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CREATIVEクリエイティブ好奇心

若手の感性+プロフェッショナル力で 世の中を変える! AbemaTVが実現する、テレビ業界の新たなカタチ

Vol.133
ViViA(テレビ朝日映像株式会社) 岡崎利貞さん
株式会社サイバーエージェントと株式会社テレビ朝日が共同展開する「AbemaTV」。2016年4月11日の本開局から4カ月強で、アプリダウンロード数は700万を突破しました。ニュースや音楽、スポーツなどの多彩なチャンネルとオリジナルの生放送コンテンツを提供し、テレビとネットを融合させた新しいメディアとして注目を集めています。そのAbemaTVで番組制作を手掛けるのが、ViViA(テレビ朝日映像株式会社)の岡崎利貞さん。地上波で「ちい散歩」(2006年〜2012年放送)など数々の人気番組を送り出してきました。テレビ業界の敏腕プロデューサーは今、どんな思いで新たな挑戦に向き合っているのでしょうか。進化を続けるAbemaTVの舞台裏に潜入してきました。
 

「完全にテレビだったな」 面白い番組の作り方は、ネットでも同じだった

若手の感性+プロフェッショナル力で 世の中を変える! AbemaTVが実現する、テレビ業界の新たなカタチ

岡崎さんはもともと、地上波で番組制作をされていたと伺いました。AbemaTVには、どのような経緯で関わることになったのですか?

私はテレビ朝日関連の制作会社に所属しており、AbemaTVの開局が決まったときに自然な流れで声を掛けていただいた感じですね。とっかかりの部分から入ったので、「プロジェクトメンバー全員と一緒に番組を開発してきた」という感覚がすごく強いです。手探り状態から始めて、本当に貴重な体験をさせてもらっています。

テレビマンとして長年お仕事をされてきた立場としては、「本当にこの試みはうまくいくのか?」といったような疑問も当初はあったのではないでしょうか?

それは、正直ありませんでした。地上波でのテレビの作り方と、いわゆる動画メディアというものの差をずっと考えながら作ってきたんですが、突き詰めると、結局のところ地上波とAbemaTVの番組制作はまったく変わらないんです。当初は、スマホで見るという前提で画面の小ささを意識して、サイズだったり、カットの長さだったり、「ネット用の撮り方」があるだろうと考えていたんですけどね。

今は、地上波とまったく同じ感覚で番組を制作しています。サイズの切り方も、作り方も。「面白い」と感じてもらえるものは、フォーマットが何であれ、変わらないんでしょうね。「画面が小さくても視聴者にとっての相対的な大きさは変わらないんじゃないか」という感じがします。スマホの画面の中で3分割、4分割、5分割していても違和感はないし、テロップも普通に読んでもらえるんです。

当初は「ネットらしさを出そう」と構えていたのに、良い意味で裏切られたような感じですか?

ええ。「完全にテレビだったな」という感じですね。VTRの作り方もそうです。ネットの動画は、基本的に短いじゃないですか。だからネットに対応するなら短くしなければいけないかと思いきや、面白い内容であれば長くてもちゃんと見てもらえるんですよ。

もちろん違いもあります。一番大きいのは、「今、視聴者が何人見てくれているのか」ということがリアルタイムで分かること。これに合わせて番組を動かしていくというのは、新しい感覚でした。

秒単位で上下する視聴者数を見ながら 番組を動かしていく

AbemaTVで番組制作を手掛けるテレビ朝日映像株式会社の岡崎利貞さん。

AbemaTVで番組制作を手掛けるテレビ朝日映像株式会社の岡崎利貞さん。

 

リアルタイムで反応が分かるというのは、ネットならではですね。

はい。秒単位で視聴者数の動きが見えるんです。地上波の場合は、早くても翌日の視聴率速報までは番組が受け入れられたかどうか分かりません。反応を想像しながら制作していくんですね。AbemaTVの場合は、目の前で数字が動いていく。これはすごく大きな強みだと思います。

秒単位で視聴者数が増えるというのは、どんなケースがあるのでしょうか?

