ゲーム2020.01.29

ゲームの面白さの一翼を担うUIにいち早く着目して勝負する、プロフェッショナルチームの挑戦

東京
株式会社ElEngine 代表取締役社長 山崎 健士
TAKESHI YAMAZAKI
山崎 健士

昨今、注目されているユーザーインターフェース(UI)デザイン。使う側が直接触れるが故に、ビジュアルだけでなくユーザビリティがよりシビアに求められる、情報設計分野がフィールドとなるデザインです。まだUIデザインという呼び方もなかった頃から、このジャンルでの実績を積み上げ、注目されている株式会社ElEngine (エルエンジン)。代表の山崎健士さんは、学生時代にはボクサーとして活躍し、社会人になってからデザインの世界へ飛び込んだ異色の経歴の持ち主です。デザインとゲームを愛し、努力と挑戦を繰り返し、少数精鋭のスタッフとともに成長を続けてきたElEngineの軌跡とUIデザインについて伺いました。

ボクサーからデザイナーへ。武器はプレーヤー側の直感的な感性だった

ElEngineを設立した経緯を教えてください。

僕は大学を卒業してから、情報設計を担当するデザイナーとして、ゲーム系IT企業で働いていました。まだUI デザインという言葉があまり広まっていなかった時代で、専門でやっている人はあまりいなかった。それならこの分野を専門にした会社を作れば、独占的な需要があるんじゃないかと考えたのが設立のきっかけの一つです。
タイミングとしては、もともとフリーランスだったところ、とあるクリエイティブ関連会社の役員の方に声をかけられてゲーム制作のプロジェクトに参加したときに、インキュベーションセンターの見学に誘われたんです。訪れると 3 人くらい偉い人が揃っていて、面談のような形で起業に関しての意思を聞かれました。そこで税理士など手続きの話が進んで、 2 週間後には会社を作っていました。作るならさっさと作ってしまおうとは思っていましたが、その面談がなければまだフリーだったかもしれません。タイミングって難しいですから。

ゲーム作りの中でUI を作る魅力はなんでしょうか。

UI を設計とは僕はあまりイメージしていないんです。UI はゲームの面白さに直接関わってくる部分だと思っていて、押したくなるようなボタンなど、自分がプレーするような感覚で作っていました。自分自身がゲームユーザーなので、自社でも他社でもゲームをしていると気になります。ここはこんなボタンの方がいいな、とか。他に、うちは新規のゲームが多いんですが、クライアント側のディレクターから受け取る情報設計を確認して、よりよい形になるよう、こちらからクライアントに提案させていただくこともあります。情報設計を専門にやってきた人が少ないので、こちらから話す方がスムーズにご理解いただけると感じています。

ゲームデザインに興味をもたれたのは自分がプレーヤーだったことも影響していますか。

ゲームデザインに関しては自分がゲームユーザーというのは確かにありますが、デザインそのものに興味を持ったのは大学を卒業してからです。実家がパン屋で、店のサイトやチラシを作ったところから、デザインの面白さに惹かれました。僕は大学を出てからデザインの世界に入っており、学生の間は、バリバリの体育会系でボクシングをしていました。そのこともあって細かい作業などは向いていないんじゃないかとも思ったりもしていました。ボクシングとデザイナーって別世界ですから。ボクシングではインターハイに出たり、成績を残してきましたし、今でも関係者の方とお付き合いもあります。ただ今後の人生をどちらで勝負していくのかを真剣に考えた時に、ゲームデザインの世界で勝負をしたいと思いこの世界に入りました。

作り上げたという達成感。制作を支えるのは信頼された少数精鋭のチーム

制作のやりがいや醍醐味については、どのようなお考えでしょうか。

クリエイターとしてのやりがいや面白さは、ユーザーが楽しんでプレーしてくれることですね。それに、自己満足的ですが「こんなのが作れた!」という達成感もやりがいの一つです。うちではグラフィック部分から設計を全部やっています。ワイヤーを作って、それに従って設計し、システムは外注しています。アニメーションは外注もありますが、内部でも作成しています。制作内容が多岐にわたることもあり、うちは少数精鋭でやっています。今はトータルでスタッフが12人、そのうちデザイナーが8人程度在籍しています。長く一緒にやってきた仲間が多く、何でも言い合えるような気心のしれた関係です。事情があって家庭で働いているスタッフもいます。かなり自由な社風でのびのびと働ける環境です。担当の仕事がきちんとできていれば、文句もありません。会社としては、それぞれが一つの道のプロフェッショナルになってほしいと思っているので、一つのことを深掘り下げてほしいです。

