スペース2018.04.25

“最強の空間” をつくりたい

東京
トッププランニング株式会社 代表取締役 岸 健太郎氏
今年で設立10年目を迎えるトッププランニングは、オフィスや店舗のデザイン・設計から内装、トータルプランニングまで幅広いサービスを提供する会社です。どのようにして会社の特徴を探り、オリジナリティの高いサービスを提供するようになったのか、代表を務める岸 健太郎さんにお話をうかがいました。

アパレル、製造メーカーを経て起業

会社を立ち上げるまでのキャリアを教えてください。

私は第2次ベビーブーム世代で、就職活動をしていた頃は就職難の時代でした。なんとなくアパレル業界に行きたいと思っていたのですが、なかなか決まらず、ようやく4月1日のぎりぎりのタイミングで女性もののアパレル会社に営業として入社することができました。その会社では、おもに岡山と山口のあたりのルートセールスを担当していたのですが、華やかに思えたアパレルの世界での仕事は、実際には地道なものでした。また、給与もそれほどではなく、休日にオフィス家具の施工・搬入をする会社でアルバイトをして生活の足しにしていました。

その後、転職されたのですか?

アパレルの会社で1年ほど働くうちに、自分よりも10歳くらい年上の先輩がずっと同じような仕事をしていることに気づいて、転職を考えるようになりました。 その後、転職活動をして大手建設機械メーカーに営業として中途入社しました。そこは社員数が1万人近くいて、給与面や福利厚生も満足できるものでした。ずっとその会社で働くつもりでしたが、あるときアパレル時代にアルバイトをしていたオフィス家具の会社から「営業部門を強化したいので一緒に働かないか」と誘われました。最初は転職をするつもりはありませんでしたが、たびたび誘いを受けて最終的には転職を決めました。周囲の人たちにはそのまま製造メーカーにとどまったほうがいいとアドバイスされましたが、中途で入社した自分には、その会社にいても先が見えているように思えたのです。

トッププランニング株式会社を設立したきっかけを教えてください。

転職したオフィス家具の会社では、4年半で役員にまでなりました。部下も70人程いて、経営を何となく肌で感じることができました。ところが事業を拡大しすぎたのか資金繰りが悪くなって、26歳のときに会社を離れることに決めました。起業に向けて取引き先に挨拶まわりをしていたときに、かつてのクライアントが出資を申し出てくれました。そうして2000年に立ち上げたのが、トッププランニングの前身となる会社です。ところが9年目にしてリーマンショックが起こり、出資元の会社から事業譲渡を受けて2008年にトッププランニングがスタートしました。

お客様と一緒に利益を生み出す“最強の空間”をつくっていく

現在の事業内容について教えてください。

オフィス移転、PM(プロジェクトマネジメント)業務、店舗デザイン、原状回復などオフィスや店舗に関わる、さまざまな分野の仕事を専門的に行っています。手がけている仕事も美容室からレストラン、クリニックや保育園と幅が広がってきました。ただ、内装業というのは差別化がしにくい業種で、壁紙ひとつとっても問屋を通せば誰でも同じものが手に入りますし、コストの差もさほどありません。また、今はやる気さえあれば素人の方でも自分でリフォームができます。そうした状況下でもうちを選んでいただけるのは、コスト的にも工期的にもよりクオリティが高いものを提供できるからだと考えています。

多岐にわたるお仕事の中でも、トッププランニング様ならではの強みを教えてください。

設立当初から、不動産物件探しから設計・デザイン、引越し、原状回復までの「オールインワンシステム」を採用していています。たとえば4月に新入社員が入ると机と椅子、電話やパソコン、パソコンをつなげるLAN、コンセントも必要になるでしょう。するとそのためにいくつもの業者とやりとりをする必要が出てきます。オールインワンシステムのメリットは、そうした移転や出店に関わる手間や労力を省けることです。当時は珍しかったので、事業内容を認知してもらうためにテレアポをするなど積極的に営業をしましたね。

コンセプトとして掲げていらっしゃる「最強の空間」とは、どのようなものでしょうか。

まず「最高の空間」というのは、ハードとしてお客様に満足いただける空間のことです。では「最強の空間」は何かと言うと、お店の収益が上がるような空間です。オフィスや店舗をつくるときはハードの部分も大切ですが、そこからソフトをどのように提供して利益を生み出し、お客様に満足してもらえるかというほうがもっと大切だと思います。そのためには、飲食店を経営するときにどんなことに困るのかを知りたい、相談に応じられるようになりたいと考えて、自分でもイタリアンレストランをオープンしました。

実際にレストランの運営はうまくいきましたか?

