沖縄の発展につながる広告をつくっていきたい

沖縄
株式会社エマエンタープライズ クリエイティブディレクター
新垣 幹夫 氏
今回訪問したのは沖縄の広告代理店、株式会社エマエンタープライズです。沖縄県民であれば1度は見たことがあるCMなどの広告制作を手掛けるクリエイティブディレクターの新垣 幹夫(あらかき みきお)さんにクリエイティブの仕事のやりがいや今後の展望についてお話を伺いました。

沖縄の地元企業として何事にもじっくり向き合う広告代理店

会社設立までの経緯をご存知でしたら教えてください。

弊社は大城祐建社長が一代で設立した会社で、元々、大城社長は南風原(はえばる)町で印刷を主とした制作会社を経営しておりました。当時は写植機という機械を使用して、1文字、1文字、活字を並べて印刷が行われていたのですが、その後、MacによるDTPがはじまり、このまま会社を続けていては時代に乗り遅れると写植機を売却し、那覇で広告代理店を始めました。その広告代理店がエマエンタープライズです。

御社の社名の由来はなんですか?

1956年の9月に沖縄に上陸した台風12号「エマ」から取っています。この台風は沖縄に甚大な被害をもたらしたそうです。建物の倒壊もひどく、復興には大変な時間がかかったそうですが、それでも沖縄を本来の姿に戻したいという住民たちの強い気持ちによって、それまで以上に豊かな沖縄を取り戻すことができました。
この時の復興の原動力になった地元沖縄への愛情や住民同士の絆を忘れてはいけないという思いが「エマ」という社名につながっています。また、あらゆる情報が拡散されている現代の情報社会の中で、弊社が沖縄の広告業界の台風の目になっていくという思いも込められています。

御社の主な事業内容を教えてください。

コミュニケーション戦略、戦術のプランニング、クリエイティブというのが沖縄で行なっているメインの事業です。具体的には広告やPR、セールスプロモーション、WEBプロモーション、イベントや調査などを行っています。
その中で僕はクリエイティブディレクターとして働いています。クリエイティブディレクターというのは広告クリエイティブのまとめ役といった立ち位置で、キャンペーン全体のクリエイティブの方針を決定し、CMを手がけたり、グラフィックを作ったりするなど、紙媒体、動画に関わらず全ての広告に関わっています。

御社で大切にしていることがあれば教えてください。

僕たちは常に「Think Deeply」を意識しています。深く考えるという意味です。広告ひとつとっても、じっくりと向き合って、どうすれば響くものが作れるのかということを考えます。広告業界には派手で華やかなイメージがありますが、僕たちは一つ一つを掘り下げて考えてから実直に行動や提案をしているので、広告代理店として真面目だと言われることも多いです。

御社で働いている方は沖縄の方が多いのでしょうか?

沖縄県出身者と沖縄県外から移住してきた方の割合は大体半分ずつです。沖縄県民だけでなく県外の人の目線も取り入れられるので、このぐらいの割合はベストだと思っています。沖縄にも全国に支店を置く大手の企業はありますが、そうではなくて地元沖縄で生まれた広告代理店で、なおかつ沖縄県民だけで構成されてない企業であるというのは、弊社の強みの一つだと思っています。

地域性の強い沖縄の広告業界で挑戦したい

ブリッジするシーサーは、社内のクリエイターが作った。

新垣さんがクリエイティブの仕事に興味を持ち始めたのはいつ頃ですか?

