MENU

震災を機に関東から福岡へ! 独学で始めたWeb制作で永続する会社を目指す

福岡
シンス株式会社  代表取締役 越水大輔氏
東日本大震災をきっかけに2012年、関東から福岡へ家族で移住した越水 大輔(こしみず だいすけ)さん。大手企業を退職し、独学で始めたWeb制作の仕事を福岡で軌道に乗せて、2016年 にはシンス株式会社を設立しました。異業種からの転職で、しかも地元ではない地で実績を上げている越水さんに、ユニークなキャリアや仕事を拡げるコツ、今後の事業展開などについ て話を聞きました。

起業したくて大手企業を辞めたものの、波乱にもがく日々

越水さんは福岡に移住されたと聞きました。会社を立ち上げるまでの経緯を教えてください。

私は静岡で生まれて3歳から神奈川で過ごし、関東の大学へ進学しました。卒業後は大手の証券会社に入り、東京で営業職に。いつか何かで起業したいと思っていたの で、まずは営業で経験を積むため会社員になりました。
27歳のとき、ベンチャーへ転職。ビジネスの立ち上げを現場で学びたかったのですが、ベンチャーならではのスピード感についていけず委縮してしまって、半年ほどで退職。それからど うしようかと考えたとき、WebやIT業界に興味があったので、試しに勉強しながらショッピングサイトを作ってみたものの、3か月経ってもほぼ売れなくて…自分の甘さを知りました。当時すでに結婚していたため、食べていくために不動産の営業に転職しましたが、とにかく自信をなくしていましたね。

起業したいという思いはなくなったのですか?

いえ、そんなことはありません。当時、スマホやiPhoneが登場して、アプリを作って一発当てようという人たちが出始めたくらいでした。私は「何だったらできるの かな」と改めて考え、子どもの頃は絵を描いたり、マンガを描いて友達を笑わせるのが楽しかったなと振り返って。やはりWeb業界にいきたいけど、すぐ独立するのは難しいと思い、ひと まず就職しようと決断しました。
スキルを身につけるため書籍やサイトを見ながら勉強。2月末で会社を辞めて勉強する中、3月11日に東日本大震災が起こりました。もともと妻の実家の福岡県大牟田市に子どもの顔を見 せに行こうと3月13日のチケットを取っていたので、妻の実家で過ごしながら勉強を続けて、地震が落ち着いたら東京に戻って就職活動をするつもりでした。

短い帰省のつもりが、長めの滞在になったのですね。

大牟田にいるとき、妻の友人から「Webサイトを作れる人を探している」という話がありました。勢いで「やります」と手を挙げて、旅館のサイトを作ることに。わか らないことだらけで、その都度調べながら必死にやっていく感じ。1か月ちょっとで神奈川に戻り、どうにかサイトを完成させました。請求書も出したことなくて、テンプレートを探した り(笑)。実際にお金が入ってきたときは、うれしかったですね。
それで、フリーランスになって、仕事を取りながら勉強していくことにしました。神奈川にいながら、以前のつてで旅館の案件がいくつか入ってきて、自分で営業しつつ、技術を覚えてい きました。

関東でも福岡でも地道に営業し、ブログで情報発信

関東ではどのように仕事を獲得されたのでしょう?

チラシを作って近所の商店街に配って歩いたり、電話をかけたりしました。証券会社のとき1軒ずつ回るような営業をしたことがあり、1,000件電話してダメなら2,000 件とかけ続ければ、絶対にお客様はいるとわかっていたんです。地道に営業したりWebの会に出たりして、少しずつ仕事を獲得していきました。
Web制作会社で週に数日働いて会社の仕組みを学びつつ、個人でもやっていました。営業もデザインもコーディングも全部自分でやって、新しい技術を身につけたいので、基本的に仕事が きたら「はい」というスタイルでした(笑)。屋号は「i.Design」(アイドットデザイン)。iPhoneやiMacなどが流行っていたので頭にiをつけて、プログラミングでつなぐという意味の ドット、そしてデザインの仕事とわかりやすいようにしました。

何をきっかけに福岡に移住されたのでしょうか?

1年後に部屋の更新が来たタイミングで、地震の恐怖が鮮烈に残っていたため、子育てのことも考えて福岡へ引っ越しました。2012年のことです。
屋号はそのまま、また電話帳で営業したり、初めのうちはWebの勉強会やその他交流会にも積極的に参加しました。勉強会で話し手を募集しているときは手を挙げて、顔を覚えてもらうよ うになり、移住してきたことで注目されて新聞やテレビにも出ました。スタートのときは売上が伸ばせなかったのですが、おかげさまで今では社員を雇えるようになり、順調に成長できています。

売上を伸ばせた秘訣を教えてください。

うーん、限界まで行動しましたね。飲みは必要最低限にして、1行でも多くコードを書く感じで。あとは、ブログを書いて情報発信しました。会社の戦略として、フィ ードに必ずあがって知ってもらうためにブログを書いていました。東京で名刺交換した人たちは、ブログをやっている人がどんどん有名になって本まで出版するようになっていたのでそれを参考にして、私は当時福岡のWebクリエイターで一番ブログの更新頻度が高かったんじゃないかと思います。

経営理念や経営方針を理解した上でWebを制作

福岡でも個人事業主として活動していて、会社を設立されたのはいつでしょうか?

