WEB・モバイル2016.03.16

Webで、もっと楽しいリアルを創り「インターネットってすごい!」を伝えたい

札幌
株式会社ジャクスタポジション 代表取締役 西山 泰史氏
商工会議所での職務経験を活かし、ウェブインテグレーション、ウェブコンサルティングを行う株式会社ジャクスタポジションを設立した西山泰史さん。今では生活の中にあるのが当たり前となったインターネットの可能性を改めて知って欲しいと話す西山さんに、会社設立の経緯とこれまで、そして今後のビジョンについてお話を伺いました。

商工会議所での経験を活かし、ウェブコンサルタントへ

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会社設立の経緯について教えてください。

大学卒業後の1996年に小樽商工会議所に入所し、そこで経営指導員として働いていました。経営指導員というのは、創業支援や融資、税務相談などを含む事業経営を行うにあたっての相談を受けたり、指導を行う仕事です。 ある時、電化製品を小売する経営者の方から、数百万円単位の融資を受けて、ウェブサイトを作って通信販売を始めたいという相談がありました。金額的には妥当な額でしたが、既に大手の販売店がインターネットを利用した通信販売を始めているなか、小規模な事業者がウェブサイトを作っただけで売上が上げられるとは考えにくいと思いましたが、ウェブサイトを上手く活用する専門的な知識を持っている人もまだまだ少なく、周囲には相談できる人もいない時代でした。 もともとウェブに対して興味があって独学で勉強していたのですが、このことがきっかけとなり、インターネットやウェブサイトを活用したいと考えている事業者に対して、ウェブサイトの構築や運営コンサルティングでチカラになれるのではないかと考えるようになり、独立を考え始めました。

それからすぐに独立されたのですか?

いえ。しばらくは商工会議所に勤めながら勉強して、2004年の春に独立し、個人事業としてジャクスタポジションの業務を開始しました。私は栗山町出身で、大学時代は札幌で過ごしましたが、社会人としての経験は小樽だけだったので、まずは、地元小樽からスタートしようと、小樽に自宅兼事務所を構えました。

札幌に事務所を移されたのはいつ頃ですか?

独立して2年くらい経った頃、仕事がだんだん忙しくなってきて札幌のクライアントも増えてきました。その頃から、フリーランスのプログラマーやデザイナーの人たちと一緒に仕事をするようになり、2011年に札幌へ自宅兼事務所を移し、さらに、その2年後の2013年に会社を法人化して、現在の場所にオフィスを構えました。個人事業で創業してからもうすぐ13年目になります。

クライアントの仕事の中身を「知る」「聞く」ことが大切

主な事業内容について教えてください。

ウェブサイトを作ったり、プログラムを開発したり、ウェブサイトの運営にかかるコンサルティングが主な仕事です。 弊社は、ほとんどのクライアントと直接取引をさせていただいています。クライアントの仕事の中身について知らないと何もできませんので、まずは、ヒアリングをして事業内容や提供する価値などをしっかりと把握します。そのうえで、それぞれのクライアントの強みを際立たせるように、見せ方、強化ポイントについてアドバイスを行いながら、ウェブサイトの構築を行っています。

商工会議所時代の経験が、今の仕事にも大きく影響しているようですね。

そうですね。商工会議所時代に様々な業種の方とお付き合いさせていただいたのは、非常に良い経験になっていると感じています。特に融資相談を受ける際は、銀行への推薦状を書くこともあるのですが、それには相手の仕事の中身や業績をよく理解していなくてはならないんです。担当する企業も決まった業種ではなくて、多岐に渡っていましたので、それぞれの業種のポイントとなる部分について「見る」「聞き出す」といったスキルは、自然と身に付いていたのだと思います。

そうやって、必要・不必要なものを見極めるということですね。

そうですね。クライアントの話を聞いて、もしもウェブサイトにお金をかけるより、別の方法のほうがいいと思えば、そのように提案することもあります。同業の他社でも、外国語に強い、広告に強い、アクセス解析に強いなど、特化した会社があるので、少ない費用でもっと効果が得られるのであれば、他の会社のサービスを利用することを勧めることもあります。クライアントの事業が上手く行って売上が上がる、業績が伸びる、そのお手伝いをすることが弊社の仕事だと考えていますから、弊社だけが儲かればいいというものでもないんです。

メインとなる業界、あるいは強い業界はありますか?

クライアントは、一般企業をはじめ、学校、幼稚園、弁護士さんなどが多いですね。 通信販売のプログラムを比較的早い段階で自社開発していたので、その集客を含めたシステム全体や決済方法についてクライアントから質問をいただいても、様々な方法を提案できるという強みもあると思います。

ウェブサイトの構築や運営に大切なのは、 どういう人(誰)が利用するのかという視点

ウェブサイトを制作する中で、同業種同士どのように差異を付けているのですか?

