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人材育成の先に業務拡大の道

仙台
HMK DESIGN 代表 三浦 博文 氏
長年、派遣社員の一技術者として働いてきた一人の男性が、パートナーとともに築き上げた技術者グループの歴史を紹介します。お話をうかがったのは、HMK DESIGNの代表であり、製品設計コンサルタントなど機械設計の分野で多才に活躍する三浦博文(みうらひろふみ)さん。グループ設立からもうすぐ10年。機械設計だけでなく、人材育成、技術・経営・教育コンサルタント、デザイン支援など多分野へと業務の幅を拡げてきました。グループの成り立ちや、現役技術者として多忙な中でも人材育成に力を注ぐ理由など、熱く語っていただきました。

グループとしての役割は「看板」と「場」の提供

HMK DESIGNについて教えてください。

よく宛名も株式会社HMK DESIGNと書かれることが多いのですが、一般的な企業のような組織ではありません。ですから私も取締役ではなく個人事業主のひとりで、HMK DESIGNの「代表」です。プロダクトデザイナーや人材育成、コンサルタント等で活動する妻も個⼈事業主。スタッフの鈴木や⼩⼭、紅も、個⼈事業主として設計やwebデザイン、プログラマーとして働いています。

つまり、「個人事業主の集合体」ということでしょうか?

そういうことになります。そして私の「代表」としての役割は、HMK DESIGNという「看板」と「場」を提供することです。この場に集うメンバーと私との間に契約関係はありません。それぞれが自分たちの仕事を管理しているので、休日も労働時間も自由、個人が働いて稼いだお金はすべて自分のものです。HMK DESIGN内のお金のやりとりは、この場を維持するための月1万円くらいです(笑)。

インターンシップが正規スタッフへの唯一の道

しかしそうなると、看板を利用されてしまう可能性もありますよね。

HMK DESIGNを名乗るためには、インターンシップを通らなければなりません。それは技術のない新人でも、経験豊富なベテランでも条件は同じです。インターンシップ期間に給料は全く支払われませんが、スクール代は無料です。そして、自分自身の働き方や人生の生き方までじっくり考えた上で、このやり方に賛同し、納得して学び、私たちと信頼関係を築いた人に「看板」を提供するのです。そのためのインターンシップとも言えます。

小山さんはそのインターンシップを通って、正規スタッフとなった1人ですね。

彼女は専門学校在学中にインターンシップでHMK DESIGNに入った1期生です。学生スタッフを経て、webデザイナーとして独立するために十分な力を身につけたと判断したので、正規のスタッフになることを提案しました。彼女は私たちの働く姿を見ることで個人事業主としての在り方を学び、会社に所属せずに働くことのデメリットもよく理解していたので、独立しても続けられると考えたのです。

派遣社員としての経験を生かした業務拡大

小山さんがグループに加わったことで、さらにwebデザイン分野の強化につながりました。正規のスタッフが増えるにつれ、業務を拡大していったということでしょうか?

それもありますが、私が21年間、アルプス技研で派遣社員として働いていた経験が大きいです。当時は300人ほどの会社でしたが、エプソンやリコー、ソニー、NECといった大手企業に派遣され、最先端の技術に触れることができました。製造分野も事務機器から家電、自動車と多種多様。おかげさまで独立後、自動車部品や家電、福祉関係や医療関係、玩具などのアイデア商品、設備設計まで対応しています。中でも私が得意とする防水に関わる設計は、さまざまな分野を経験しなければ生まれなかったスキルです。また自覚はなかったのですが、「これほど多くの業種に精通している人はいない」という知人の言葉をきっかけに、技術分野のコンサルタントも請け負うようになりました。

機械設計だけでも業務の幅が広くて驚かされますが、さらに大きな柱として人材育成という、三浦さんの経歴とは一見結びつかない事業もありますが。

アルプス技研では若手技術者の教育も担当していました。さらに同社の新規プロジェクトで、青島科技大学と共同で中国における「教育センター」の立ち上げも経験しています。大変なプロジェクトでしたが、学生や講師を勤めてくれた方々の熱意に大きな影響を受けました。スクールやインターンシップを始めたのは、そのような経験を通して、人材を育てることに魅力と重要性を感じたからです。最近では近隣の大学や専門学校だけでなく、韓国やインドからのインターンシップも受け入れ、国境を越えたHMK DESIGNグループの拡大を目指しています。

国境を越えてさらに躍進するHMK DESIGNグループ

インドとはどのような経緯ですか?

