職種その他2019.06.19

新しいマネーサービスで銀行の未来をリードする

福岡
iBankマーケティング株式会社 代表取締役
Kenichi Nagayoshi
永吉 健一

銀行口座と連動したスマホアプリ『Wallet+』の開発・運営を手掛けるiBankマーケティング株式会社は、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)の社内ベンチャーとして2016年に設立され、金融の枠にとらわれない消費者に寄り添った新しいマネーサービスを次々と提供しています。代表取締役の永吉健一(ながよしけんいち)さんにご自身のキャリアから事業内容、そして今後の事業展開など話を伺いました。

待っている時間はない、スピードが大事。1万円でベンチャー企業を設立

永吉さんのこれまでのキャリアについて教えてください。

大学を卒業してすぐに福岡銀行に就職しました。入行してすぐは支店で働き、本部に異動してからは事業再生に関する業務などを担当し、その後は経営企画部門に10年ほど在籍しました。経営企画部門では決まったルーティーン業務というよりは、新規事業や明確な担当部署がない業務などがあると任されるといった具合で、M&A、企業のブランディング、社会的貢献活動、地銀のネットワーク作りなど、枠にはまらない業務をしていました。そして3年前にその延長線上の業務の一つとして当社の社長を任命され、現在は半分銀行員、半分ベンチャー企業の社長というハイブリットな仕事をしています。私自身の服装がフランクな恰好ですし、オフィスもカフェバーのようなスタイルなので「本当に銀行員ですか?」「中途採用じゃないの?」とよく聞かれますね(笑)。

永吉さんはなぜ銀行に就職されたのですか?

実は就職活動に乗り遅れてしまい、気がついたら銀行しか選択肢がなくなっていたんです(笑)。今言うと怒られますが、当時は仕方なくといった感じで銀行に就職しました。そういう経緯だったので入行してわずか3ヵ月で辞めたくなりましたが、「この領域だけは誰にも負けない!」というものを作ってから辞めてやろうと決めて仕事を続けるうちにいろいろな業務ができるようになり、次第に仕事も楽しくなり今に至っています。

今の会社を設立するきっかけは?

マイナス金利政策が長く続く中、メガバンクがAIの導入や業務の効率化で支店や人員を減らす計画などを発表して以降、この3年くらいで銀行の新卒採用希望者数は大幅に減ってきました。これまで銀行といえば就職ランキングでも人気の上位でしたが、それが急に逆風になったというか…。こうした状況を見越していた訳ではありませんが、銀行のトップから「これから10年先の銀行はどうなるかを考えてくれ」というミッションを受けて企画検討を始めたのが「iBankマーケティング」の出発点です。その後、企画案が承認され、会社の設立が決まったものの、その実行までには銀行内の様々な手続きが必要で、それらの決裁を待っていたらいつまでたっても会社ができないなと思い、先に私がポケットマネーの1万円を出して起業しました。本当はきちんとした手順で会社を作りたかったのですが、待っていたら時間だけがどんどん過ぎてしまう。今の世の中、何事もスピードが大事ですから(笑)。

ご自身の仕事におけるターニングポイントを教えてください。

一番のターニングポイントは、この事業をやるのか/やらないのかをジャッジした時。それと、サービスをリリースした直後に世界最大のFinTechイベントに日本企業として初めて登壇したことですね。きっかけは今の事業を構想していた時に、新しい金融ビジネスの最前線を見ようということで、ニューヨークで開催された『FINOVATE』を観に行ったんです。私は英語が全くできないのですが、世界中のFinTechベンチャーが行うサービスのプレゼンを観ていると、英語がわからなくてもサービスの内容がわかるんですよね。つまり、シンプルで分かりやすいサービスなら、日本は勿論のこと世界でも支持されるのだということを確信しました。そのようなサービスを構想していたので、次は自分達があの舞台に立つ側に行こうと、翌年怖いもの知らずで応募したところ見事審査を通過。世界の晴れ舞台で『Wallet+』についてのプレゼンテーションを行いました。

金融と非金融を結びつける新しいマネーサービスを提供

現在の事業内容について教えてください。

主な事業内容は、金融機能と情報メディアを融合させた中核プロダクトであるスマホアプリ『Wallet+』の企画・運営です。現在は、このアプリで3つのコンセプトに基づいてサービスを提供しています。まず1つ目は、スマホ上で日常生活に必要な金融商品や機能が利用できる「身近なマネーサービス」。2つ目は、お金まわりに付随して利用する「銀行以外のサービス」の拡充。最後は、全国の他の銀行にも導入してもらうことで基盤を広げてビジネスとして成長させる「地域連携モデル」。一般的に銀行のシステムを変えることはものすごく大変なので、当社のアプリを利用してもらうことで、システムに大きく手を加えなくても新しいサービスをスピーディーに提供することができるというものです。

具体的にどのようなサービスがありますか?

例えば、銀行口座と連動するデビットカードをお財布代わりに使うと、口座残高の範囲内でキャッシュレスでお買い物ができ、レシートがなくても消費行動がデータ化されて月々の収支の管理を行うことができます。1ヶ月の収支結果として、黒字か赤字かも一目瞭然なので、黒字ならその分をタップするだけで貯金や投資が、赤字なら必要に応じてローンの借入も可能です。また、車やマイホーム、旅行といったライフイベントのための非日常消費をサポートするサービスも提供しています。日々配信する情報コンテンツでは、ユーザーが気になる記事を見つけると、そこから直観的な操作で目的預金が始められたり、そのお金が溜まってくると便利にお得に叶えてくれるパートナー企業から、クーポンやお知らせが届いたりします。 このような形で金融と非金融が相互に結びついたサービスを展開しています。

お客様起点で新しいマネーサービスの可能性に挑戦し続ける

一緒に働くスタッフにどんなことを求めますか?

我々はデジタル&クリエイティブカンパニーなので、とにかく新しいものを提案し続けていきたいと考えています。今の世の中は変化のスピードが早く、情報も溢れている。そのなかで感受性を如何に高めて興味・関心を持ち続け、新しいことをキャッチするための網をどれだけ張っているかが重要になります。社員には、自分がおもしろいと思ったものをどれだけインプットとして吸収できるか、そして、クリエイティブという意味では、アウトプットとして、自分が吸収した物をどんどんアイデアや形にしてチャレンジするように伝えています。その過程では失敗してもいい。失敗を恐れず常に実践することが大切です。

これからの展望や将来像を教えてください。

我々の会社は銀行ではないし、銀行になりたいわけでもない。サービスを利用してくれるお客さまのことを誰よりも理解している新しい金融の姿、マネーサービスの世界を作っていきたいですね。会社には銀行員や、専門スキルを持った人など、いろいろなキャリアの社員たちがいます。この多様性こそが新しいサービスを作っていくうえで良い刺激となり、これからも成長していけたらと。グループの経営理念の中に「高い感受性と失敗を恐れない行動力を持ち」というフレーズがあるのですが、まさにそれを実践しています。これからも新しいチャレンジを続けていきたいと思っています。

取材日:2019年4月26日 ライター:井 みどり

iBankマーケティング株式会社

  • 代表者名:代表取締役 永吉 健一
  • 設立年月:2016年4月
  • 事業内容:銀行代理業(福岡財務支局長(銀代)98号)、電子決済等代行業(福岡財務支局長(電代)第1号)、情報サービス業、広告業ほか
  • 所在地:〒810-0002 福岡県福岡市中央区西中洲6‐27
  • URL:https://www.ibank.co.jp
  • お問い合わせ先:companyinfo@ibank.co.jp

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