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プラットフォームの違いがあるだけ。映像が必要とされる世界なら、僕らは何でもできる。

東京
株式会社クラフト 代表取締役 渡辺 資 氏
YouTubeをはじめとする動画プラットフォームの伸長や、Abema TVなどに代表されるネットとテレビの融合。「おもしろいコンテンツ」を求める視聴者のニーズに合わせて業界構造が激変する中で、独自のスタンスを貫き、話題の番組を作り続けているのが株式会社クラフトです。「テレビとネットの垣根はない」「映像が求められる世界なら僕らは何でもできる」――。そう語る代表取締役の渡辺 資(わたなべ たすく)さんに、業界の展望やともに働く人への思いをうかがいました。

石井浩二さんや鈴木おさむさんと出会ったAD時代

まずは渡辺さんのキャリアについて教えてください。「コメディ映画を作りたいという夢があって業界へ入った」と伺いましたが。

映画がとにかく好きでした。学生時代は暇だったので、年間300〜400本は観ていたんじゃないでしょうか。特にやることがないときは1日で8本観たこともあります。ウディ・アレン監督の作品が好きで、当時は憧れていました。

1日8本というのはすごい数ですね。

そうやって映画の世界にのめり込んでいく中で、映像制作に関わる仕事がしたいと思うようになりました。僕はちょっとひねくれた部分もあって、「何かを頑張る」ということが嫌いだし、「仕事を仕事だと感じないような働き方をしたい」と考えていたんです。それでもやっていける業界はどこだろう……と考えて、テレビの世界に興味を持ちました。でも当時は超就職氷河期で、テレビ各局、すべて落ちてしまって。結果的に番組制作を事業としている企業に入社しました。

そこではどのような仕事を経験したのですか?

最初はADからスタートしました。テレビがいちばん元気な時代を経験できたと思います。『笑っていいとも!』のプロデューサーなどを務めたフジテレビの石井浩二さんや、放送作家の鈴木おさむさんにかわいがってもらって、1年が経つ頃には「短いVTRは君に任せるよ」と言ってもらえるようになりました。

若いうちからいろいろな経験を積んできたのですね。

編集現場に「Final Cut」が導入されたばかりの時期で、これをある程度使いこなせたことが大きかったと思います。ベテランでも使い方を知らない人が多かったので、若くても頼られたし、活躍させてもらうことができました。新しい技術に早く順応できるのは、若い人の強みだと言えるのかもしれませんね。

ネットの世界でも、リッチな予算で深い番組作りができる時代に

テレビの視聴率低下や新たなプラットフォームの登場など、業界構造がどんどん変化していると思います。渡辺さんは現状をどうとらえていますか?

若い人たちを中心にテレビを見ない層が増えているのは事実ですよね。一方では、テレビでしか伝えられないこともまだまだあると思っています。国民的なスポーツの試合やイベントなら、みんなテレビで見るじゃないですか。これはネットではかなわない領域です。また、ビートたけしさんや松本人志さん、爆笑問題さんといった大物タレントが時事問題を切るような番組は、テレビのほうが圧倒的に強い。

まだまだテレビの存在感は強いと。

そうですね。一方ではネットの世界もおもしろい。僕はAbema TVの番組制作にも携わっていますが、作り方も自由度もまったく違います。ネットならではの人気番組や動画作品もどんどん登場していますね。今の子どもたちは学校で、「昨日のテレビのあれ見た?」ではなく、「昨日のYouTube見た?」と会話している。時代が確実に変わっているということだと思います。

渡辺さんは、田村淳さんや西野亮廣さんなど、テレビ・ネット双方で活躍する方々とも番組制作を行っていますね。

田村さんも西野さんもものすごく頭が良くて、タレントや芸人の枠を超えてマーケティングの最先端を実行していると感じます。自分という存在を客観的に見て、上手にセルフプロデュースをしている。芸能界での自身のポジションを踏まえて、他の大物タレントができないことをやってのけるんですよね。地上波テレビでは絶対にできないような企画も次々と発信しています。そうした仕事の現場に誘ってもらうと、「業界構造がガラッと変わる潮目」が来ていることを感じます。

「潮目」とは、具体的にどのようなことを指すのでしょうか?

コンテンツを持っている、あるいはコンテンツを形にできる人や企業のところには、その形態を問わずお金が集まるようになってきました。動画制作などの現場にはナショナルクライアントから直接依頼が来て、テレビと同等かそれ以上の予算が動くこともあります。リッチなものを深く作ることができる場所が、ネットの世界にも広がってきています。

若いメンバーの感性や技術に触れて、ドキッとすることもある

番組制作における「テレビとネットの垣根」とは、結局どんなことなのでしょうか?

僕は個人的に、そんな垣根はないと思っています。映像が必要とされる世界なら僕らは何でもできるし、そのためのプラットフォームがテレビなのかネットなのか、という違いがあるだけです。ただ、技術の進歩がもたらす差は今後広がる可能性があります。2019年にはスマホが5Gになると言われています。そうなればスマホで4Kの映像が受信できるようになるので、テレビというプラットフォームの差別化はより難しくなるのかもしれません。当然、より良い配信コンテンツを作ろうと思えば、僕たちのようなところに話が来るようになる。スマホ向けに4Kで納品すればいいだけですからね。そういう意味では、メインプレイヤーがガラッと入れ替わる可能性も高いと思っています。

クラフトが強みにしていることについても教えてください。

動画を作ることに対しては全ジャンルでやっているので、あらゆる状況に対応できます。新しいプラットフォームにも積極的に関わっています。小さな会社なので、僕自身はディレクターもプロデューサーもやるし、予算を取るために泥臭く動くこともある。マルチに動けるから話が早いし、スピードも早い。そうした部分も強みになっていると思います。従来の制作会社とは違うビジネスモデルでしっかり利益を出せているし、ある意味では堅実な会社運営ができているとも感じます。

現在の環境の中で、渡辺さんは今後、どんな人と一緒に働きたいと考えていますか?

とても具体的な話になりますが、「スマホ動画の演出家が欲しい」と思っています。映像や動画を作るだけではなく、「このデバイスだから」「このアプリの仕様だから」という技術的な視点も持って仕事ができる人ですね。クラフトの若いメンバーの感性や技術に触れてドキッとすることもあるので、僕自身も勉強を続けていきたいと思っています。テレビであろうがネットであろうが、最先端の技術とスキルを駆使して良いコンテンツを発信し続けられる集団でありたいと考えています。

取材日:2017年11月20日 ライター:多田慎介

株式会社クラフト

  • 代表者名:代表取締役 渡辺 資
  • 設立年月:2013年12月
  • 事業内容:テレビ・インターネット・ラジオ・ビデオ等の映像媒体の企画・編集、放送番組・ビデオソフト等の放映権の取得・買付け・輸出及び販売、各種イベントの企画・制作
  • 所在地:東京都港区北青山1-4-5 VORT青山一丁目Dual's 902号
  • URL:http://craft-inc.co.jp/
  • 問い合わせ先:上記URL内「CONTACT」より
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