WEB・モバイル2019.04.24

デザイン、編集、ギャラリー運営、イベントプロデュース。沖縄の地方都市「うるま市」をキーワードに、4つの事業を展開するデザイン会社

沖縄
monobox株式会社
代表取締役
河野 哲昌氏 、河野 こずえ氏
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沖縄本島の中央付近に位置する「うるま市」という場所に、今回ご紹介するデザイン会社「monobox株式会社」はあります。その業務はデザインだけにとどまらず、メディア記事の取材や撮影、イベントの企画プロデュース、さらにギャラリー経営まで多岐に渡ります。沖縄の中心地である那覇市ではなく、少し不便ともいえる場所になぜ会社を設立したのか。なぜさまざまな業務を担っているのか。monoboxの代表であり、アートディレクターでありプロデューサーである河野哲昌さん、こずえさんのご夫妻にお話を伺いました。

自然豊かな環境で、子育てと仕事を両立できる会社に。

monobox株式会社を設立するまでの経緯を教えていただけますか?

哲昌さん:

私たちは2011年に東京から沖縄に移住したのですが、monoboxはその1年ほど前に東京で立ち上げた会社です。私も妻も当時はまだ会社員でしたので、副業的なことをしてみたいと思い会社を作ったものの、本業が忙しくてなかなか手が回っていませんでした。

現在のようにデザインをメインにした会社にしようと思われていたのですか?

こずえさん:

そうですね。夫はデザイナーとして会社勤めをしていましたので、それを主軸に「何かいいものが集まる会社」ができればいいな、と考えていました。

2011年になぜ沖縄に移住されたのでしょう?

哲昌さん:

当時首都高の近くに住んでいたのですが、長女が小児喘息を患っていたこともあり、環境の良い場所に住んだ方がいいと思っていました。そんな矢先、東日本大震災が起きました。留守番していた長女が1人で地震の恐怖を味わってしまい、親として「何を一番大事にして生きるか」を考え直したんです。

 

こずえさん:

自然豊かで地震が少なく、子供にとって過ごしやすい場所はどこかと考えて、沖縄を選びました。

ではなぜ、仕事が多くありそうな那覇ではなく、うるま市に移住されたのですか?

哲昌さん:

せっかく東京から移住するなら、都会ではない場所にしたいと思いました。しかし、やんばる(沖縄の北部)での生活は当時の私たちにとって「まだハードルが高い」と感じました。子供が3人いますので、自然が残りつつも学校に通いやすく、かつスーパーなどの生活基盤が整っている場所ということで、うるま市を選びました。生活のしやすさが基準でしたので、ビジネス的な理由では全くないんです(笑)。

こずえさん:

今でこそうるま市には移住者は増えましたが、当時はほとんどいなくて、近所の方に相当奇異の目で見られましたよ。他の場所に住む沖縄の方からも「なぜ不便なうるま市に住むの?」と、不思議がられました。

哲昌さん:私たちの職種にとっては地理的に未知数な場所だと感じながらも、東京で立ち上げた会社を再起動して、手探りで仕事を探しはじめました。もし那覇に住んでいたら会社員になっていたかもしれません。

うるま市に住み始めていかがでしたか?

哲昌さん:

うるま市はいい意味で「普通」です(笑)。例えば特別オシャレな空間はないけれど、チェーン系のファミレスがあったり、充実した量販店があったり。子育て世代には住みやすい町だと感じます。仕事の面からいうと、弊社のビジネスの根幹は、うるま市だからこそ築けたように思えます。

「うるま市」だからこそ広がったビジネス

うるま市にあることで、どのようにお仕事に広がりが出てきたのですか?

哲昌さん:

弊社の事業の柱は、「デザイン業務」、「取材、撮影等の編集業務」、「ギャラリー運営」「イベントプロデュース」の4本になります。まずデザイン業務をきっかけとして、その他の事業が「うるま市」というキーワードで繋がっていきました。

こずえさん:

移住して間もない頃、地域の方からの助言でうるま市観光物産協会の会員になりました。加入してみてわかったのが、当時のうるま市にはデザイン会社は1社しかないということでした。しかもその会社は多忙なため、観光協会の仕事を請け負えずにいました。そこにちょうど弊社が入ったことで、観光協会からデザインの仕事をいただけるようになったのです。タイミングよく双方のニーズがマッチしました。

では、編集やギャラリー業務はどのように始まったのでしょう?