元々東京の美大に通っていて、学生時代にはデザインや映像制作を行っていました。BS(衛星放送)が放送され始めた頃は、音楽番組の制作に携わったり、PV制作を行ったりしていました。そういった中で自然とクリエイティブの仕事に興味を持つようになりました。

新垣さんが沖縄に戻って来てエマエンタープライズに入社された経緯を教えてください。

どの分野の業界でも言えることかもしれませんが、だんだんと東京一極集中ではなくなっていて、地方でも十分にいいものを作れる環境が整ってきていると感じます。地元の沖縄に目を向けた時に、思っていた以上に沖縄にクリエイティブの仕事があるということに気がつきました。また、沖縄は地域性の強い独自の文化があるので、全国展開する企業でも沖縄だけで放送されるローカルCMがある場合もあります。そういった部分に驚きながらも、挑戦してみたいという思いがあり沖縄に戻って来ました。
そうして、沖縄のどの会社で働くかを考えていた時に、当時のエマエンタープライズの先輩方の作品を見て、作品の素晴らしさはもちろん、やりがいのある仕事ができそうだと思い、入社に至りました。

メッセージ性のある広告をつくる

クリエイティブの仕事をしていくなかで大変なことはありますか?

入社して12年ほど経ちますが、未だに仕事に慣れないんですよ。毎回クライアントもテーマも異なるので、新しいプロジェクトが始まる度に、新人のような感覚で働いています。アイデアが出なくて煮詰まることもあるので、アイデアがスラスラ出る方が羨ましいなと思います。

制作するうえでのこだわりはありますか?

クライアントの思いを汲み取りながら、生活者に響くものをどう作るかを心がけています。広告代理店の仕事はクライアントありきです。そのため、自分の表現したいことだけを広告にするのではなく、クライアントが一番訴えたいことやテーマをどうすれば視聴者にわかりやすく伝えることができるかを考えています。

どういった時にやりがいを感じますか?

メッセージをしっかり表現できたときにはやりがいを感じます。
例えば、以前、琉球新報のCMを制作した際にACCフィルムフェステバルで地域賞をいただくことができたのですが、この琉球新報のCMでは「沖縄が私に問いかける。解けなくたっていい、自分の答えを持とう」というコピーで、情報があふれ、誰もが自分に意味のある情報だけを選択できる現在だからこそ、新聞の本質は「問い」である。という新聞ならではの強みを伝えることができたのではないかと思っています。

Web動画を通じて沖縄県民だけでなく、全国各地の人に作品を見てもらいたい

エマエンタープライズとして、今後どのようなことに挑戦していきたいとお考えですか?

目指すのは、企画とクリエイティブによる力で、沖縄のためになる会社です。
そのためには当たり前ですが、まずはクライアントの役に立っていきたいです。広告を提案するだけでなく、同じ気持ちで業績を見て、考える。悪いときは落ち込むし、良いときはよかったと本気で思える。そうやって仕事をしながら、クライアントと一緒に成長していきたいです。
これから沖縄の発展には、観光がとても重要になってくると思います。アジア各国だけでなく、世界中から見ても沖縄の観光地としてのポテンシャルはとても高いです。
この分野で力を発揮していくのも、私たちの今後の使命のひとつだと考えています。エマエンタープライズは、広告会社という枠にとらわれず、企画力とクリエイティブ力でクライアントの役に立ち、沖縄の発展を支える力になり続けたいと思います。

取材日:2017年8月22日 ライター:小南 光

 

株式会社エマエンタープライズ

  • 代表者名:大城 祐建(おおしろ ゆうけん)
  • 設立年月:1988年10月
  • 資本金:10,000,000円
  • 事業内容:コミュニケーション戦略、戦術のプランニング、及び、クリエイティブ
         マーケティング&リサーチ、広告コンサルティング
         広告、PR、セールスプロモーション、WEBプロモーション、イベント
         CI・VI、パッケージデザイン、映像コンテンツ
         アニュアルレポート、統合レポート、株主通信、リーフレット 等の企画・制作
  • 所在地:〒900-0006 沖縄県那覇市おもろまち1-5-26(沖縄本社)
        〒101-0021 東京都千代田区外神田6-5-8(東京支店)
  • URL:http://www.ema.co.jp/
  • お問い合わせ先:電話)沖縄本社:098-868-9332、東京支店:03-5817-7392

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