自立した優秀なスタッフがチームとなっているわけですね。

一人一人が独立できるくらいのスキルは持っています。グラフィックのセンスもあるし、スタッフの質は自信があります。うちが育ててきたというより、みんなが会社を大きくするために努力してきたという感じです。入社の段階で全く UI 未経験者の人材はいません。実務はなくても、UI を勉強している人間ばかりです。UI におけるセンスは、ボタンの光らせ方一つをとっても、商品化前提で考えられているかというところに出てきます。そのラインをクリアしていることが採用の条件ですね。 仕事が好きで向上心もある人間が集まるので、熱意もありますし、デザインを作って迷うときには社内で意見を求めます。忌憚(きたん)なく意見を交わせる環境です。業務はチャットワークでそれぞれ大まかな部分は管理していますが、細かくは管理していません。自分自身もそうなんですが、ガチガチにしてしまうとデザイナーもやりにくいしモチベーションも落ちますから。そこは信頼しています。スタッフの自主性もあるので、言われたこと以上のこともやってくれます。失敗はしてもいいんです。失敗を失敗としてしまうのではなく、そこから学ぶことがあればそれはプラスになります。

会社も山崎さん自身も探究心が強いと感じますが、ゲームはかなりプレーされていますか。

基本、新作が出ればチェックしています。市場の動向も気になるので、売り上げの上位ランクのサイトをほぼチェックし、どのアプリがどのくらいランクアップしたかを見て、仕様変更のタイミングであれば、その変更でどんな影響があったのかプレーして確認もします。ヘビーユーザーとしてプレーしているゲームだけでなく、話題になっているゲームも一度はプレーしてみています。

デザインするときにユーザー側に立って感覚的に制作されるとのことでしたが、リサーチもかなりされていますね。周りのスタッフとどのように制作されていますか。

スタッフは僕のことを「本能で作っている」と言っています。周りの意見も聞きますが、僕はあまり自分が間違ってはいないと思っています。もちろん聞くべき意見は聞きますし、クライアントの意見を取り入れることもあります。自分がはっきりこうだと思えるのは、自信というより、決断するしかないタイミングがあるからではないでしょうか。そういう思い切りは、ボクシング時代に培われた気がします。

デバイスの進化と UI の未来は、日常にも広がっていく

これから会社をどのように発展させていきたいですか。

めちゃくちゃ大きな会社にしたいという考えはありません。それぞれが優秀なスタッフを集めたいと思っています。また、弊社のミッションとして「デザイナーの市場価値を上げる」を掲げています。デザイナーは0から 1 を生み出す仕事なので、もっと報酬を受け取っていい。まだ実際はそこまで出来てはいませんが、規模を大きくしてデザイナーに還元していきたいですね。

今後、UIデザインやゲームの世界はどのように変わっていくと思いますか。

スマホを含めてデバイス面でもこれからも進化していくでしょうから、扱えるデータも大きくなると予想されます。既に、遠隔での操作や同時接続やドローンの活用などが始まっています。以前、アーティストのライブで、世界の各拠点から中継して合成する手法が話題になりました。おそらくこういった技術がゲームに与える影響は大きいでしょう。他社とも勉強会をして、情報には敏感でいるように努めています。ゲームだけではなく、3D においての UI デザインも必要とされています。例えば、仕事の研修でゴーグルをつけて、MR (複合現実) で道具を手にしてシミュレーションできるような研修での活用を、検討される会社も出てきています。今後はゲームだけでなく、UI のノウハウを別のデバイスになったときにどう活用していくのかを、話題にしています。

今後、挑戦してみたい仕事はありますか。

今のアプリランキングは、ゲームとマッチングサイトのほぼ2つで、マッチングサービスにも興味があります。ベースを作れば応用もできますから、例えば会社とデザイナーのマッチングもできるようになります。こういったマッチングで、人材を結びつけることができればと思います。飲食店もやってみたいですね。卓球バーとか。みんなと酔っ払って卓球したり、楽しいだろうなと想像しているだけなんですが。自分が面白いと思うことをやっていきたいです。

クリエイターとして働く人たちへ、メッセージをお願いします。

いろんなところで働いていて、もし今の仕事に思うところがあれば、うちに来てください。新しい仕事をやってもいい。できる事業であればやっていこうと考えているので、挑戦したい人、うちに興味を持ってくれた人をお待ちしています。

取材日:2019年12月10日 ライター:久世 薫

株式会社ElEngine (エルエンジン)

  • 代表者名:代表取締役社長 山崎 健士
  • 設立年月:2015年12月
  • 事業内容:ゲーム制作および販売、グラフィックデザイン、ウェブサイトの制作、イベント企画・運営
  • 所在地:〒150-0011 東京都渋谷区東2-23-14 白鳳堂ビル3F
  • URL:https://elengine.co.jp/
  • お問い合わせ先:info@playmotion.co.jp

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