札幌で制作を続けることで、北海道の魅力を新たに発信していきたい

札幌
株式会社みるもの 代表取締役
Yudai Kobayashi
小林 雄大
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第16回札幌国際短編映画祭北海道セレクション受賞作品「THE UNIVERSAL DRESS」

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北海道観光振興機構 冬のアドベンチャートラベル 海外向けPR映像

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北海道観光振興機構 四国アドベンチャートラベルPR映像

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TRIPLANE ミュージックビデオ「BOUNDLESS」

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LeTAO WEBCM「ロイヤルモンターニュ」

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KALMA LIVE映像

株式会社みるものは、札幌に拠点を置く制作プロダクション。ウェブを主なフィールドとして、テレビCM、PV、MV、短編映画などさまざまな映像をつくっています。会社のいまとこれから、理想の働き方と人材育成術、北海道を拠点に制作を続ける意義について、代表取締役の小林雄大(こばやし ゆうだい)さんにお聞きしました。

プロデューサーの人柄に惹かれて、映像の世界に飛び込んだ

株式会社みるものの事業について教えてください。

ベースは映像制作で、ウェブ媒体の動画やテレビCM、プロモーションビデオ、ミュージックビデオのほか、短編映画もつくっています。独立前、制作プロダクションの映像制作チームにいたこともあり、映像の仕事が多いです。

小林さんご自身が映像制作の道に進んだきっかけをお聞かせください。

前職の制作プロダクションのプロデューサーが、「うちの会社に来ないかい」と誘ってくれたのがきっかけです。映像制作の知識やスキルどころか、パソコンもろくに使えなかったのに、なぜか声をかけてくれたプロデューサーに惹かれたんですね。「この人と一緒に働くのは楽しそうだ」と思って、転職を決めました。映画が特に好きなわけでも、動画編集が得意なわけでもなく、何も知らない状態で映像の世界に入りました。

未経験で入社して、どのように仕事を覚えていったのですか。

まず、制作進行からスタートしました。その頃はスケジュールとお金しか頭になかったです。ドライにシビアに、スケジュールとお金の管理をしていました。徐々に自分の仕事に慣れてくると、クリエイティブにも目が向くようになり、企画から撮影、編集まで、映像制作の仕事をひとつずつ覚えていきました。
勤務していた制作プロダクションは、映像だけではなくグラフィックにも強い会社で、グラフィックデザイナーやコピーライターなど、いろいろな職種のクリエイターが在籍していました。質の高いクリエイティブを見た経験は糧となり、いまも仕事に生きています。

「クライアントとより良いものを制作する」という理想が実現した

独立のきっかけをお話しいただけますか。

ウェブ広告の可能性に魅力を感じて、ウェブに軸足を移して活動したくなったからです。2010年代は、景気の低迷により北海道でもテレビCMが減少する一方だったのですが、ウェブ媒体への出稿は増えていました。当時はまだ少なかったウェブデザイナーやエンジニアと関わるうちに、ウェブの仕事のおもしろさに気づいたのです。
最大の魅力は、なんと言っても、クライアントとの距離の近さ。広告は基本的に受注産業ですから、どうしても「待ち」の仕事になります。対して、ウェブ広告はクライアントへの自主提案など、「攻め」の仕事。私は攻めるほうが性に合っているので、仕事のやり方を変えたいと考えるようになりました。ウェブ系クリエイターと積極的に会うようになり、自分の居場所を変えていったという感じです。

仕事はどのように変わりましたか。

クライアントと直接話せる機会がすごく増えました。求めていることがダイレクトに伝わってくるので、ニーズをきちんと整理整頓して、クライアントの要望にふさわしい提案ができるのはいいですね。また、納品したら終わりではなく、結果についてヒアリングができ、仕事の評価もいただけるので、エンドユーザーにしっかりと届くものをつくれていると実感できるようになりました。
クライアントとは一度きりの関係ではなく、必要なときはいつでも声をかけてもらえるような関係でありたいので、常に期待以上の結果を出せるように努めています。「一緒に仕事をするのが、おもしろい」と、クライアントから言われることが、最高のご褒美です。

魅力的な人が集まって一緒に働くと、おもしろい仕事ができる

経営者として大事にしていることをお聞かせください。

「会社に毎日行きたいな」と、私は思いたい。会社に魅力的な人がいればいるほど、おもしろいものが生まれると信じたい。だから、従業員が毎日出社したくなるような会社にしようと心がけています。 映像や広告は、生活必需品ではないので、必ずしも求められないし、なくても困りません。それでも制作するのであれば、ありふれたものではなく、特別なものでないと意味がないと思うのです。では、どうしたら特別におもしろいものがつくれるのか。それはもう場数を踏んで、経験値を高めていくしかない。従業員のために、いろいろな経験のできる機会を増やしていくことが経営者の役目なのでしょうね。

