「アニメ番組制作者が語る制作エピソード!」その①

Vol.13
株式会社フェローズ マーケティング セクション 兼 アニメセクション アドバイザー シニアプロデューサー
映像業界40年 おやじプロデューサーのひとり言
関田 有應

こんにちは。
フェローズ マーケティング セクション 兼 アニメセクション アドバイザー
シニアプロデューサー 関田有應(せきたゆうおう)です。

2年目・13回目のコラムは「アニメ番組制作者が語る制作エピソード!」です。

今回は、毎週同じ曜日、同じ時間に放送されるレギュラーアニメ番組制作者だった時の、私のちょっとしたエピソードのお話をさせて頂きます。

私が担当していたテレビシリーズは、未就学・就学向けのアニメ作品でした。
30分枠で6年間296話のアニメ制作を行いました。
他に劇場版4作品、OVA4作品に加え知育・教育用までと、全てのアニメ制作に、元請けアニメ制作プロダクションの製作プロデューサーとして、またオープニング・エンディングのアニソン制作・BGM(バックグランドミュージック・劇伴奏音楽)など音楽全てのプロデューサーをさせて頂きました。

マンガ原作をアニメ化する場合、そのままではアニメにする事は出来ません。
アニメ制作プロダクションは、30分のテレビアニメ番組になるように、プリプロダクション(アニメ化の基本設定の制作工程)を行いプロダクション(絵を描く工程)、ポストプロダクション(音響制作と仕上げ完成までの工程)でアニメ制作を行います。
プリプロダクションは原作の世界観やテイストを活かしながら、アニメ表現としての骨格を作り上げる工程です。

今回は、その中で脚本のお話をさせて頂きます。

始めに行う事は、シリーズ構成と各話シナリオの作成です。
私が担当したアニメ番組は、6カ月先の放送話数のシナリオを、6カ月前に作成するスケジュールで行われていました。

という事はどういう事が起きるか。
皆さんは想像出来ますか?

答えは、真夏に真冬のお話を考え、真冬に真夏のお話を考えシナリオ制作を行うという事です。
未就学・就学向けアニメという事もあり、日本の季節・行事などを盛り込んだお話作りを行っていました。
そんな中で、毎年の悩みでもあり本当に困ったのが、「桜」をテーマにした話数の放送日の見極めです。
毎年9月頃に「桜」をテーマにしたシナリオ打ち合わせを行い「桜」の話数放送日に「桜」が咲いているようにと、願いを込めてのシリーズ構成です。
放送日の見極めのため参考にできる資料は、前年度の「桜」の開花宣言ぐらいしか無く、その上で放送日を決めなくてはなりませんでした。
しかし6カ月先の「桜」が、いつ咲くのかなんてだれにもわかりませんし、開花宣言も毎年同じ日ではありませんので、ピタリと合わせる事は容易な事ではありませんでした。
辛いなあと思ったのが、「お花見」の放送話数と満開の「桜」タイミングが2週間近くずれ込んだ時です。
深夜帰宅中、中野通りの満開の桜をタクシーの中から一人お花見をした、切ない気持ちを、今でも覚えています。

未就学・就学向けアニメです。
情操教育にも繋がると思い季節の行事を入れましたが、シリーズ構成の難しさを語るエピソードのひとつです。

そしてシリーズ構成をまとめるのが文芸ディレクターです。
このアニメ作品には、常時6名位のシナリオライターの方にお願いしていました。
シリーズ構成を決めて、1話数毎にシナリオライターに割り振って発注をします。
シナリオライターにも得手不得手がありますので、そこも見極めての発注になります。

最初にプロット(簡単な箱書き)を上げて頂き、初稿作成に入ります。
初稿は平均2週間で上げて頂き、初稿を元にシナリオライターを交えて、文芸ディレクター、監督、テレビ局プロデューサー、製作プロデューサー、制作プロデューサー、文芸担当、制作担当 のメンバーと で 脚本の構成から内容までの話し合い(本読み)を行います。

