤングケアラー(※)などのテーマを何とかしたい。地方の人口流出、商店街の空洞化などの問題にも、自らの仕事でどう関わっていくのか?解決の一助はできるのか?と問われていると感じながら仕事をしています。

※本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子どものこと

 

ローカルを極めてグローバルへ!魅力あるコンテンツで世の中が変わる

制作業務は各自集中。相談や打合せは、振り返れば、
すぐに全員で話せるオフィスレイアウト。

ともに働くスタッフにどのような想いがありますか?

スタッフひとりひとりが自分の個性を大切にして欲しいと思っています。そのために私は、個人のモチベーションをアップする、質の良い仕事をいただけるように努め、振り分けていく必要があります。

時代や年齢、感性など、各社員の個性を考えながら、ターゲットやクライアントとの共感の接点をどのように導き出していけるか、クリエイティブディレクターとして「誰をアサインすると会社としてのクリエイティビティ―が最大化するか」をコーディネートしていく。

なかなか難しい案件も増えていると思いますが、その案件と真剣に向き合う中からの学びが、仕事における成長感を実感しやすいと思っているので、そこに挑戦していって欲しいです。

今後の展望や会社としてのビジョンについてお聞かせください。

現在住んでいる場所や、従来のやり方にとらわれることなく、広く物事を見て仕事に取り組んでいきたいですね。

社会問題との関わりもそうですが、変わり続ける世の中に「何ができるか」を常に考えられる企業でありたいと思っています。

新潟の地域特性を踏まえて、クリエイティブの力をどのように活かしていくべきとお考えですか?

基本的には「ローカルを極めていくことがグローバルにつながる」と考えているので、地域のクリエイティブは、その地域をよく分かっている地元のクリエイターが携わるのが良いのではないでしょうか。そうすることで、いい意味で地方色がより濃く出ると思いますね。

また人口流出と雇用の関係も含めて、若者が住みやすい街作りを行うためにクリエイティブの力を活かすことができないかと感じています。

広告だけではない、広義のモノづくり視点が大事。地域の人々と一丸となり、暮らしの仕組み作りから関われたら理想ですね。

クリエイティブ業界において、今後どのような人材が活躍すると思われますか?

AIの進化が目覚ましい現代において、人間の個性をいかに発揮するかがより問われていると思います。極端に言えば「超個人的思考」「思いつき」こそ大切。流行に乗るのではなく、流行の逆をいくくらいの異端が次の主流を作るでしょう。

あふれる情報から取捨選択が容易にできる世の中で、異端も受け入れようという社会が形成されてきました。だからもっと縛りを外して自由にやっていい。自分らしく進化し続ける人が、きっと活躍できますよ。

クリエイティブな仕事を目指す方へメッセージをお願いします。

従来の考え方が通用しない場面も多い、難しい時代ではあると思いますが、とにかく時代の流れや面白いことを「読む力」を磨きましょう。

コンテンツに魅力があれば、それだけで人やモノは動きます。まずは作ることを楽しんでください。自分発信で構いません。こころ動くものに向かってまっすぐ進むことが大切です。

取材日:2021年10月19日 ライター:本望 典子

株式会社ワーク・ワンダース

  • 代表者名:曽我 博行
  • 設立年月:2012年6月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:広告宣伝企画全般のプランニング、グラフィック広告制作、コーポレートデザイン、パッケージデザイン、ブック・エディトリアルデザイン、カタログ・パンフレット・PR誌制作、ブランド開発、キャラクター開発、ウェブコンテンツ企画制作、テレビ・ラジオコマーシャル企画制作、空間サイン計画のプランニング・デザイン
  • 所在地:〒951-8131 新潟県新潟市中央区白山浦1-614-25 カクサンビル3F
  • URL:http://workwonders.co.jp/
  • お問い合わせ先:025-211-3101

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