WEB・モバイル2022.01.12

会員数110万人を突破!人気お試しサイト「モラタメ.net」が成長を続ける理由

Vol.199
株式会社ドゥ・ハウス 代表取締役会長
Yusuke Takasu
高栖 祐介

話題の新商品が無料でもらえたり、半額に近い価格で試せると話題のサイト「モラタメ.net」。2006年のサービス開始から約15年。会員数は110万人(2021年12月現在)を突破し、日本最大級の商品お試しサイトへと成長しました。「モラタメ.net」を運営する株式会社ドゥ・ハウスの高栖祐介(たかす ゆうすけ)会長は「企業と消費者のミスマッチをなくし、社会課題の解決に貢献したい」と語ります。同社はどのように「モラタメ.net」を成長に導いたのか、その先に見据える世界とは? サイト誕生の経緯や、今後の展望もあわせてうかがいました。

 

本当に欲しいと思う人に商品を届けるサービスを作りたかった

まず「モラタメ.net」はどんなサービスなのか、あらためて教えてください。

主に「モラえる」と「タメせる」の2つの使い方があります。「モラえる」は、ご応募いただいた方の中から選考もしくは抽選で商品をお届けしています。「タメせる」は、900円から1000円程度の送料関係費を払えば、約2000円相当の商品を試せます。商品の感想はコメントやブログからのトラックバックで投稿でき、それによってポイントを貯めることもできます。掲載商品は、皆さまがよく知っている大手メーカーから、地方の老舗メーカーまでさまざま。現在、年間150万件ほどのサンプリングをさせていただいています。

Webサイト:https://www.moratame.net/

新商品や話題の商品をお得に試せるのはうれしいですね。

いろいろな商品を試したいけれど、正規の値段を払って試すには「失敗したくない」などの心理的なハードルがあるものです。「モラタメ.net」では、実売価格の半額程度で新しい商品を試せますから、それで気に入ったら今度は安心して店頭で買えますよね。このように、新商品などをお得に体験できるのが、ユーザーにとってのメリットの一つだと考えています。

商品を掲載する企業にとってはどのようなメリットがありますか?

企業独自でサンプリングをしようとすると、送料コストが大きな負担となります。「モラタメ.net」は送料関係費をユーザーに負担してもらう仕組みなので、数多くの商品を配っても、企業側の送料コストの負担は増えません。自社の商品を広く多くの人に試してもらいやすいというわけです。また、寄せられたクチコミは、商品の開発や改良、商品プロモーションなどに役立てられます。例えば、企業は商品の味を訴求していたのに、「ゴミが出ない」とか「使いやすい」といったコメントが多く上がっていたら、企業は自分たちの訴求とユーザーが受け取っている価値のギャップを知ることができますよね。一方、ユーザーにとっては、クチコミから新しいレシピや商品の使い方など、生活に役立つ情報を得られます。

双方にメリットのある仕組みなのですね。この「モラタメ.net」はどういったきっかけで誕生したのですか?

消費者が「欲しい」と思ったものを「購入する」までには高い壁があります。例えば、ある新商品を紹介した際に「いくらだったら買いますか?」と消費者にたずね、「1万円」という答えが返ってきたとしましょう。「それなら今すぐ1万円で買ってください」といっても、実際にその場で1万円を払って買う人はまずいません。言葉で「1万円なら買う」といっても、なかなか購買行動には移さないのです。加えて、これまでの日本のマーケティングは、年齢や性別、住んでいる地域などによってセグメントを定め、ターゲットを絞り込んでいくという手法を多くとりました。しかし、マーケティングをする側の思い込みが影響することもあり、実際の購買行動とギャップがよく生まれました。こうした課題を克服するには、本当に欲しいと思う人に商品を届けることが大切です。そこで「お金を払ってでも試してみたい」という購入意向の高い人へ商品を届けるサービスとして生まれたのが「モラタメ.net」というわけです。

立ち上げ当初、注力したポイントはどこですか?

「モラタメ.net」がスタートした2006年は、ちょうどブログが流行り始めた頃でもあり、主にブロガーに使ってもらう目的でプロモーションしました。ブログの力を借りて、なんとか会員の集客などをできないかと考えたのですね。そこでまず、ブロガーを対象にサンプリングを実施したのです。熱心な方は、毎日のようにブログを更新します。しかし、なかなかネタが続かないのも実情です。ブロガーへサンプリングを行うと、ブログのネタが提供されますし、弊社にとっては「モラタメ.net」を紹介してもらう機会が増えます。立ち上げ当初はあまり広告に投資せず、ブロガー経由での集客に力を入れました。

会員数110万人の人気サイトに成長!その理由とは?

