株式会社札幌立体データサービス

代表取締役 田村 彰浩氏
株式会社札幌立体データサービス

ものづくりの現場に革命を起こす技術として注目されている3Dプリンター。株式会社札幌立体データサービスは3Dプリンティングに必要な3Dデータの作成代行や、3Dデータ作成のための3DCADセミナーをメインに3Dプリンターによるものづくりを行っている会社です。デザイナー目線と現場目線の両方を持つのが強みと語る代表取締役の田村彰浩さんにお話を伺いました。

2Dユーザーと3Dプリンターのかけ橋に

御社の事業内容を教えてください。

『SOLIDWORKS』という3DCADのソフトウェアを使って、工業デザインや3Dデータの作成代行などを行っています。3Dデザインといっても分野があって、例えば3DCGだとゲームキャラクターの顔や体など寸法が定まらないものをデザインするのですが、私たちがデザインしているものは工業製品のパーツや筐体(きょうたい)など、必ず寸法が定まっているものです。プラスチックでできていて、大量生産するようなものが多いですね。インダストリアルデザインの分野になると思います。
個人のお客様のアイデアを3Dプリントして形にしたり、3Dデータにして納品したりもしています。
※何らかの機能を有する機械や電気機器などを中に収めた箱のことを言う。フレームを含めた外装を指す。

どうしてこのようなサービスの会社をはじめたのですか?

以前は立体物の図面データも2Dで作成するのが主流でしたが、3DCADの開発により3Dデータで作成する会社も出てきました。試作品の製作も3Dプリンターだと短納期・低コストで行うことができます。3DCADの操作を習得すれば3Dデータ自体はわりとすぐ作れるようになるんですよ。しかし、商品として大量生産できる形状・デザインのデータが作れるのかというと、そこにはノウハウが必要になります。起業前、私はもともと、金型屋で金型のデザインや設計の仕事をしていましたのでそのノウハウを持っていました。また、当時北海道には大量生産のノウハウを持った3Dデータ作成専門の会社がなかったことから、2013年4月に3Dデータ作成代行サービスの会社を起業しました。

3Dデータでの設計やデザインというのは増えてきているのでしょうか。

はい。3Dデータの方が便利なので増えてきてはいますね。しかし、企業への3DCADソフトの導入率は札幌でいうとまだ2割程度です。エンジニア自体が今まで2Dで育ってきているので、なかなか3Dに移行ができていないのが現状です。一方、中国や韓国は進化が速くて、すでにほぼ3D化しています。今は商品の生産を中国や韓国の会社へ外注しようとした時に、むこうは3Dのデータしか受け取らない場合もあります。そこで弊社の3Dデータ作成代行というビジネスが成り立つのです。

株式会社札幌立体データサービス

3DCADと3Dプリンターを駆使し
アイデアを形に

株式会社札幌立体データサービス

具体的には、どのような製品になるのでしょう?

業界の垣根はほとんどなく、電子機械、建築、食品、医療など本当に様々な分野で実績があります。建築模型やジオラマ、医療機器や臓器模型なども作りました。病院のCTデータをもとに3Dデータを作り、肺血管と気管支を3Dプリントして納品したり、臓器模型の3Dデータをベースに3DCGでバーチャルリアリティの手術シミュレーターを作ったこともあります。

3Dプリンターではどのような素材を使うのでしょうか。

プラスチック、ナイロン、石膏、金属など様々な素材があります。強度が担保できれば、試作品だけでなく販売用の最終製品を作ることも可能です。3Dプリンターで作ったとは気づかれない場合も多いですよ。ゴムライクやウッドライクなどおもしろい素材もたくさんありますので、製作可能範囲はものすごく広いです。

今まで作ったものの中で、おもしろい事例はありますか?

開発案件は守秘義務があり事例を出せないものが多いのですが、個人のお客様からの依頼ですと「既存プラモデルパーツのある部分を3mm伸ばしてほしい」というものを受けたことがあります。プラモマニアの方で、自分仕様にしたいのでしょうね。自分で金型から起して作るのは難しいですが、3Dプリンターならパーツ1個から簡単に作れてしまうのです。3Dプリンティングだと樹脂の通り道であるゲートなどは必要ないのですが、パーツをパチパチと切り離すところから再現できるよう、わざとランナーとゲートに接続された状態で3Dデータを作り、3Dプリントして納品しました。完全に大人のおもちゃですよね(笑)。プラモデルに限らず、オリジナル仕様にしたいとか、非売品、生産終了のパーツを作ってほしいという需要は非常にたくさんありますね。

