カーリングをやってきた!(後編)

東京
ライター
来た、見た、行った!
かつら ひさこ

(前編はこちらです。よろしければどうぞ。)

それにしても人生は面白い。

カーリングのカの字もよくわかってないやつが体験する機会に恵まれ(これがかなり幸運だということは後で知ることとなる)、いつの間にやらシートの中に立っているのだから。

 

友人夫妻がコーチをやってくださる中、まずはカーリングの基本の動作を教えていただいた。

ハックと呼ばれる台を蹴って氷を滑る練習。

ハウスと呼ばれる円に向かってストーンを投げる練習。

カーリングの初歩の初歩である基本の投球動作なのだが、このふたつが組み合わさるとど素人にはめちゃくちゃ難しくなる。

 

氷を滑る動作に集中し、「わ、滑れたー」と喜んでいたら投げる動作を忘れてしまい、「あ、そうだストーンを」と、慌てて投げる動作を思い出すものだから、フォームはちぐはぐなまま、ストーンはひょろひょろと力無く氷を進む。

 

それでも教えてくれる友人ご夫妻は「いいですね!」「おお、すごい!」「あの線越えましたね!」など、とにかく褒めてくれる。有難い。

あまりにも褒めてくれるので、途中から「これ、何回か練習したらたぶんもっとスムーズに行く気がする…」と、ちょっとだけ調子に乗り始めた。

人は褒めて伸ばそう。

 

なんだかんだとあっという間に時間は過ぎ、最後はご夫妻に入っていただきミニゲームらしきものができたのだが、その頃には「カーリングって、面白いかも…」と思ってしまった(ついさっきまで何をどうすれば勝ちなのかもわかってなかったくせに)。

 

ところで、カーリングは審判員が存在せずセルフジャッジのもとで競技を行うため、フェアプレー精神が何より重要視されるスポーツだ。

自分のチームに勝ち目がないと判断したとき、自ら負けを認め、相手に握手を求める習慣(コンシードと呼ばれる)があるのだが、これがすごくカッコいい。

 

カーラーは勝つためにプレイするのであって、決して対戦相手を貶めるためにプレイするのではない。

 

こちらは「カーリング精神」と呼ばれるカーリングの基本理念なのだが、そういえば、施設にお邪魔した時にすれ違う皆さんがとにかく礼儀正しく「こんにちは」と挨拶してくれたのが印象深かった。

 

勝つのも大事だけど、何より紳士的であれという理念に、にわかファンはいたく感動してしまった。

 

疲れはしたものの、楽しかったなぁ、少しやってみたかったなぁと思ったのだが、何しろカーリングができる施設は全国でもなかなか少なく、また次の機会に恵まれますようにと祈るしかない。

来年にまたできますように。そしてこのまま、ある程度自由にあちこち行ける環境が続きますようにと願わずにはいられない。

来年もどうぞよろしくお願いします。よいお年を。

 

プロフィール
ライター
かつら ひさこ
1975年札幌市生まれ。自分が思い描いていた予定より随分早めの結婚、出産、育児を経て、7年前からライティングを中心とした仕事を始める。毒にも薬にもならない読みやすい文章を書くことがモットー。趣味はクイズと人間観察。

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