今では会員数110万人という日本最大級のお試しサイトに成長しました。ここまで会員数を増やせた理由をお聞かせください。

会員登録を促進するための広告は、各媒体ごと定期的に掲載しています。テレビの効果も大きいですね。ときどきタレントさんが生活情報番組などで「モラタメ.net」を紹介してくださると、サーバーが落ちるのではないかと思うほど多くのアクセスがあります。あとはやはり、立ち上げ当初から引き続き、ブログの力でしょうか。会員110万人のうちブロガーの数は12万人で、今は皆さんSNSを使った発信もされています。広告とクチコミがベースにあり、SNSなどで盛り上がればときどきテレビで取り上げていただきながら、自然と会員数が増えている状況です。もう一つの理由として、弊社はできるだけオープンな姿勢で、さまざまな企業とアライアンスを組んできました。パートナー企業が増えれば、まだ取引のない企業に認知していただける機会も増え、提携先などを経由してユーザーの方々に存在を知っていただけます。なるべく多くの人と一緒に成長しようというマインドが、「モラタメ.net」の成長を支えているのかもしれません。

クリエイティブに関して大切にしていることはありますか?

「モラタメ.net」には常時、約100商品が掲載されています。これらの商品ページはすべて、テンプレートを使わずにラフから起こして作っています。もちろん、他の業務は自動化して効率的に進めるように改善を進めていますが、どうしてもデザインの部分だけはテンプレート化に抵抗があって…(笑)。やはり商品ごとに訴えたいポイントや最適な伝え方が異なりますので、「この商品はどういうページを作れば理解されやすいのか」など、クライアントを交えてあれこれ議論しながら、あえて手間ひまかけて丁寧に作っています。

商品の魅力をきちんと伝える努力が実を結んでいるのですね。2006年のスタートからこれまで、変化させていった部分はありますか?

基本的に「モラ」と「タメ」のサービスは変わっていません。ただ、当初はほとんどがPC利用者でしたが、今はユーザーの半分以上がスマートフォンやアプリ経由で利用されています。さらにSNSが一般的になり、生活者が発信できるデバイスやツールは大きく変化しています。それに合わせて、サービスも強化したいと思っています。

近年、あらゆるサービスにおいてクチコミの価値が上がってきたと感じます。以前と比べ、クチコミの質も変わったのではないでしょうか。

いわゆるCGM(コンシューマージェネレーテッドメディア)という言葉が注目されているように、生活者が情報発信する時代になりました。「いいね」や「バッド」の評価がつくようになり、レビュアーも読まれていることを意識して書くようになったおかげで、レビューそのものの価値や質が上がってきたのだと思います。あわせて、情報を受け取る側の意識も変わったように感じますね。例えば、グルメサイトでラーメン店を中心にレビューしている人がいたとしたら、「自分もラーメンが好きだからこの人のレビューを参考にしよう」といった具合に、レビュアーの好みや生活スタイルまで意識する人が増えています。やはり人の力は大きい。こうした変化は、我々としても参考にしていきたいところです。

前例や既成概念にとらわれず常に挑戦を続けたい

「モラタメ.net」を運営するドゥ・ハウスはどのような会社なのか教えてください。

弊社は「Human Networking Industryの創造に貢献する」という理念を掲げ、デジタルやネットワークを活用したマーケティングサービス事業を展開しています。生活者フィールドと流通フィールドにおいて、クチコミを中心としたプロモーションサービス、および定性情報を核としたリサーチサービスを行い、多様なマーケティングニーズにお応えしています。1980年当時、創業社長には「結婚を機に会社を辞めて家庭に入ることが多い専業主婦の女性に、社会で活躍できる場を用意したい」という思いがありました。そこで主婦の方々をネットワークし、企業の商品開発者などに生活現場の情報や店頭の様子を伝えるお仕事をしていただいたのが、弊社の事業の基盤になっています。現在は約550万人の生活者をネットワークして、メーカーマーケティングを支援しています。

高栖会長がドゥ・ハウスに入られたきっかけはなんですか?

