プロダクト2021.10.06

業界最安級のゲーミングPCを販売!ファーストローンチは日本のeスポーツ文化を東北から変えるパイオニア

仙台
株式会社ファーストローンチ代表取締役
So Izawa
伊澤 創

学生時代からパソコンやeスポーツに親しみ、仕事を通じてITの専門スキルを身に着け、世界一周の旅を経て、株式会社ファーストローンチを立ち上げた、代表取締役の伊澤創(いざわ そう)さん。

2021年9月、JR仙台駅のほど近くに日本中でもまだ数少ない、東北初のeスポーツ用品店(ファーストゲーミング仙台店)をオープンしました。

今後ますますの飛躍が期待されるeスポーツ業界のパイオニアともいうべき伊澤さんに、会社を設立するまでの歩みや事業の目的、今後の夢などを伺いました。

 

中学時代にパソコンを自作してゲームで遊んだことが今の原点

自作パソコンやゲームに興味を持ったのはいつごろですか。

中学生のときに、初めてパーツを買って組み合わせてパソコンを自作しました。当時はインターネットもそれほど普及していませんでしたが、パソコンのパーツショップや専門誌がたくさんあり、プラモデルを組み立てるイメージで見よう見まねでつくりました。

自作したパソコンに、ゲームをするために必要なパーツを買って入れるとゲームが動いて、驚きましたね。それが、今販売しているゲーミングパソコンの第一歩で、以来パソコンの自作やゲームの面白さに目覚めて趣味として楽しんできました。

起業するまではどんな仕事をしていたのでしょうか。

中学卒業後の進路は理系で、国立高等専門学校(仙台高等専門学校)で情報工学を専攻し、ハードウエアの仕組みやプログラミング、ソフトウエアの開発などを学びました。実は、就職する前から自分で何か事業を立ち上げたいと思っていて。

ただ、個人事業主か会社をつくるか、具体的に何をどういう形でやるのかというビジョンや方向性が決まらず、まずは会社員として就職するという一般的な道を選びました。

就職先は学校で学んだ知識が生かせるIT業界で、途中で転職しましたが約10年弱、大手通信会社でネットワークインフラ系のシステムエンジニアをしていたんです。

 

コロナ禍で海外事業を断念し自分ができることを見つめ直した

 

会社員時代に世界一周旅行をしたそうですが、起業のきっかけになりましたか。

実は私は父親の仕事の関係で小学校時代をインドネシアのジャカルタで過ごしました。当時のインドネシアは政権動乱期で、街なかを戦車が走っていたりしましたが、恐怖心よりインスピレーションが刺激されて、ゆくゆくは海外で暮らしたいと思うようになったんです。

海外に生活の拠点を置いて、仕事をしたいというのは私の最終目標で、そのためにはインドネシア以外の海外を知らなさすぎるし、海外でどんな仕事をして食べていくかを探すために世界各国を旅しました。

会社員のころは2週間とか比較的長い休みを取ってたびたび海外へ行き、最初に就職した会社を辞めて転職する間の3カ月半で世界一周旅行もして、累計で63カ国を訪れましたね。

私はパソコン以外にオートバイも好きで、日本のメーカーのオートバイが海外でも人気が高く、かつ取り扱う店が少ないのを知って、タイのバンコクに狙いを定めて日本製のオートバイショップを開業しようと決めて、2019年の年末に会社を退職しました。

いよいよ最終目標に掲げていた、海外での起業ですね。

起業の準備は進めていましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大で、事業を始めることが難しく撤退を余儀なくされました。会社は辞めてしまい、海外で起業することもできず帰国して、何もなくなったのです。

けれども、コロナ禍は自分の歩みを振り返る、いい機会になりました。冷静になって考えると、日本でビジネスをやったことがない人間が海外に行って何が出来るのか。今の自分に何ができるのか分析したら、日本でやるべきことがたくさんあると思いました。

学生時代からパソコンやeスポーツが好きで、仙台高等専門学校で情報工学を学び、通信業界に約10年勤めた実績があること。自分が稼げるスキルは客観的に見てもIT関係なので、それを事業に落とし込もうと考えたのです。

 

学生でも気軽に買えるゲーミングパソコンを日本に普及させたい

それで、さっそく起業の準備を始めたわけですね?

東北にeスポーツ用品の販売店をつくること、中古パソコンをベースに最新のパーツを追加して日本最安クラスのゲーミングパソコンを開発し、日本のeスポーツ普及に貢献すること、この2つがやりたいことだと明確になりました。

けれども、それが世間に必要とされているのかという不安もあって、テストマーケティングも含めてクラウドファンディングを行ったのです。結果、14日間で目標額をはるかに超える267万円のご支援をいただき、リターン(返礼品)のゲーミングパソコンの製造が間に合わないほどの反響でした。

おかげで、eスポーツを事業にできることを、数字として肌で実感できたのです。そのクラウドファンディングの終了とともに事業を本格化させました。

日本のeスポーツ業界は海外に比べて遅れているといわれていますが、なぜでしょうか。

日本でeスポーツの競技人口が少ない理由は、ひと言でいうと、eスポーツをする環境が整っていないからだと思います。パソコンでゲームをするにはゲーミングパソコンが必要ですが、価格が高い、パソコンの価格差の理由がわからない、そういったことも含めて何を買っていいかわからないのです。

