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手書きタイトルの時代から TV番組のテロップやCG効果をクリエイト

大阪
株式会社タイトルラボ  代表取締役 福永 朗男 氏
株式会社タイトルラボは、TV番組のタイトルやテロップを制作する会社です。番組テロップはもちろんのこと、特に情報番組やバラエティ番組では、テロップの文字はなくてはならないものですが、今はパソコン一つでできる作業も、昔は一文字一文字手書きで制作されていたそうです。そんな一般にはあまり知られていないTVの裏方のお仕事について教えていただきました。 もうひとつ、タイトルラボには「全舷(ぜんげん)」と呼ばれる、従業員に大好評の社員旅行があります。それは一体どんな社員旅行なのでしょうか、代表取締役の福永朗男(ふくながあきお)さん(写真左)と総務経理担当の伊達史子(だてふみこ)さん(写真右)に、お話を伺ました。

手書きタイトルが主流だった時代からのキャリア

会社設立の経緯をおしえていただけますか?

福永さん もともとはTV番組の美術セットを扱う会社の報道専門にタイトルを制作する一部門だったのです。労働組合に加盟し、本社と交渉して独立をしたのが始まりです。

ということは、TV業界の経験がある方ばかりが集まっていたのですね。

福永さん そうですね。立上げはアルバイトも含めて9名のスタートでした。「報道タイトル」という部署だったので、「タイトルラボ」と名前を変えました。当時は報道番組の、スーパーテロップやCGをメインに作っていました。

 テロップとはTV番組の中で、映像の上に表示される文字のことですよね。今と昔では文字の作成方法は違うのですか?

福永さん 今はパソコンで入力すればすぐに反映されますが、それまでは手書きや写植機という専門の機械で作っていました。黒い紙に白いポスターカラーで、明朝体やゴシック体などを手書きしていたのです。あるいは、ネガを現像して選んだ文字を印字する、写植機という機械を使っていました。 その後、文字の仕上がったテロップの用紙を専用のホルダーにはめ、専門の機械にセットすれば、一枚ずつ映し出されるというのが、一連の流れでした。

 ニュースのテロップは、情報が入って放送されるまで短い時間での作業になりますよね?それだけの工程があるとかなり忙しかったのではないでしょうか?

伊達さん そうなんですよ。数分でテロップを出さないとならないのに、一枚一枚テロップ原稿のネガを現像する加工にどうしても時間がかかるので、かなりシビアな仕事でした。 だから手書きテロップを書ける人は、限られていたのです。

福永さん 私たちはそうした手書きテロップが主流の頃からこの仕事にたずさわっていました。テロップの他にもフリップやイラストも手書きで書いたりしていましたね。

短期間で、番組に合わせたクリエイティブを表現

 番組タイトルやテロップの制作以外にはどんな業務をされているのですか?

福永さん 3DCGやVFXを扱うお仕事や、映像の編集作業もさせていただいています。

 制作上、苦労されるのはどんな点ですか?

伊達さん 新しい番組が始まる時の準備期間が短い点です。1つの番組が終わって次の番組が始まるまでに何か月もありません。新聞発表より我々の方が後に知る時もあります。どうしても業界の性質上、前もって知る事ができないことの方が多いんです。 それにタイトルだけでデザインのイメージはできません。しっかり固まった番組のコンセプトも必要になります。そうした情報を揃えてから1日か2日、長くても1週間で仕上げないとならないのです。 しかも春と秋の番組改編時期に、仕事は集中します。タイトルだけでなく、番組内のコーナーもリニューアルすることがあって、そうしたものも含めると、この期間は毎日何かを作ったり変更したりしていますね。

 そうした中で特に力を入れている点は何でしょう?

福永さん  3DCGの制作ですね。 番組のタイトル文字が移動したり、飛び出したりするのは、CG技術です。他にも報道番組では再現CGを取り入れて、よりわかりやすく表現しています。例えば、実際は曇天であっても、イメージ作りのためにCGで晴天画像に差替えることもあります。 今はこうしたCG加工が重要視されていて、背景に合うようなCG映像や、2Dだけでなく3Dも含めた仕事が増えています。毎日放送の3DCG制作部門も、弊社が担当させていただいています。 デザインしたものを専門の担当者が、3DCGで動かしますので、タイトルのデザインは早急に取り掛かります。

伊達さん 短い時間の中で、番組に合わせたクリエイティブな表現をできることが大切ですね。

「全舷」は普段会えないスタッフ同士が交流できる、仲間意識を高める場

 御社では「全舷」という制度があると伺ったのですが、どのようなものでしょう?

福永さん  社員旅行のことです。元々は海軍で乗務員の半数ずつ休暇をとることを半舷上陸と言ったことに由来する言葉で、全舷、つまり全員が休暇をとることを意味しています。新聞社では部署単位で慰安旅行に行くことを指すそうです。 弊社でも毎年いくつかの班に分かれ、代表者を決め、1年間の内どこかのタイミングで旅行に行っています。代表になった人が行先を決定し、中心になって段取りを進めていきます。

伊達さん それぞれ代表者がメールでメンバーに連絡を流したり、アポイントを取って打ち合わせをしたり、みんなが楽しく過ごせるよう計画を練ったり、普通の仕事ではできないことを体験しています。幹事の仕事を通じて皆をまとめる経験ができるのは、良いことだと思います。リーダーシップをとる難しさを、身をもって学べますし、何より旅行に行くことで仲間意識が芽生えます。夜、お酒を飲みながら、普段言えないことが言えたりするんですよ。

 メンバー構成は毎年変わるのですか? 