ある時SNSでインドからの友達申請があり、HMK DESIGNの技術を学びたい、そして働きたいという相談をされました。インドはご存じの通り、若年人口が多く、教育レベルも高い。しかし、まだまだ技術のある人たちの働く場がないそうです。彼らは実際にインドから来日し、インターンシップに参加しました。来年をめどに、そのメンバーでインドでの事務所立ち上げを目指しています。

グループでは、同時にデザイン支援も行われていますね。

もともとプロダクトデザインは手がけていましたが、自分たちのホームページを作ることから始め、最初は中小企業のサイト制作支援が必要だと考えていました。業務としてデザイン⽀援をスタートさせたのは、金の知り合いのお嬢さんで、デザインに関心のある⾼校⽣がここに通うようになったことがきっかけです。この人がデザイナーとして働けるように環境を整備し、他のWebサイト受注やチラシ広告、グラフィックデザインやイラストも制作するようになりました。

異業種が結びつくことで生まれる新しい仕事

異なる業種の人々が同じスペースで仕事をすることに、その他にはどんなメリットがあるのでしょうか?

分野の違う仕事でも引き受けることができ、クライアントはHMK DESIGNに一括して発注できることでしょうか。具体的には、製品の設計はもちろん、取扱説明書や販売促進用のチラシまでまとめて制作できます。取扱説明書もチラシも開発者が直接携わることで、より詳しく分かりやすい、製品の魅力が伝わりやすいものになるでしょう。また機械設計の仕事の現場で、ホームページの制作を依頼されるなど、違う現場での活動がグループ内の他の仕事に結びつくことも多いです。

互いの活動をグループで支え合い、時には仕事を回したりもするということですね。

私たちのグループには「営業マン」がいません。それでも、HMK DESIGNの「看板」のもとに集まってくる仕事があります。得意分野が一人ひとり違うので仕事の取り合いになることもなければ、それぞれの担当クライアントが代わることも基本的にありません。しかし例えば私が体調を崩せば、誰かが仕事を代わってくれます。「町内会」や江戸時代の「寄り合い」のようにお互い助け合うシステムになっているのです。

インターンシップで生まれる絆と刺激

インターンシップで築いた信頼が、この関係につながっているのですね。

HMK DESIGNは、ここにいるメンバーだけではありません。中国の大連や、新潟の長岡で活動している人もいます。またインターンシップを経て他の会社に就職する人もいますし、地元で分室を構えた人もいます。学生スタッフを経験したメンバーに、「スタッフを卒業しても、HMK DESIGNはいつでも戻ってこられる場所」だと伝えています。長期休みには、近況報告がてら事務所を訪ねてくれる人もいます。一緒に頑張っているメンバー、遠くで働いている人、全く違う仕事に就いた人、その人たちの活躍がすべて刺激になるのです。

立場や場所を問わない活動が、お互いに影響し合うという良い例ですね。

HMK DESIGNには、インターンでも学生でも、積極的にチャレンジをする土壌があります。小山が学生スタッフの時には有名サイトでアクセス率を向上させるアイデアでサイト制作を提案し採用されたことが実際の彼女の仕事につながりました。またインターンシップに来ているメンバーで、この秋、福島のロボットフェスタに参加します。自分のやりたいことにチャレンジすることは、その出来栄えに関わらず、彼らにとって良い経験になるし、私たちにとっても大きな刺激になるのです。良いものを完成されることを望んでいます。

目指すは好きな場所で、好きなだけ、働き続けること

そんな熱意あるスタッフにさらに求めることはありますか?

スタッフ全員に「HMK DESIGN」を誇りに思ってほしいですね。雇用関係はないので、どのような働き方をするかを決めるのは自分自身です。それぞれが自ら選んだ道を進むという意志を持ち続けて欲しいと思っています。

今後の展望をお聞かせください。

スタッフ全員が自立し、お互いに協力し合える関係が理想です。転勤もなく、定年も無く、働きたいと思えば何歳でも働けるようなスタイルを確立していきます。例えば女性が結婚後に住む場所が変わったのなら、その場を「支部」にすればいいし、育児中も調整しながら働けるような環境にしたいですね。全国どこでも、さらには海外に行っても、例え明日私が死んだとしても、「HMK DESIGN」という看板ひとつで、スタッフ全員が働き続けられることを目指しています。

取材日: 2017年9月4日 ライター: 飯田裕子

HMK DESIGN

  • 代表者名:代表 三浦 博文(みうら ひろふみ)
  • 設立年月:2008年6月
  • 事業内容:人材育成、機械設計、技術・経営・教育コンサルタント、デザイン支援
  • 所在地:宮城県仙台市青葉区福沢町2-10 ミマツビル2階
  • URL:http://www.hmk-d.com/
  • お問い合わせ先:上記グループサイト内「お問合わせ」、もしくはmail@hmk-d.com
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