つまりeスポーツを普及させるためには、まずゲーミングパソコンを普及させなければならない、というのが私の答えです。

eスポーツ後進国という状況で、御社が目指すことを教えてください。

弊社は、中古パソコンをベースに、ゲームをする性能に直結する部品をすべて最新のものに交換して新たにつくり変えた、「リビルドゲーミングパソコン」を製造・販売しています。中核は中古ですが本物のゲーム用パソコンです。その大きな特徴は、業界最安値クラスの価格です。

大手メーカーの一般的なゲーミングパソコンは、15万円くらいから高いもので30万円とか40万円くらいしますが、弊社の「リビルドゲーミングパソコン」は49,900円(※税別)で、一般的な価格の3分の1以下。

お子さんが家庭用ゲーム機を買うように、気軽に買える商品を提供することが目的です。学生でもアルバイトをすればすぐにゲーミングパソコンを買えるようになれば、eスポーツの競技人口も増えるし、普及につながると思います。

どんなときに仕事のやりがいを感じますか。

弊社の「リビルドゲーミングパソコン」は、価格が安いことが強みです。中古パソコンを組み替えて、ゲーミングパソコンを製造するノウハウを持ち製品化しているのは、弊社だけだと自負しています。

社名の「ファーストローンチ」の「ローンチ」は、「発射する、送り出す」という意味で、ビジネスではよく使う言葉です。“初めて世の中に送り出す”という意味を込めました。ロゴは、一番星に向けてロケットを打ち上げるイメージです。

eスポーツを主軸として事業に掲げている企業が東北にほぼないなかで、誰もやっていないジャンルにチャレンジすることは、やりがいがあると思っています。

 

東北初!仙台にeスポーツ用品店をオープン

会社は走り出したばかりですが、今はどのような状況でしょうか。

2021年6月に、自社サイトと大手ネットモールにオンラインショップをオープンしました。多数のご注文をいただいていますが、コロナ禍による半導体供給不足で、ゲーミングパソコンの製造に必要なパーツが少しずつしか入ってこないため、製造数に大幅に制限を掛けている状況で、販売するとすぐ売り切れになってしまうので、歯がゆい思いです。JR仙台駅から徒歩9分の場所に実店舗「FirstGaming(ファーストゲーミング) 仙台店」を2021年9月19日にオープンしました。

弊社が販売しているリビルドパソコンを、その場で体験していただけます。ゲーミングパソコンはパソコン用ゲームではなく普通のパソコンとしても使えるようにしました。小・中学校はプログラミング教育が必修化され、高校も2022年から順に実施されるなかで、ソフト開発やプログラミングもできて、子どもの学習教材になるだけでなく、家族共有で使えることをイメージしたのです。また、パソコン用のデスクや椅子も自社で企画・開発して海外の提携工場でつくっています。

ショップ以外の新たな事業についてご説明いただけますか?

企業、自治体、学校向けに「eスポーツ導入サポート支援サービス」を開始しました。eスポーツ施設の開業やeスポーツの体験ブースの設置、eスポーツイベントの開催、学校の部活動でeスポーツチームを設立したいといったときに、コンサルティングから設備導入や保守、イベントの設営・運営までワンストップでサポートを行います。6月にプレスリリースを出してすぐに山形県の企業様からeスポーツ施設を開業したいと相談があり、店舗設計から機材導入、店舗運営システムの開発などを行い、8月に店舗をオープンするまで、全面的にサポートいたしました。

会社の今後の展望を教えてください。

当面の目標は、まだまだ伸びしろがあるeスポーツを日本中に普及させることです。ゲーミングパソコンの販売とeスポーツ導入支援サービスの2本柱にコミットして、いろいろな形でeスポーツを普及させるパイオニア企業にしたいですね。「eスポーツ導入支援サービス」のような幅広い支援も、東北に限らず全国に展開し、日本のeスポーツ市場を盛り上げていきたいです。今は少人数の社員とアルバイトスタッフで会社を運営していますが、正社員も募集中で、我々のこの想いに賛同いただける人材を探したいと思っています。忙しいながらも毎日が刺激的で充実しています。さらに今後はITベンチャー企業として幅広く展開し、将来的には夢である海外展開も目指します。

起業を目指している若いクリエイターにメッセージをお願いします

「起業するのはすごい」「起業したい」という若い方々がいますが、会社の設立だけなら1日でできますし、起業は手段の一つに過ぎず、目的でもゴールでもありません。また、好きなことや趣味を仕事にする面白さはありますが、たとえば、趣味でパソコンを組み立てるのと、ビジネスとしてパソコンショップを経営するというのは大きな違いがあるということです。

私は好きなことひと筋でしたが海外での起業を断念したり、思い悩みながら、じっくりと経験やスキルを重ねてきました。けれども、“これでいける”というタイミング、手ごたえをつかんだら、もう迷うことなくスピーディに起業に向けて進みましたね。

今、会社員や学生だとしたら、今の自分は何ができるのかを考えて行動してみることです。まずは副業から挑戦してみたり、その業界の人々に話を聞いたり、今の立場でできることはたくさんあります。常に行動しながら、自分の“やりたいこと、できること、やるべきこと”をしっかりと明確にして、目的のための手段として地に足をついて起業するのがいいと思いますよ。

取材日:2021年8月16日 ライター:佐藤 由紀子

株式会社ファーストローンチ

  • 代表者名:伊澤 創
  • 設立年月:2020年10月
  • 資本金:200万円
  • 事業内容:eスポーツ事業、ITクリエイティブ事業、海外輸出入事業
  • 所在地:
    【本社】〒984-0051 宮城県仙台市若林区新寺2丁目2-35 本田ビル2F
  • URL:https://firstlaunch.co.jp/
  • お問い合わせ先:https://firstlaunch.co.jp/contact/

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