これは地上波と同じで、面白いネタがあるかどうか。最近では、「ポケモンGO」を扱ったコーナーで大きく数字が伸びました。「AbemaNews」でいろいろなコンテンツを制作していますが、このスタジオ(取材場所であるHARAJUKU Abema Studio)から発信している「原宿アベニュー」という番組で、割と早い段階から「ポケモンGO」を取り上げていたんです。他にも重要な記者会見など、多くの人に注目されているコンテンツは伸びますね。

逆に、リアルタイムで数字を見ていて、落ちてしまうケースもあるのですか?

もちろんありますよ。番組内での会話がだんだん停滞してきたりとか、あまりウケないテーマのコンテンツだったりとか、そういうケースでは明らかに数字が落ちます。放送中に、その場その場で番組内容を見直し、出演者へ指示を出すこともよくあります。

数字だけに左右されて放送内容を変えるのはどうなんだろうという考えもありますが、やはり「視聴者が求めるものを発信したい」という思いがありますから。これは、テレビに関わる人間全員が背負っている責任だとも思います。そう考えると、見てくれている人たちの希望により細かく応えられるというのはものすごく新鮮だし、自分たちが作っているものに自信が持てるようにもなるんですよね。テレビとネットが本当の意味で融合したからこそできることで、制作者としてはとてもうれしいです。

斬新なアイデアを次々に実行できるのは 「できない理由を探す理由」がないから

アプリのダウンロード数はものすごい勢いで伸びているわけですが、番組制作サイドとしてはどのように数値を追いかけているのでしょうか?

これは私たちもまだ模索している段階なんです。地上波の視聴率のような「1時間で平均何パーセントだった」という出し方ではなく、秒単位で「この瞬間にこのネタで何人の視聴者が動いたか」という数字を見ているのですが、それより重要な指標もあります。5分以上継続して見てくれた人の数とか、これがさらに10分だとどうなるのか、とか。

ネットではたくさんの指標を細かく分析できます。どこにフォーカスしていくかは、研究中の段階。何を重視するにせよ、これはものすごく大きな武器だと思うし、視聴者の期待に応える番組作りにも間違いなくつながっていくと思います。

そういう意味では、今後の番組編成の可能性は無限に近い形で広がっていきそうですね。現在の視聴者が想像もつかないようなコンテンツが始まるかもしれない。

そうですね。新しいものを作りたいという思いはとても強いですし、今後どんなものを生み出せるだろうかというワクワク感も大きいです。

AbemaTVでは、斬新なことにチャレンジする際のハードルがものすごく低いんですよ。成熟したメディアの場合は守らなければいけないものがたくさんあるし、リスクヘッジも重要です。新しいことをしようと考えても、できない理由が先に出てきてしまう。これは当たり前だと思うんですね。でもAbemaTVの場合は、「できない理由を先に探す理由」がない。とりあえずやろうという姿勢で、すべてのプロジェクトを動かしています。

「ネットならでは」の、地上波では見られないような番組作りや視聴者獲得に期待する声も多いのではないでしょうか?

個人的な意見ですが、私たちが目指しているのは、いわゆるアングラ文化のトップではなく、マスメディアだと考えています。そうした意味では、無責任に「ここだけの話」を流すことは、すべきではないのです。刺激的な内容や一過性のバズが話題となり、拡散につながることもあると思いますが、訴求する数字には限界があるとも思っています。もしかしたら今は、構築中であるが故の「未完成の危うさ」が面白がられている面もあるのかもしれませんね。しかし、私たちが見据えるべきは現在の視聴者数より1ケタも2ケタも上の数字だと考えていますので、番組作りも正々堂々としたものにすべきだろうと思います。