ドゥ・ハウスにジョインしたのは1996年。大学生のとき、電子メールのマーケティング事業の新規立ち上げに、アルバイトとして加わったのがきっかけです。1997年に入社してからは、同プロジェクトのほか、ジョブローテーションで既存サービスの部署も経験させていただき、上司からマーケティングの基礎をすべて教えてもらいました。そのあと営業職を経て、入社6年目あたりから新規事業立ち上げ担当になったという流れです。

例えばどういった事業の立ち上げに関わられたのですか?

思い出に残っているのは、25歳くらいのとき、のちにモラタメの源流にもつながるレビューサイトの立ち上げですね。ちょうどECが活況になり始めた頃で、海外ではさまざまなレビューサイトが立ち上がっており、日本でも「買い物の前にレビューを参考にしたい」という人が増えていた時期でした。そこで弊社でもレビューサイトを立ち上げることになったのです。ただ、このプロジェクトには大きな反省点があって。弊社は定性調査を強みとしており、レビューに関しては並々ならぬこだわりを持っていました。しかし、そのこだわりのために、商品に点数をつけるなどレビューを定量化して表現する手法には否定的で、なかなか新しいチャレンジができなかったのです。結局、そのレビューサイトはうまく軌道に乗りませんでしたが、この失敗体験は、前例や既成概念にとらわれず常に挑戦することの大切さを学んだという点で、私にとって大きな財産となりました。

ミスマッチのない世界の実現に向けて

そのご経験がのちの「モラタメ.net」の立ち上げにも生かされているのですね。今後は、どのような成長戦略を描いていますか?

一つは、商品を体験できる場を増やすことです。弊社ではこれまでも、例えばANAマイレージクラブ会員さま向けの「サンプル.net」や、T会員さま向けの「Tサンプル」など、他社との協業により弊社以外、いろいろなプラットフォームの会員の方々にも「モラタメ.net」を試していただける機会を増やす取り組みを行ってきました。今後もこうしたアライアンスの拡大に注力していきます。もう一つは、日用品などの消費財だけでなく、家電製品や家具といった耐久消費財、さらにはレジャー施設などサービスや体験そのものをお試しできるようにしていきたいと考えています。やや高額な商品やサービスでも、事前に試せれば、自分に合わないものを買わずにすみますから。体験できる商品やサービスをさらに増やし、「モラタメ.net」の活用の幅をますます広げていきたいですね。さらに、SDGsにもしっかり取り組んでいく考えです。社内でSDGsへの意識を高めるだけでなく、2021年9月には「SDGsプロジェクト」として、SDGsの達成を支援する団体に決済金額の一部を寄付する活動をスタートしました。「モラタメ.net」は、さまざまな商品との出会いの場を提供するサービスであるとともに、持続可能で安心して暮らせる社会の実現に貢献できるサービスでもありたいと思っています。

将来的に「モラタメ.net」を通じてどのような世界を実現したいとお考えですか?

究極をいえば「企業と消費者のミスマッチがない世界」です。メーカー側は商品を使う人について知らなければ、ニーズに合った商品を作れませんし、消費者側も商品のことをよく知らないと自分が本当に必要なものを買えません。メーカーは消費者が欲しいと思うものを作り、消費者は本当に欲しいものが買える。それを実現するには、お互いをしっかり知る必要があるのです。しかし、まだまだメーカーと消費者のミスマッチはなくなっていません。今後も両者の架け橋となるための活動を続け、“ボタンの掛け違い”をなくすのがマーケティング会社としての存在意義だと思っています。企業と消費者の間に起きるミスマッチの解消が、ゆくゆくは過剰生産やフードロスの削減にもつながるはずです。こうした社会的課題の解決のためにも、ミスマッチのない世界を実現していきたいですね。

取材日:2021年12月7日 ライター・スチール撮影:小泉 真治

プロフィール
株式会社ドゥ・ハウス 代表取締役会長
高栖 祐介
1996年、大学在学中にアルバイトとしてドゥ・ハウスに在籍。電子メールを活用したマーケティングサービス事業の立ち上げに参画。1997年、同社入社。以降、クチコミプロモーション事業、営業開発業務、クチコミ情報サイトの立ち上げなどに従事。同社代表取締役副社長、同社代表取締役社長などを経て、2020年、同社代表取締役会長に就任。

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