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COLUMNコラム・ザ・ちゃんこ

世界一長いアートギャラリー

ARTY FACT LONDON Vol.67
ARTY FACT LONDON コウヅマノエ

先日「世界で最も長いアートギャラリー」として知られるスェーデン、ストックホルムの地下鉄の駅を見るために北欧を訪れました。

アーランダ空港駅のホーム

アーランダ空港駅のホーム

ストックホルム、アーランダ空港から街の中心部へと向かう電車の駅の天井は岩肌がむき出し、まるで洞窟の中にいるかのような感じで、長いエスカレーターを降りていくにつれて周りの空気が、ひんやりとしたものへと変わっていくのが分かります。駅構内の無骨さに、北欧の洗練されたデザインの黄色い車体の電車がより一層引き立って見えます。

ストックホルム市内を縦横に走るおよそ90ある地下鉄の駅は、石灰質の岩盤を掘った地下奥深いところに造られており、そのごつごつとした岩壁の各駅構内は約130名のアーティストたちによって手がけられた作品で彩られているのだそうです。特にブルーラインは、高い天井や壁に青いパターン描かれていたり立体作品がはめ込まれたりしたアートで有名です。その他の路線もホームに生物の彫刻、立体的なオブジェやネオンの光など個性的で面白い作品たちが地下鉄乗降客の目を楽しませています。

地下鉄入り口のエスカレーター

地下鉄入り口のエスカレーター

さて、切符を手にし、写真で見た駅構内のアートを思い浮かべながら薄暗いエスカレーターを降りていった私。 なんと、現在地下鉄の改修工事中ということで地下鉄の駅が一部クローズ。しかも、よりによって一番素晴らしいアートが見られる駅が閉鎖中とのこと。ショックを隠しきれないままインフォメーションのおばさんに、他の手段がないかだめもとで「地下鉄のアートを見にはるばるやって来たのですが」と訴えるも、ただ「残念ね~。」のひと言。 そう、期待していたアートはほとんど見ることができなかったのでした。このアートを見たいがためにストックホルムの立ち寄ったようなものだったのに…。

◆Stockholm Metro Fubiz™

◆Stockholm Metro Fubiz™

ということで、ストックホルム地下鉄の素晴らしいアートはこちらの写真をご覧ください。 ◆Stockholm Metro Fubiz™ http://www.fubiz.net/2011/06/07/stockholm-metro/

写真で見るだけでもすごい迫力です。かろうじて、開いている駅のアートは見ることができましたが、やっぱり一番見事だといわれている駅のアートは、実際にこの目で見てみたかったです。

またストックホルムを訪れる機会があるといいのですが。 ちなみに、これらアート作品の全長はなんと108kmにもなるそうです。

緑のペイントが天井から壁一面覆われた駅

緑のペイントが天井から壁一面覆われた駅

赤い線が構内に続く駅

赤い線が構内に続く駅

それにしても驚きなのは、地下鉄構内というパブリックスペースをアートギャラリー、むしろキャンバスそのものにしてしまうという大胆な発想。こんな大胆なプロジェクトを実現させたストックホルム地下鉄、つくづくすごいなぁと思います。公的機関では、なかなかできないものですよね。 それに、アートに興味のある一部の人のためだけといった一方的で押し付けがましい感じは全く感じられません。アートそのものの中にパブリックスペースがある、上手い例えが見つかりませんが、ギャラリーの中に公共施設があるストックホルム地下鉄の環境は、毎日の生活の中にアートが自然と上手く溶け込んでいるいい例ではないかと思います。

デザイン産業先進国といわれるスウェーデンですが、国民がアートやデザインに対して関心が高いのにもうなずけます。

Profile of コウヅマ ノエ

コウヅマノエ

女子美術短期大学卒業後、デザイン事務所勤務。その後、雑誌『エルジャポン』のデザイナーを経て、フリーのグラフィックデザイナーとして様々な雑誌のデザインを手掛ける。2003年に渡英し、ロンドンにあるRavensbourne CollegeでInteractive digital Media の修士号を取得。現在は南ロンドンで様々なプロジェクトに参加しつつ、ロンドン生活を満喫中

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