スペース2012.09.12

駐車場の上に お店を作るという ユニークなアイデア

東京
株式会社フィル・カンパニー 代表取締役社長 高橋伸彰氏
 
 今回は「駐車場の上にお店を作る」というユニークなビジネスをプロデュースされている株式会社フィル・カンパニーをご紹介します。 「駐車場と建物と植物が共存できる空間づくり」をテーマにする同社は、どのようなシーンで活躍されているのでしょうか。フィル・カンパニーの実績や将来像について、代表取締役社長の高橋伸彰さんにおうかがいしました。

「駐車場+建物」というアイデアに確信した将来性

まず、株式会社フィル・カンパニーを設立されたきっかけをお教えいただけますか?

その前に起業していた会社の顧客だった家具会社の方と「駐車場をもっと活かす方法はないか」ということで進めていた案がきっかけです。コインパーキングの上に店舗を作ったら、もっと土地が有効活用できるのでは・・・という基本的なアイデアは、その時すでにできあがっていました。 結局、その会社では実現にまでは至らなかったのですが、私自身は駐車場の有効活用というアイデアに将来性を感じていましたので自分の会社を休眠してでも事業を立ち上げることを決心したんです。

「駐車場+建物」という案には、当初から手応えを感じていたんですね。

はい。まず単純に、駐車場は数が多いという点が魅力でした。 たとえば現在、全国のコンビニエンスストアの数は4万店ほどですが、駐車場の数はその倍以上の10万ヶ所にものぼります。この10万という数を見ただけでも、挑戦し甲斐のある、将来性を秘めた事業だと思いましたね。 また、駐車場のオーナーの皆さんにとっても「駐車場はそのままに、2階部分からも家賃収入が得られる」という、魅力ある提案だと感じました。

フィル・パーク八重洲

フィル・パーク八重洲

では、企画の実現は比較的容易だったということでしょうか?

いえ、設立当初はなかなか簡単にはいきませんでした。 いま申し上げたとおり、提案内容には自信があったのですが、そのアイデアを皆さんにご理解いただくまでには時間が必要でした。何しろ、当初はなんの実績もなく「このような構想があるのですが」と持ちかけるだけでしたからね。やはり、お客様としても実像が想像しにくかったようです。 また、コインパーキングはどこも人気があり、それだけで十分な収入を得ているオーナーが多かったというのもひとつのハードルになっていました。「今のコインパーキング収入だけでも満足しているから、わざわざ新しいことを始めなくても・・・」という感じでしょうか。

では、どのようにフィル・パークの実像をプレゼンしたのでしょうか。

まずは、当社オフィスを「フィル・パーク八重洲」として八重洲の駐車場上に作ってみたんです。そうすればモデルルームとして見学していただくこともできますし、何より、我々自身が入居者として使用感を確かめられると思いましたので。

フィル・パーク八重洲への反響はいかがでしたか?

全面ガラス張りのオフィスでしたので、一部では話題になったようです。オフィスというよりは、美容室や飲食店だと思われた方も多かったようですね。 ですから「なんのお店だか知らないけど来てみた」という感じで、知らない方が訪ねて来られたこともありましたよ(笑)。でも、それは「気軽に入って来やすい空間」だということの証明ですから、我々としては喜ぶべきアクシデントでした。

逆に、実際に入居してみて判明した問題点などはありましたか?

フィル・パーク八重洲では天井までも含めた完全なガラス張りでしたので、夏場は本当に暑かったですね(笑)。植物用の温室でもない限り、天井は塞いだ方がよさそうだとしみじみ実感しました。 ただ、雨の日などは、天井を水が流れていく様子が見えて綺麗でしたよ。

スタイリッシュなだけではない。あらゆる方向で「実用的」な空間を提供。

そういった実体験を経て、周囲への理解を広めていったのですね。

はい。明るくて入りやすい空間であることや、1階部分が駐車場であることなどを生かして、インテリアショップや美容室を中心に実績を重ねていきました。 また、実績を重ねることにより、コストダウンにも成功しました。設立当初はどうしても店舗ごとにオーダーメイドのような発注形態になっていたのですが、我々が積み重ねてきたノウハウにより、現在では大幅なコストダウンを実現しています。 それともうひとつ、コストダウンの実現については、建築のスピードが上がった点も大きいですね。

建築のスピードがコストダウンに関係するのですか?

お店を建てている間、どうしても1階部分の駐車場は閉鎖しなければならなくなってしまいます。つまり、工事が長引けば、それだけ駐車場収入が得られない期間も伸びてしまうわけです。 そこで、そのリスクを回避するため「素早くお店を建てる」ことも、フィル・カンパニーがオーナーにお約束するクオリティのひとつとなっているんです。現在では、建築は2ヶ月程度の工期で全て終えられますよ。 それから、駐車場のオーナーにとって「お店の存在が邪魔にならない」ことも重要ですね。もしもオーナーが土地を駐車場以外の用途に利用しようと考えた時、お店がなかなか立ち退けないようでは問題ですから。そういった視点からも当社では、お店は5年から10年の定期借家契約がベストかと考えています。

駐車場オーナーにとって、負担の少ない仕組みになっているのですね。

はい。また、当社は単に店舗を建てるだけではなく、基本的に「初期誘致」もお約束していることも大きな強みです。これにより駐車場オーナーは「入居者が決まっていないままビルを建てる」というような不安要素を回避できるようになっています。

サポート体制は万全のようですが、気になる耐久性の方はいかがでしょうか?

確かに、ガラス張りを多用したお店を見ると、耐久性を心配される方もいるようですね。ですが、フィル・パークは全て最新の建築基準法に準拠した建築物ですので、その点もご安心ください。現在でも、学童保育や柔道場としてフィル・パークが活用されているほどですから。 また、昨年の東日本大震災においても、フィル・パークの各店舗は影響を受けませんでした。「コスト・スピード・クオリティ」を兼ね備えた店舗として、安心してご利用いただけますよ。

フィル・パークは、お客様のための「真っ白なキャンバス」

今後、フィル・パークはどのように展開していくのですか?

特にこれといった特定の方向性は定めていません。 というのも、フィル・パークは真っ白いキャンバスのようなもので、どのようにもご活用いただける空間だと考えているからです。 例えば現在でも、屋上部分を単なる庭園ではなく貸し農園として共用されている方もおられますし、きっと、まだ見つかっていない活用法がたくさんあるのだと思います。 我々は、お客様にそういった可能性を見つけていただけるよう、合理的でシンプルな場を提供できれば…と考えています。ですから、我々の理念は「シンプルイズベスト」。その上で、お客様のご要望により様々なオプションをご用意して、無限のオリジナリティを演出していけたら嬉しいですね。

株式会社フィル・カンパニー

  • 代表取締役社長:高橋伸彰(たかはし・のぶあき)
  • 事業内容:
    • 駐車場を活用した空中店舗の企画・開発・運営・管理
  • 資本金:5000万円
  • 所在地:〒102-0072 東京都千代田区飯田橋3-2-6 フィル・パーク飯田橋 TEL:03-5275-1701 FAX:03-5275-1702
  • URL:http://philpark.jp/
  • 問い合わせメール:上記HP「お問い合わせ」ボタンより
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