ある話数でシナリオが進まず、文芸ディレクターはシナリオライターに5稿まで脚本の直しを依頼しました。
そして、5稿のシナリオ打ち合わせで文芸ディレクターはその話数をボツにしました。
制作側には、いつまでにその話数の決定稿が上がれば良いかを確認してはいますが、それにしても5稿までに費やした時間は5週間です。
それを一刀両断する!
並大抵の思いでは出来ない事です。
それは文芸ディレクターとしての覚悟であり、作品制作者の誇りであり、作品を守るための英断です。

余談ですが、私のコラム編集担当は私と同じフェローズの社員です。
私のコラム初稿を平然とボツにします。
しかしその理由が的確で、私がブレている部分を指摘します。
私的には見抜かれた~!の一言です。
話を戻しますが、結果として、その話数担当のシナリオライターは外れ、別のシナリオライターがその話数の脚本を受けて下さいました。
言うまでもありませんが、決定稿の最終納期にも間に合いました。

なぜ5稿をボツにしたのかと文芸ディレクターにおたずねしたところ
「話数のテーマの理解度が足りておらず、脚本として成立していないのでボツにした」
とお話をされました。
制作担当からこっそり聞いた話ですが、そのシナリオライターは他のアニメ作品の脚本を何本も受けており、納期ばかりに意識がいってしまい、作品の本質を見失っていたと教えてもらいました。
文芸ディレクターは、その事実を脚本から見抜いた。
本当のプロフェッショナルです。

文芸ディレクターに一刀両断されたシナリオライターさんですが、その後、別の話数で素敵なシナリオを書いて下さいました。
まだお若いライターさん!学びがあったとおっしゃっていました。

アニメ業界は職人の集まりです。
徹底して拘ります。
手を抜こうなんて考える制作者は一人もいません。
そんな制作者がいたら一瞬で見抜かれます。

クリエイターとして歩み始めたアシスタントプロデューサー君。
制作者として諦めない!拘る事の意味をさらに深く学んで下さい。
志を高く持ち、自分の選んだ道を迷うことなく真っ直ぐに進んで下さい。
そして素敵なプロデューサーになって下さい。
「がんぱれ」
先輩シニアプロデューサーとして心より願う事です。

□おやじ一押し!1960 年代のアニメを視聴する。

1960 年代からの テレビシリーズのアニメ作品をぜひ見て下さい。 アナログ時代の作品ですが、先人のアニメ制作者の皆様の「魂」が込められています。 ともかく楽しんで見て下さい。 違う景色が見えてきます。

これです。

『使える小ワザ』

深夜帯アニメの情報を得て下さい。

Animate Times公式 https://www.animatetimes.com/

情報量も多く、常に最新情報を載せているサイトです。
そこからは52話テレビシリーズ制作との味の違いが有ります。
*他にも色々なサイトが有りますのでネットサーフィンをして見て下さい。

ここまで読んで頂き有難うございました。
それではまた次回。

 

*株式会社フェローズは日本動画協会の会員です。

プロフィール
株式会社フェローズ マーケティング セクション 兼 アニメセクション アドバイザー シニアプロデューサー
関田 有應
(せきた ゆうおう)大学を卒業後、テレビ局直系制作会社に入社。 企画、番組制作、イベント映像、PV、VP制作を行い、その後CM制作を中心に実写業界でのキャリアを積み、大手出版社グループでデジタルコンテンツ系の映像・音楽制作。 子供向けアニメ作品を中心とした、テレビシリーズ・OVA・劇場版・音楽制作・マーチャンダイジングと、キャラクタービジネスの世界で製作プロデューサーを行う。代表作は、平成の名物キャラと言われる主人公がハムスターのアニメ作品 株式会社フェローズにて アニメセクションの立ち上げを行い、現在はマーケティングセクションにて全国の映像系学校でのセミナー講師やキャリアアドバイザーを行っている。 息子も大手広告代理店直系の制作プロダククションのPM「親子鷹」である。※無類の音楽好きで、40年ぶりに大学時代のバンドを復活。活動中。

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