例えば、幼稚園のウェブサイトを作るとしますよね。幼稚園ごとに理念がありますが、恐らく聞いてみると「元気で明るく、社会性と協調性を養い……」など、そんなに大きな違いが現れにくいケースが多いです。 そこで、私は打ち合わせの際に、園舎や教室の雰囲気、現場で働く先生たちの声や表情なども確認するようにしています。これは幼稚園でも一般企業でも同じです。私が受け取った印象に加えて、どういった幼稚園なのか、どういう考えを持っているのかを細かく聞いて、ウェブサイトに掲載する文章や写真、全体のデザインに反映していくことで、それぞれの個性が出ると思っています。

では、制作時に1番重視しているのは、どういう点ですか?

「どういう人(誰)が利用するのか」ですかね。例えば同じ幼稚園だとしても、中央区にある幼稚園と南区にある幼稚園とでは、生活環境や両親の職業・年齢も異なる場合があります。それらを踏まえたうえで、利用する人たちに響くように作るのが大切なのです。この場合、私はクライアントである幼稚園側の視点で作っているので、弊社のお客さんは幼稚園ではなく、幼稚園に子どもを通わせる保護者の方たちなのです。保護者の方が見て、「この幼稚園に通わせたい」と思ってもらえるかが腕の見せどころです。

そうした作業は、西山さんお一人でされているのですか?

いえ、私以外に社員が一人おりますが、制作については私が企画や設計を行って、その後、外部のパートナーの方と協力して仕事を進めていくことが多いです。 最近は同じ世代の社長さんたちに会う機会が増えたのですが、皆さん、私がもっと何十人も社員を抱えていると思っていたらしく、私以外に社員が1人と言うと、意外だと驚かれることが多いですね。

インターネットの可能性を多くの人に実感してほしい

この仕事をしていて、何か印象的な出来事はありましたか?

それこそ独立をした時ですが、それまでの商工会議所でお付き合いのあった方に連絡をしても、商工会議所という看板を持たない自分の話を聞いてくれる人は少なく、気持ちが折れそうになりました。これでは仕事が入ってこないと不安になりましたが、せっかく時間があるならと自分の会社のウェブサイトに力を入れはじめると、ウェブサイトを作りたいと思っている人が、弊社のサイトを見て連絡をくれるようになりました。私が営業をしなくても、ウェブサイトが仕事をどんどん取ってきてくれる、これはすごい営業マンだ!インターネットってスゴイ!と感動したことを覚えています。

その時の思いを他の方にも実感して欲しいという気持ちが、仕事を続ける原動力になっているということですか?

そうなんです! 過去には予約し忘れて買えなかった本を、徳島の小さな書店から取り寄せることが出来たり、限定色のラジカセが買えたりしたこともありました。この仕事を始めてからは、自分が参考にしていた本の著者に次々とセミナーで会えて、そこからメールやFacebookなどで交流を持てるようになったり……。インターネットをきっかけにして、それまでであれば考えられなかったような出来事が私には起こったのです。このようなことは私だけに起こっていることではないと考え、インターネットやウェブサイトを上手く活用できれば、きっと他の人にも同じことが起こる。だから、私は、情報を知りたい人と知っている人を、サービスを受けたい人と提供している人を、商品を買いたい人と売っている人をつなげる場をインターネット上に作り、ウェブを通してもっと楽しいリアルを創りたいと思っています。

理想とする仕事を展開するためには、社員の増加も必要では?

それも考えています。満足なものを作るには私1人では手が回りきらないことも多いので、忙しいからではなく次の仕事をするために、今の仕事を担ってくれる人が必要だと考えています。 求めるのは「自分で考えられる人」です。私の言うことはbetterであってbestではない。それをbestだと鵜呑みにしてしまうだけの人は、クリエイティブ業界においてはつまらない人だと思います。技術は後から付いてくると思いますので、more betterなアイディアを出せる人が欲しいですね。

今後の事業展開について、どうお考えですか?

今は、インターネットがすごく身近なものになっている反面、若い人たちは特にその凄さが当たり前になっている部分も多いですよね。身近なことには誰しも気付きにくいのですが、かつての私が心動かされたように、インターネットってもっとすごくて楽しいものだということに改めて気がついて欲しいと思っています。これからも「これって、インターネットやウェブがあったから実現できたよね」ということを体感してもらえるような仕事を続けていきたいと思っています。

取材日:2016年3月2日 ライター:八幡智子

株式会社ジャクスタポジション

  • 代表者名:代表取締役 西山 泰史(にしやま やすふみ)
  • 設立:2013年10月
  • 資本金:1,000,000円
  • 事業内容:ウェブサイト(ホームページ)企画、制作、管理、運営、ウェブプログラム、システム開発、ウェブコンサルティング。ロゴ・ロゴマークデザイン、パンフレット・フライヤー制作ほか
  • 所在地:札幌市中央区南2条西7丁目 日宝南2条ビル6F
  • URL:http://www.lat43n.com/
  • お問い合わせ:上記ホームページの「お問合せ」より
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