目的に合ったオーダーメイドのカリキュラムで
明日からすぐ使える3DCADセミナー

3DCADソフトの講師業をされているそうですね。

はい、弊社だけが3Dデータを作っていても、3Dデータを扱える人自体が増えていかないと、3Dプリンターのユーザーも増えないですし、業界の裾野が広がっていかないと思うのですよ。北海道内の職業訓練校の学生さんや企業のエンジニアの方に、3Dとは何かというとことから、『SOLIDWORKS』や『Fusion 360』といった3DCADソフトの操作を教えています。実案件の図面を使ったカリキュラムを組んで、次の日からすぐ使える内容の講義を行っています。最近では旭川市で3DCADセミナーも行いました。旭川市は市を挙げて、ビジネスを3D化して業務効率を上げようという取り組みを行っているんです。セミナーで使用するソフトの提供を旭川高等専門学校さんに協力していただき、会場集客は旭川市、講師は弊社と3者で連携して取り組んでいます。

3Dには複雑そうなイメージがありますが。

長年2Dを扱ってきた人が3Dに移行しようとするとそう感じるかもしれません。しかし2Dの場合は立体物を無理やり平面に落とし込んで完成形を想像しながら進めるのに対し、3Dの場合は立体データそのものを視覚的に確認できるものなので、実際は意外と理解しやすいようです。セミナーなどを行っても、むしろ2Dで図面を書いたことのない人の方がスムーズに受け入れられるようです。特に学生さんなど若ければ若いほど吸収が速いですね。ソフトウェアも高価なものありますが、『Fusion 360』などフリーで使えるものもでてきていますので、独学で学んでいくことも不可能ではなくなっています。

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自分だけのオリジナルのものを作りたい
ものづくりの原点

今後、挑戦したい分野はありますか?

起業した頃からの個人的な野望ですが、3Dプリンターを使った自動車メーカーになりたいと思っています。実際に、アメリカでは、すでに3Dプリンターで自動車作りが始まっています。もともと車が好きで、3Dプリンターではないですが、以前、FRP(繊維強化プラスチック)で世界に一つだけの車をデザインしたこともあります。静岡の会社に協力してもらって1年半かけて開発した完全オリジナルの車です。もともと車が好きだったということもありますし、人と違う自分だけのものが好きなんです。

オリジナルの車を作ったことがあるとはすごいですね。相当な費用がかかったのではないですか?

それはもう、夢の数だけ(笑)。これは私個人の活動でしたが、日本でも京都の会社で電気自動車を作って世界へ売り出そうとしている会社があります。今までは自動車を作る、自動車メーカーを作るというと莫大な資金が必要でしたが、ベンチャー企業でもそれができる時代に少しずつなってきています。ただ、既存のやり方だと作れるデザインにどうしても限界があります。それが3Dプリントを使えば、どんなデザインでもできる。デザインに限界がないのです。法律や規制の問題もあって難しい部分もありますが、パーツレベルでいうと3Dプリンターでの車作りはすでに可能です。“大衆車”ではなく、自分だけのカスタムメイドの車が作れるなんておもしろいじゃないですか。

すごい野望ですね。ぜひ実現していただきたいですね。
業界について、望まれることはありますか?

個人での3Dプリンターユーザーが増えたらいいなと思います。家で何か壊れたものをDIYくらいのノリで作ったり、脱サラしないまでも副業で3Dプリンターを使ったものづくりをしたり。3Dプリンターがどういうものか知らない方も多いので、ひきつづき、ワークショップなど啓蒙活動を行っていきたいと思います。
家でお父さんが3Dプリンターを使っていたら、その子供も3Dプリンターを使ったものづくりをする人になるかもしれない。そうやって次の世代の子供たちに3Dプリンターによるものづくりの技術が波及していくと嬉しいですね。
株式会社札幌立体データサービス

取材日: 2016年12月6日
ライター: :小山佐知子

株式会社札幌立体データサービス

  • 代表者名(よみがな): 代表取締役 田村 彰浩(たむら あきひろ)
  • 設立年月: 2013年4月
  • 資本金: 3,000,000円
  • 事業内容: 各種3Dプリント、各種3Dスキャン、工業製品のモデリング、プラスチック製品デザイン、
          SolidWorks講師業務、SolidWorks販売業務、3Dプリント品、雑貨販売、
          3Dプリント用フィラメント販売など
  • 所在地: 北海道札幌市中央区北2条東1丁目3-3 北2条サンマウンテンビル3階 SHARE内
  • URL:  http://srds.biz