出会いそうで出会えない。映画「パリのどこかで、あなたと」

Vol.2
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パリという都会。隣り合うアパートメントでひとり暮らしをしている三十歳のメラニー(アナ・ジラルド)とレミー(フランソワ・シヴィル)。メラニーはがんの免疫治療の研究者として働いていて仕事の忙しさに追われる日々、しかし心の内は元恋人との恋愛を引きずっていて、いくら寝ても寝足りないという過眠症を患っていた。一方、倉庫で働くレミーは、同僚が解雇される中、自分だけが昇進する事になり罪悪感でストレスが重なり眠れず、不眠症に陥っていた。

 

アパートメントが隣同士なだけに同じ電車に乗り、同じ店で買い物をし、同じ物を買っている。換気扇から聴こえてくるメロディも同じだ。ただ顔を合わせてないだけでお互いに似た様な生活をしていた。得体の知れない孤独感を抱きながら。

 

 

『誰かと繋がっていたい。

でもどうしていいのかわからない。』

 

 

そんな思いでSNSを開いてみるメラニーとレミー。メラニーはマッチングアプリ、レミーは学生時代の知り合いに。そして二人共セラピーにも通い始めた。簡単に人に出会えて繋がれる時代、でもこれは本当に繋がっているといえるのだろうか暗たんとした居心地の悪さを感じていた。心の距離が埋まらない出会いというものは、更に孤独や不安を感じさせてくるものだ。

 

『心を開くってなんだろう』

『心地よい関係ってなんだろう』

 

 

自分でも気づかなかった小さいなトラウマが浮き彫りになってゆき、それぞれ自分の心と向き合う様になる。

 

この映画をつくるきっかけについてセドリック・クラピッシュ監督は「インターネットやSNSを使用することが当たり前となった現代において、普通の人たちが共感できるような小さなトラウマを描きたい」と語った。

 

セドリック監督の言う通り、特にこれと言った出来事があるわけではないけれど等身大の日常が淡淡と描きだされている。華やかでお洒落なパリが舞台である事を忘れてしまうくらい身近なものに感じられる。はたしてパリに住む二人の人生が交わる時はくるのか⁈エンディングはとてもフランス映画らしい締めくくりで終わっている。更に猫も出てくる。猫は可愛い。そして猫は人をも可愛くする。

 

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   茶の道をたしなむアラフォーモデルsatoko。 美しい日常に敏感な為、超感覚的知覚が常に刺激され振り回される日々。猫・茶・アート・ファミリー&個性炸裂な友人達に支えられ生きている

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