とはいえ、私は「誰よりも現場を楽しめる」と言えるほど、現場が好き。経営の仕事と並行して制作も手がけています。プレイングマネージャーとしては、若手の機会を奪わないように注意を払いながら現場に入っています。
また、社内でも社外でもチームワークを大事にしています。もともと弊社は一気通貫して制作を請け負うので、社内で仕事を完結させることを理想としていました。ところが、コロナ禍の影響で私たちの働き方にも変化があり、いまは社外のクリエイターとタッグを組んで仕事をするのもいいものだなと思っています。一人あるいはひとつの会社の考えや感覚だけで制作するより、いろいろな視点の考えや感覚が混ざったほうが、よりおもしろく、より伝わるものがつくれると思うのです。

社員のみなさんに求めるものはありますか?

元気だったら、それ以上は求めません。どんな仕事も、勉強すれば何でもできるようになるものです。勉強してできるようになって、また勉強して……と、段階を踏んで成長して欲しいです。成長のスピードは個々に異なるので、どのフェーズなのかを見極めながら、仕事を任せるようにしています。
このときばかりは「待ち」の姿勢を崩しません。というのも、前職のとき、上司や先輩たちが、まさに私の成長を待ちながら、そのときどきのフェーズに合った仕事や課題を与えてくれたからです。その経験から、フェーズに合わない話をしても伝わらないし、挑戦してみたいという気持ちにさせることもできないことは、よくわかっています。なので、私がしてもらったように、従業員たちの成長を待ちたいのです。
いまは、企画なら企画、撮影なら撮影ができればいいという時代ではありません。パソコンが1台あれば、企画書をつくる、現場に行って撮影する、オフィスに戻って編集をするという一連の作業が一人でもできるようになりました。特に北海道では、ひとつの作業に特化した働き方は難しい。だからこそ、編集ができるようになったら、次はクライアントにヒアリングして企画書にまとめるところまでを任せてみる……というふうに、若手が一連の仕事を覚えられるようにしています。

目指す姿を思い描き、人との交流を通して、成長していこう

北海道で働く魅力とは?

仕事のために東京にはよく行きますが、そこでいつも感じるのは、北海道は大自然があってリフレッシュできる素晴らしい場所だということ。札幌でさえ、数十分ほど車で走れば、原生林や温泉がありますから。
それに北海道には、大自然を相手に仕事をしている農家や漁師、ネイチャーガイドなどいろいろな人たちがいます。自然も人もとても魅力的ですが、まだまだ伝えられていません。それは課題です。現在、知床やオホーツク、十勝など道東エリアの観光プロモーションを手がけています。そこで、いままでにはない見せ方を考えていきたい。そして、映像をつくって終わりではなく、道内外さらに海外の人たちにしっかり届くように発信力を強化していきたいです。札幌に拠点を置き、北海道の仕事も東京の仕事もしてきた私たちだからできることがあると思っています。

クリエイターを目指す方へ、メッセージをお願いします。

自分が選んだ仕事で将来はどうなりたいのか、イメージしてください。
たとえば、高校で放送部に入って活動しているうちに「映像」が好きになったとします。そして、映像編集を仕事にしたいと思ったなら、まず映像編集者として働いている自分を思い描くのです。その将来像がないままだと、成長はできません。ゴールに向かって、ひとつずつハードルを超えていけば、いつかたどりつけるはず。自分はどうなりたいのかというビジョンをもつというのは、とても重要なのです。
就職前あるいは転職前には、最終的に目指す姿をイメージしておきましょう。仕事も未来も、イメージと妄想で成り立っていますから、考えられなくなったらおしまいだよと、うちの従業員たちにもよく言っています。
また、北海道のクリエイター同士で、会社や仕事を超えたつきあいを深めていきたい。いまは、いろいろなコミュニケーションツールがあるので、交流しながら切磋琢磨して高め合っていきたいですね。

取材日:2022年2月22日 ライター:一條 亜紀枝

株式会社みるもの

  • 代表者名:小林 雄大
  • 設立年月:2018年1月
  • 資本金:100万円
  • 事業内容:映像制作・企画立案・演出、広告コンテンツの企画制作、デジタルコンテンツの企画制作、映像配信事業の企画制作・運営、アニメーション・映像・音声等のウェブコンテンツ及びデジタルコンテンツの企画・制作・販売及び配信
  • 所在地:〒060-0054 北海道札幌市中央区南4条東3丁目14-1 アフタートークビル2F
  • URL:https://www.mirumono.com
  • お問い合わせ先:上記HPの「CONTACT」ページより

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