ただし、地上波とまったく同じものを作ろうというわけではありません。視聴者層は地上波よりも若く、取り扱うテーマや切り口、演出方法は、より尖ったものにすることができます。AbemaTVは非常に多くのチャンネルを有しており、それらを全て総合して1つのマスメディアとできるため、番組単位では極めてニッチに、深い方向に進んでいけるという強みもあります。緊急ニュースを、無加工でどこまでも流し続けることができるフットワークの軽さも大きな武器です。コメント機能に代表される「視聴者との近さ」を積極的に利用した番組作りも、地上波には難しいところでしょう。これらを生かして、ネットだからではなく、「AbemaTVだからできる」新しいチャレンジを日夜続けています。

プロフェッショナルと若手が融合して 臨機応変に対応する制作現場

AbemaTV

制作サイドの方々の日常についてもぜひ伺いたいです。先ほど、番組中にリアルタイムで対応し、放送内容を変えていくというお話がありました。出演者やスタッフの方々には、並々ならぬ苦労があるようにも思うのですが……。

AbemaTVの番組を制作していて感じたのは、「アナウンサーって、すごいんだな。プロはやっぱり違うな」ということでした。ずっと身近に接してきたので見えづらくなっていたのかもしれませんが、フリートーク能力にせよ、時間管理能力にせよ、明らかにレベルが違いますね。

放送中に「飛ばして」「伸ばして」と急な指示を出すことは地上波より多いかもしれません。この手の放送は、プロのアナウンサーがいなければ成立しなかったんじゃないでしょうか。

スタッフについて言えば、例えばこのサブスタジオでは「Tricaster」(トライキャスター)という映像送出システムを使っているんですが、技術担当ではなくウチ(AbemaTV)の制作スタッフが仕切っているんですよ。スタジオは、最高8台までカメラが使えますが、プロのカメラマンは多くても3人。残りは制作スタッフが動かしています。音楽出しもウチの制作スタッフが担当している。技術と制作の垣根がなくなりつつあるのも特徴かもしれませんね。

そうした体制で番組が作られているのは、やはりAbemaTVだからこそなのでしょうか?

そうですね。地上波のテレビはシステムが完成していて、非常にうまく分業化されたプロフェッショナルの仕組みになっているんです。AbemaTVの場合はまだまだ未完成の部分も多く、システムが一つ増えるごとに新しいものが生まれていく。そうした状況の中では、技術だけを持っていても演出には反映されにくいこともあるんですね。ですから、あえて技術と演出に境をなくして、混沌とさせることでどんどん進化しています。

「お金がないから皆が何でもやらなきゃいけないんだ」というわけではないんですよ。従来のプロフェッショナルと若手の制作メンバーが役割をクロスすることによって、積極的に新しい取り組みを進めています。

「ダサい」と思われないために 20代の力を最大限に生かす

AbemaTV

地上波でも最近はネットを意識した番組作りをしているケースは多いと思いますが、AbemaTVは最初からネットとテレビが融合していますよね。そうした意味では、やはり若者向けの番組作りに力点を置いているのですか?

地上波というのはかなり成熟した世界で、幅広い世代を狙っており、結果、高年齢層に支持されている番組が多いですよね。AbemaTVは10代や20代に限定しているわけではありませんが、地上波よりも視聴者層が若いということは意識しています。

これは実は簡単に言えることではなくて、私たち自身、若者向けの番組の作り方を忘れかけていた側面があったんです。地上波では、同じ一つのネタを扱うときにも、より広い視聴者層を意識しています。「若い人たちの間ではこれが流行っていますよ」という目線で若者のトレンドを紹介する。AbemaTVでは若者世代に向けて直球勝負で、リアルに若者の間で流行っていることを取り上げるので、情報が少しでも遅れるとすごく恥ずかしいことになってしまうんです。そういったことも含めて、若者がターゲットであるということを私たち自身ももう一度思い出しながら、番組制作に向き合っています。

