ゲーム業界のめまぐるしい変化に対応して28年、幅広い作品を開発

福岡
株式会社ペガサスジャパン 代表取締役 大隈浩昭氏
まだワープロもパソコンもない時代に、プログラマーとして働き始めた大隈浩昭(おおくま ひろあき)さん。1989年に株式会社ペガサスジャパンを設立し、一貫してゲームの企画・開発を手がけてきました。変化を続けるゲーム業界において、どのように仕事に取り組んできたのか、仕事の厳しさややりがい、クリエイターへのメッセージなど、じっくりお伺いしました。

コンピュータが普及する以前に、独学でプログラミングを習得

クリエイターになったきっかけと、会社を立ち上げるまでのキャリアについて教えてください。

私は福岡の大学に在学中、プログラミングに興味を持ちました。1970年代の終わり頃で、当時はまだパソコンもワープロもなくて、マイコンと呼ばれる機械を買い、独学でワープロのようなものを作ったりしていました。大学時代にアルバイトをしていた土木の事務所では、電卓で計算していたのでコンピュータ入力で業務の効率化を図り喜ばれました。

その後、熊本にあるコンピュータソフトハウスに入社しました。ビジネス系のパッケージ開発をメインに、ゲームも手がける会社でした。独学で入手できる情報は非常に限られていたので、会社にあるメーカーの技術書類で、どんどん技術を身につけることができました。あの頃は、がむしゃらに働きました。アルバイトからスタートして正社員として2年勤務したあと、福岡で転職し、工場管理のネットワークなどを開発する堅い会社で、丸1年働きました。

ゲーム開発会社を設立し、東京の大手企業と取引

その後独立されたのですね。

はい、1989年28歳のときに当社を立ち上げました。もともと会社を作りたいと思っていたわけではありませんが、外部の営業の方に声をかけられ、独立に踏み切りました。 はじめ社員はプログラマー2人と、デザイナーをアルバイトで採用。ゲーム開発をメインとして、クライアントはほとんど東京の会社でした。まだメールのない時代でしたから、プログラムが完成するとフロッピーに入れて、東京まで宅配便で送っていました。また、当時は東芝やビクター、ソニーなど大手企業がゲーム業界に続々と参入して、会社設立後間もない福岡の私でも、東芝やソニーの役員室に招かれて話をすることがありました。1990~2000年頃は業界がバブルで、契約金も高かったです。

大隈さんはもともとプログラマーだったのですか?

プログラミング全般の経験があり、中でもゲームの音楽作りが得意でした。音を弾いてみて、コンピュータで音響をプログラミングするんです。今でも音作りの仕事が好きです。

ゲーム業界の進化に合わせて幅広い仕事を手がける

会社設立から28年、事業内容に変化はありますか?

ずっとゲームの企画と開発をメインにしています。ただ、ゲーム業界には次々と新しい波が起こります。家庭用ゲーム機のファミコン、ゲームボーイ、プレイステーション、ブラウザゲーム、Wii、3DSなど、新しいものが登場するたびに新しいスキルを習得し、対応してきました。 ここ数年はスマホのゲームアプリ制作の仕事が増え、全体の半分ほどを占めています。プロジェクトの期間についても、以前は1年半ほどが一般的でしたが、今のスマホアプリは半年ほどの契約が多いですね。その分、多くのプロジェクトを回している感じです。

御社の強みはどんなところでしょう?

新しい流れに乗り遅れることなく、技術を蓄積してきたため、幅広い仕事に対応できます。早くからUnityを使った開発にも積極的に取り組んでいます。また、新卒のスタッフでもすぐ現場に出してチームでフォローするので、成長するスピードが速いと思います。

スタッフは何人くらい?

一時期は30人くらいいましたが、今は14人に落ち着き、社外に出向する案件も増えています。採用するのは、専門学校などで学んだ新卒の人が中心です。

今後の展望について教えてください。

以前は自社の名前が出る作品をたくさん手がけていましたが、最近は名前の出ない仕事が多くなりました。これからは再び、当社でこれを生み出したと外に発信できるような仕事を増やし、もっと会社としての実績を作っていきたいと考えています。

多くの作品を見て、マネすることで引き出しを増やそう

クリエイター歴が長い大隈さんが感じる、クリエイターとして働くことの厳しさややりがいについて聞かせてください。

ゲームは、限られた時間の中できちんと作っていかなければなりません。例えるなら、トランプを三角に立てて積みあげていくようなイメージで、どこかひとつでもズレているとうまくいかない。そういう緊張感はあります。また、一般的に、ゲームクリエイターとしてのピークは30代と言われています。常に新しいことが求められるハードな環境で、頭も心身も充実していなければならないというのが厳しいところです。 一方で、自分が手がけたものが形になるのは、この上ない喜びがあります。お客様からの反響も励みになりますね。自分の好きなゲームを作ってお金をもらえるなんて、とても嬉しい幸せなことだと思っています。

これからのクリエイターに向けて、アドバイスをお願いします。

この業界は昔は情報が少なく、マシーンもシンプルでした。それが徐々に進化して、どんどん複雑になっているため、意欲的に学ぶ姿勢は必須です。 また、テクニックだけでなく、アイデアで勝負することも大事です。そのためにはたくさん映画や映像を見て、自分の中のストックを増やしておきましょう。しかも、単に見るだけでなく、例えば気になるカメラワークがあれば、実際に自分でそれをマネして練習することで、自分のモノにしてほしい。そんなちょっとした積み重ねが、のちのち大きな差になってきますよ。

取材日: 2017年1月13日 ライター: 佐々木恵美

株式会社ペガサスジャパン

  • 代表社名:代表取締役 大隈浩昭(おおくま ひろあき)
  • 設立年月:1989年3月
  • 事業内容:ゲームソフトウェアの企画、開発、販売及びその関連業務(Nintendo 3DS/iOS/Android など)/
        コンピュータソフトウェアの企画、開発業務/映像コンテンツの企画制作業務/サウンド関連事業
  • 所 在 地:〒810-0802 福岡市博多区中洲中島町2-3 フジランドビル12F
  • URL:http://pegasus-japan.co.jp
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