哲昌さん:

うるま市のことを何も知らないまま住み始めましたので、情報を集めようとインターネットで検索したり本屋へ行ったりしてみたのですが、ほとんど見つかりません。沖縄の方に聞いても、いまいちみんな知らない。でもうるま市の道路を走っていると、道端にお店の手作り看板をよく見かけるのです。ということは「実は知られていないだけでお店は多いのではないか」と思ったのです。

ちょうどその頃、monoboxという会社を知ってもらうために何かツールが必要だと考えていました。そこで、うるま市の情報を自分たちで集めて冊子にまとめれば、自分たちとうるま市の両方のPRツールになると思いついたのです。

こずえさん:

その冊子は「みちくさうるま」というフリーペーパーで、おかげさまで地域の方から好評をいただきました。それをきっかけに編集のお仕事もいただけるようになってきたのです。

哲昌さん:

私はデザイナーではあるものの編集業務はやったことがありませんでしたし、妻も素人同然。カメラの知識もほとんどないまま、ノウハウ本片手に試行錯誤しながらなんとか一冊にまとめて、「日本フリーペーパー大賞」で優秀賞をいただくこともできました。

そこからどのようにして、ギャラリー運営に至ったのですか?

哲昌さん:

 「みちくさうるま」の一つのシリーズとして、「みちくさうるま工芸紀行」という冊子を作りました。その取材を通してわかったのが、うるま市で作られる作品は、地元ではなく那覇や県外で主に販売されているということでした。そこで「うるま市で出来た工芸品を市内で販売する場所」のイメージが浮かび、弊社の事務所の空きスペースを「ギャラリーはらいそ」として2014年にオープンしました。

うるま市には工芸作家さんが多いのですか?

こずえさん:

多いですね。ギャラリーでお付き合いある作家さんは現在19名ですが、まだまだいらっしゃいます。ジャンルも幅広くて、やちむん(焼き物)と呼ばれる沖縄の陶芸を作る方から木工、染色、琉球ガラスなど、様々な方がいらっしゃいます。

哲昌さん:

ギャラリーをオープンしたことも手伝って、イベントプロデュースの仕事も始まりました。観光協会経由で、東京の百貨店で開かれる沖縄の催事に参加しないか、という話をいただき、ギャラリーでお付き合いのある作家さんの作品を展示販売できるようになったのです。

こずえさん:

当初は催事フロアで、飲食店などに混じっての展示販売でしたが、沖縄の工芸品へのニーズが高いようで、リビングフロアでも単独で展示できるようになってきました。そして昨年は銀座の三越で、今年の3月には新宿の伊勢丹で催事にも出させていただきました。ただ、「ギャラリーはらいそ」はあくまでうるま市の作家さんに限定していましたので、それだけだと百貨店のニーズに応えきれない課題も出てきました。そこで昨年、沖縄県内のクラフトを横断的に扱う「蜃気楼」というプロジェクトを立ち上げました。

デザイン、編集、ギャラリー、イベントプロデュース。4つの力で沖縄文化を海外に発信したい

monoboxという会社の強みを、どのようにお考えですか?

哲昌さん:

デザイン業をやりつつ、取材撮影などの編集業務をする会社や、編集業務を行いつつ、イベントプロデュースを手がけている会社はあります。しかし、ギャラリーの運営を含めて4つをできる会社はあまりないと自負しています。

こずえさん:

昨年12月に「やんばるアートプロジェクト」という、沖縄の北部でのイベントに参加しました。そこでは、取材したことのある浦添のギャラリーと連携して、さまざまなクラフト作品の仕入れから展示販売までを担い、さらにコンシェルジュとして見に来た方へ工芸の説明もできました。取材業務、イベントプロデュース、ギャラリー運営をしてきたからこそ、成し得た仕事だと感じています。

哲昌さん:

百貨店から弊社に依頼がくるのは、やちむんから琉球ガラス、織物まで、多岐に渡るジャンルを集められるからだと思います。今後もその利便性を強化していきたいと思っています。

今後の目標を教えてください。

哲昌さん:

最近では県外からも、デザインや取材、イベントのお仕事をいただけるようになってきました。特に県外で沖縄クラフトの需要は高いと感じているので、海外での反応も見てみたいと思っています。東京の百貨店での展示会のように、海外でも沖縄クラフトのイベントをできるようになれたらいいですね。

取材日:2019年2月21日 ライター:仲濱 淳

monobox株式会社

  • 代表者名:代表取締役 河野 哲昌
  • 設立年月:2010年6月
  • 資本金:750万円
  • 事業内容:ポスターやフライヤー、冊子やフリーペーパー、ホームページなどのデザイン、企画編集や取材・撮影、イベントプロデュース、ギャラリー運営
  • 所在地:〒904-1107 沖縄県うるま市石川曙1-9-24
  • URL:https://monobox.jp/
  • お問い合わせ先:TEL)098-989-3262 Mail)info@monobox.jp

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