福永さん 昨年代表者だったメンバー以外の人から、今年の代表者を決めます。代表者が行先を決めて、アンケートで希望を募り、メンバーが決まります。過去にはグアムや韓国、台湾にも行ったこともあるんですよ。 予算は半分を会社が負担し、残り半分を自分たちで積み立てています。それでも結構みんな楽しんでいるようです。社員だけでなく、アルバイトも派遣社員も弊社に所属する全員が参加できる旅行で、みなさん初めは驚かれます。もちろん社員と同じように班の代表も任せますので、その時はもっと驚かれます(笑)

伊達さん 代表者は、旅のパンフレットを手作りで作成します。独特な素材の紙を使ったり、メンバーの似顔絵を描いたり、それぞれ工夫を凝らしています。しおりを作るよう会社から指示しているわけではなく、皆伝統的に引き継がれているのです。

 最近では社員旅行のない会社も多い中、御社ではなぜ「全舷」を続けているのですか?

福永さん 独立する以前、組合活動に参加して会社と交渉した経験が大きいかもしれません。社員の想いを受け取り、大事にしようということから、「全舷」を始めました。これが楽しみという人がいる限りは続けなければと思っています。

 「全舷」を続けていることで、仕事に生かされることはありますか?

伊達さん あります。「全舷」は普段会えないスタッフ同士が交流できる場なのです。 弊社は職場がいくつにも分かれていて、この本社以外に報道局、CG制作部があります。あと情報番組担当も4、5名いて、皆、TV局に直行直帰するのですが、同じTV局内とはいえ階も違えばフロアも違い、なかなか交流することはありません。 だから旅行を通じて親しくなったり、普段の仕事の話ができたりすることが大事なんですね。週1回の番組や深夜の番組を担当する者もいるので、旅行で初めて会うということもあります。情報交換の場としても、とても良い機会になっています。

福永さん デザインをしている人間は、内向的な性格が多いので、もてなす側ともてなされる側両方の経験ができるのは大切だなと思います。また、年齢も肩書も違うメンバーが一緒に旅行することでトップダウンになりがちな関係も、フランクに挨拶できるようになります。役員とアルバイトが同じ部屋になる機会ってそうありませんよね。離れた環境にいても、ひとりで仕事をしているわけではない、仲間意識を感じられると思います。他の班が旅行の間は、残ったメンバーみんなでフォローし合っていますしね。全員が一丸とならないと、不在のメンバーの仕事のカバーはできません。

自分たちの専門性を生かして、地域に密着した番組作りに貢献したい

 今後は会社としてどんな方向を目指していますか?

福永さん 弊社の能力が求められる、タイトルラボだからできる仕事にチャレンジしていきたいですね。 今、ケーブルTVにおけるタイトルとテロップのお仕事も増えているので、地元の関西を中心にもっと充実させていこうと考えています。全国ネットと違い、東大阪市や芦屋市など小さな自治体単位の放送局では、地元のイベントやお祭りを中継し、大きな局では取り上げられない情報を100%に近い状態で提供できます。そこに使われるテロップという文字も非常に重要なんです。

伊達さん ケーブルTVの場合、社員さんが取材や編集などなんでも一人でやらなくてはなりません。たまたま弊社がお手伝いする機会があって、そこからお仕事を任せていただけるようになっていったんです。専門職の人が担当することで、質や効率が上がるメリットを感じられたのだと思います。

 外部の専門職が携わることで、ケーブルTVのできることも広がったのでしょうか?

福永さん あれもこれもと色々なアイディアがあっても「自分たちではできなくて悔しい」という思いがあったようです。でもそこへ弊社が関わることで、できることの可能性が増えたと気づいてもらえたのです。 番組のクオリティが上がれば、視聴者の反響や感想も増えます。伝えたいことが伝えられる番組作りができるというスタート地点に立ったところなんです。そこに私たちも協力させてもらいたいと考えています。

伊達さん 今はパソコンがあって、ひとつひとつの作業は楽になったけれど、人同士は壁ができた感じがします。かつて手書きでテロップを作っていたような、みんなで番組を作り上げていた手作り感がケーブルTVのお仕事には残っているんですね。例えば、甲子園の高校野球を予選から中継できるのはローカルなTV局だからこそ可能です。しかし一方で、防災訓練の生中継が1時間、台風により急遽中止となってしまうような突然のトラブルにも遭遇します。でも逆に現場のスタッフは大きなTV局では味わえない臨場感を楽しんでやっています。若いスタッフにも味合わせたいと思った感覚を、自然と感じてくれているようで、とてもうれしいです。

福永さん 今までは大きな局のお仕事だけでしたが、これら地域に密着したTV局のお仕事によって、仕事の幅も広がっていくと思います。私たちの専門性を生かした番組作りに貢献することで、関西が盛り上がっていけばいいなと考えています。

取材日: 2017年2月17日 ライター: 東野敦子

 

株式会社タイトルラボ

  • 代表者名:代表取締役 福永朗男(ふくながあきお)
  • 設立年月:1991年9月
  • 資 本 金:1000万円
  • 事業内容:TV番組で使用する文字、イラスト、映像のデザイン・制作・編集/TV タイトル、テロップ、静止画のデザイン/CGアニメーション、VFX等の映像を制作 番組の映像を編集/あらゆるロゴをデザイン
  • 所 在 地:〒531-0072 大阪市北区豊崎2-7-9 豊崎いずみビル701号
  • U R L:http://www.titlelabo.co.jp/
  • お問い合わせ先:TEL) 06-6375-0889 FAX) 06-6375-2154 E-mail)info@titlelabo.co.jp

 

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