最初はマーケティングを間違えて、強気の価格設定にしたら、ぜんぜんお客様が入りませんでした。それで徐々に価格を下げていったら、おもしろいことにランチを980円にした途端、人が入りはじめたんです。集客にSNSも使いましたが、私はアナログ世代なのでチラシを店頭で配ったりしました。飲食業は極端な話、半径300メートルくらいの人がお客さんとして来ますから、ビラ配りは結構有効なんです。私自身も店先でチラシを配りましたが、道行く人に受け取ってもらえるように工夫するのも楽しかったです。そうした実践に基づいた経験も踏まえて、お客様に具体的なアドバイスができるのがうちの強みだと思います。

集客について、具体的にはお店にどのようなアドバイスをしているのですか?

やはりInstagramやFacebookは集客に欠かせません。インフルエンサーをお店に派遣してレポートをSNSでアップしてもらうことも有効です。先ほどのチラシ配りも単純ですが効果があります。自分でレストランを経営していたときには、営業の者に近隣のオフィスを1軒1軒まわってもらい、お弁当の注文を取っていました。そうした地道な営業によって実際に注文が入りますから、アナログな方法もまた、実店舗の集客につながると考えています。

まわりに何を提供できたかで人生の意味が変わる

東京本社と福岡支社の役割の違いや業務内容の違いはありますか?

業務内容はほぼ同じですね。チェーン展開しているお店や事業所を拡大している会社さんが、九州に出店したりオフィスを構えたりするときに、わざわざ地元の業者とはやりとりしないわけです。知らない場所に新規店舗やオフィスを出すことは、結局下請けや孫請けが入って割高になってしまいます。そんなときに現地にネットワークがあるとお客様の助けになると考えて、福岡にオフィスを構えました。普通なら名古屋や大阪を考えると思いますが、そこはすでにいろいろな会社が進出しているので、みんな困っていないと思いました。また、逆に福岡の人気のお店が東京に進出を考えたときにもお手伝いができます。5月には札幌にも事業所を構える予定です。

設立から10年目を迎えられた今、どのようなことを考えていらっしゃいますか。

私は会社経営者というのはリセットのないゲームをしていると考えています。やはり仕事は楽しまないと。営業の仕事も好きだし、人と交わるのもすごくおもしろいです。そして先のことはどうなるかわからないですけれど、自分がまわりに何を提供できたかで人生の意味が変わってくると思うので、楽しみながらいろいろな取り組みをしていきたいですね。

今後の展望についておきかせください。

これから日本はどんどん少子化になっていき、就業人口も減っていきます。するとオフィスや店舗の数も当然減ります。ですから国内にとどまらず海外も視野に入れてやっていきたいと思っていますね。来年には東南アジアにオフィスを構えようと考えています。現地の優秀な人材を確保してアウトソーシングをして。うまくいくようだったら、現地のオフィスや店舗の仕事も請け負いたいと思っています。

取材日:2018年3月9日 ライター:天田 泉

トッププランニング株式会社

  • 代表者名:代表取締役 岸 健太郎(きし けんたろう)
  • 設立年月:2008年2月
  • 資本金:10,000,000円
  • 事業内容:オフィス、店舗のデザイン・設計・内装工事
         オフィス、店舗のトータルコンサルティング
         オフィス、店舗のインテリア企画・製造・販売 ・リース業務
         オフィス、店舗の原状回復工事
         情報通信機器販売・保守メンテナンス
         会社案内・名刺・メニュー表・ショップカードなど印刷物の制作
  • 所在地:【本社】東京都港区北青山3-2-5 NH青山ビル4F
        TEL:03-6894-5678 FAX:03-6894-5679
        【福岡支社】福岡県福岡市博多区博多駅前3-5-7 博多センタービル8F
        TEL:092-409-7638 FAX:092-409-7639F
  • URL:http://www.top-planning.co.jp
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