2016年12月にシンス株式会社を立ち上げました。その前からスタッフを雇い始めて、利益が出るようになったので法人化して、今は10人の会社になりました。今、会 社の事業はホームページの制作だけで、その事業名として私個人でやっていたときの屋号「i.Design」を使っています。

御社の強みについて教えてください。

ブログやSNSを通した情報発信にかなり力を入れています。自社のニュースや制作に必要な技術情報、インタビューなどをサイトに載せたり、ブログを書いたり、 twitter、Instagram、facebookで情報の内容を変えています。営業活動の一環として、毎日見てもらうためのしかけです。ほかに、2017年6月から毎月ニュースレターも出しています。 ブログやSNSに力を入れてきたので、SEOのノウハウをしっかり蓄積できています。情報をどのように波及させるかということに関しても経験からアドバイスできます。

経験に基づく戦略があるのですね。お客様のサイトを作った後もフォローされるのでしょうか?

基本的にはブログを入れてもらい、作った後がスタートというスタンスです。作って終わりではなく、継続的に情報発信することが大切。極論をいえば、サイトでな くてもいいと思うんです。サイトは理念などを達成するためのひとつのツールでしかなくて、作った後に仕組みを運用するところが肝。とはいえ、ブログを書き続けられなかったり、情 報を更新できないところが多いので、自社の経験を活かして、どんな切り口でネタを考えほうがいいかなどをフォローできるのが強みです。

これまでに関わったサイトはどのくらいですか?

対応した案件は400サイトくらい。教育機関からベンチャーのサービスサイト、アプリのボタン配置のデザイン、ショッピングサイトまで、幅広く手がけています。外部のパートナーにも協力をしてもらいながらウェブサイトに関することなら、たいてい対応できます。

Webサイトの制作で心がけていることを聞かせてください。

お客様がWebでやりたいことは集客や商品販売、求人などさまざまです。その前提として、どんな会社を実現していきたいのかという経営理念や経営方針を理解するよ うに心がけています。Webサイトはあくまでも事業や経営上の目的を達成するためのひとつのツール。その目的を達成できるなら、チラシやパンフレットでもいいと思うんです。事業や経 営をやっていく中で、Webサイトが適切な役割を果たせるかどうかが一番大事。ですからお客様の経営理念や経営方針を理解した上で、Webを作ることが重要だと考えています。

「昨日より一歩前進」で拡大より永続する会社を目指す

今後のビジョンについて教えてください。

当面は採用サイトの分野に力を入れていくつもりです。中小企業のオーナーさんと話していると、どこも採用に困っていて、課題としてなくなりませんよね。ですか ら業種で絞るのではなく、採用というサイトの役割に特化して、サービスを拡大していきたいと考えています。まずは自社の採用サイトを作り、それを軸に展開していこうという段階で す。今、自社の情報をしっかり出せているサイトは少ないので、大きなチャンスがあると感じています。

どのような会社にしていきたいですか?

スタッフには「昨日よりも今日一歩前進してほしい」といつも話し、しっかりコミュニケーションを取るようにしています。 もともと世界を変えるとか、大きなことを成し遂げるというモチベーションでやっているわけではありません。キーワードは「サバイバル」かな。今、モデルケースとして参考にさせていただいている会社があります。
長野県で寒天などを作る伊那食品工業株式会社。会長の塚越寛さんが経営理念などを書いた「いい会社をつくりましょう」(サンクチュアリ出版)という本はおすすめです。会社が祖母 の家の近所なので昨年見に行ったら、自然の中にあって、社屋がものすごく美しくて雰囲気がいい。気のめぐりがよくて、感動するくらい。それで本を読んでみたら、価値観がしっくり きました。急成長しすぎずに地道に着実にやっていて、会社は何十年も増収増益なんです。
私の会社も拡大よりも永続を目指して、私がいなくなってもずっと続いていくようにしたいですね。Web制作の業界が5年後10年後にどうなっているかわからなくて、やることは状況に応 じて変わってもいい。そのための事業制で、今はi.Designだけですが、他にも自分たちの強みを活かせる事業を展開したいと思っています。自分が満たされたから終わりというのではなくて、関わってきた周りの人たちも幸せにしながら、次の世代もよくなっていくように、永続する会社を目指します。

取材日:2018年10月5日 ライター:佐々木恵美

シンス株式会社

  • 代表者名:代表取締役 越水大輔
  • 設立年月:2016年12月
  • 事業内容:ホームページ制作
  • 所在地:〒810-0074 福岡市中央区大手門3-4-3 東ビル201
  • 電話:092-406-8630
  • URL:https://since-inc.jp
       i.Design https://idotdesign.net
続きを読む