何よりも地上波と違うのは、若いスタッフの意見をたくさん聞くことが重要だということ。今この瞬間に流行していることを教えてもらったり、新しく入ってきたばかりの若いADさんにも初日から企画を考えてもらったりしています。

地上波では完成されたプロフェッショナルの仕組みがあるということでしたが、AbemaTVの場合は若手の新しい力が存分に生かされているのですね。

はい。制作者としては、20代の力をより色濃く反映していくことが大きな課題となっています。 AbemaTVの番組は彼らの力がないと作れない。だから20代のスタッフにも、「ディレクターとAD」「技術と制作」といった境目なく動いてもらっています。

リアルな若者の感覚で番組を作れなかったり、少しでもトレンドに乗り遅れたりしていたら、「ダサっ」と思われてしまうわけですね。

そうです。とにかく「格好悪い」と思われることが最悪ですから。ずっと地上波の番組を作っていた身としては、ここで番組作りを始めたときには「本当にこれって格好良いと思ってもらえるのかな」「新しいと思ってもらえるかな」という、ある種の恐怖感もありました。

そういう意味では、新しく入ってきた若い世代に頼っているという面もあります。やはり20代の感覚は鋭い。これをどうやって番組制作に生かすか、20代の力をいかに番組内容に反映させるかということを、ずっと考えていますね。

テレビ業界を志す人に対して門戸を広げつつ、これまでにはなかったようなキャリアの築き方が実現するのではないでしょうか?

そうなっていけたらいいなと思いますね。新卒採用の面接官を務めたり、説明会で登壇したりしていますが、近頃は反応がすごいと感じます。AbemaTVの話を聞きに来てくれる人たち、興味を持ってくれる人たちがこんなにいるんだ、と。

もちろん、AbemaTVをきっかけに業界へ入ってから、地上波の番組制作を学ぶこともできます。これをきっかけに、業界の人の流れも大きく活性化するんじゃないでしょうか。

AbemaTVを当たり前の存在にして 世の中に役立ちたい

最後に、AbemaTVの今後の展望についてもぜひ伺えればと思います。まだ開局5カ月目という段階ではありますが、1年後、2年後に向けてはどのような思いをお持ちですか?

「視聴習慣を当たり前のものにしたい」と個人的には強く思っています。テレビはもう日常に溶け込んでいて、特別なメディアだと意識して見ることはないですよね。AbemaTVも同じように、人々の間に溶け込んだもの、自然なものになってほしいし、私たちもそれを目指したい。流行りのメディアではなくて、当たり前な存在にしていきたいですね。

社会的なインフラとしても、新たな価値を提供しようとしていますよね。大規模な自然災害が起きたときにも、貴重な情報源として活躍するのではないでしょうか。

ネットって、本当に強いですよね。東日本大震災のときもそうでしたが、災害時はネットが本当に頼りになる。今年発生した熊本地震では、「避難所にテレビがないのでAbemaTVを見ている」という声もお聞きしました。身が引き締まる思いです。

非常時にネットで得られる情報はたくさんありますが、AbemaTVなら、テレビ局が長い年月をかけて積み上げてきた報道の力も届けることができます。そこには一定の信頼感があると思いますし、一朝一夕に作れるものではありません。テレビとネットが本当の意味で融合している強みを伸ばし、世の中のために、より幅広く役立てるようにしていきたいですね。

 

取材日:8月18日 ライター:多田 慎介

AbemaTV

「AbemaTV」は、サイバーエージェントとテレビ朝日が共同で、“インターネットテレビ局"として展開する、新たな動画配信事業。2016年4月11日(月)に本開局し、オリジナルの生放送コンテンツや、ニュース、音楽、スポーツなど多彩な番組が楽しめる約30チャンネルをすべて無料で提供。スマートフォンはもちろんPCやタブレットなど様々な端末で、テレビを観るような感覚で利用することができる。

https://abema.tv/

 
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