WEB・モバイル2020.11.25

Webサイト構築・運用からインフラまで、Webの専門家集団として広島から世界へ。

広島
ファナフェクト株式会社 代表取締役
Masanori Oobayashi
大林 正典

データベースやサーバ設計、構築などインターネットに関する膨大な知識と、フロントサイドからバックエンドまで広く深くカバーできる高い技術力を持つ「ファナフェクト株式会社」。「Webの駆け込み寺」と呼ばれ、広島にいながら世界的な会議やスポーツイベント、夏フェスのネットワークの設計や構築の依頼が絶えません。

代表取締役の大林正典(おおばやし まさのり)さんに起業のきっかけ、業界やクリエイターへの思いなどを伺いました。

派遣先で学んだインフラ設計の知識を生かし、Web全般に関わる会社を設立

会社を設立するまでのいきさつを教えてください。

広島の出身で20代中頃に東京で就職した時期以外は、広島を拠点にして過ごしてきました。学校を卒業してすぐには就職せず、派遣会社に登録して働いたり、家に引きこもってゲーム三昧の日々を送ったり。ニートだったんです(笑)。派遣の仕事内容はさまざまだったのですが、どこの派遣先でも気に入ってもらえて「大林君に」と先方から指名してもらうことも多かったですね。

東京で就職をしようと思われたのは、きっかけがあったのですか?

派遣会社の支店長が可愛がってくださって、広島のある大手企業が大規模工場を立ち上げるタイミングで、ITインフラ設計の仕事を打診されたのです。「大林君はLinux(OSの一種)詳しそうだから」という理由でそこに派遣され、1年半ほどお世話になりました。その後もインフラ関係の仕事がしたいと、東京に出てゲームの卸売り会社やWeb制作会社で正社員として就職をしました。

そのまま東京で起業されたのですか?

いえ。家庭の事情などもあり、広島に戻ってきた時期に、ヘッドハンティングをされて広島のシステム開発会社に就職しました。その頃は起業しようとか思ったこともなかったです。

ですが、諸事情でその会社を離れることになったとき、部下たちが私と一緒に仕事をしたいと言ってくれて退職までしてくれたんです。彼らの生活も守らないといけないので、まず個人事業主として起業し、約1年後に法人化しました。起業当初から、紹介や口コミで仕事を依頼されることがほとんどだったので、法人化すれば対外的な信用も高まりますし、お客さんが上司や他部署に当社を説明しやすくもなるので決断しました。

「Webやネットの駆け込み寺」として、顧客の困り事を解決

現在の仕事内容を教えてください。

会社としてはWeb制作が主流ですね。もともとインフラ関係に強い会社なので、外注はデザインぐらい。それ以外は自社で全て対応しています。あと、これは私個人が主に受けるのですが、国際会議や世界的なスポーツイベント、夏フェスなどのインフラの設計や構築も依頼されています。

会社とは別に、個人でもお仕事をされているということでしょうか?

いいえ、うちは私を含め4人の社員がいて、それぞれ専門的な知識をもっています。それを輪で表すと、4つの輪が重なるコア部分は「Web制作」で、それ以外の担当領域は重なっていたりいなかったりして、補完関係にあります。

それぞれが独立されているのですね。

そうともいえますね。独立して仕事ができる人間の集合体なんですよ。会社におんぶされているような人は、うちにはいません。それぞれの技術の高さで成り立っている会社なので、他社で技術的に対応できない事例を引き受けることが多いです。

取引先に「困ったときに役立つ会社」と認識してもらっているからか、「駆け込み寺」と呼ばれることも(笑)。当社に来る仕事の多くは、「うちが断ったらプロジェクトが終わる」くらい切羽詰まっていて、危機感を持って依頼されるものが多いので、当社に全権を委ねてもらって仕事をさせていただくスタイルがほとんどです。

具体的にはどのようなことをしているのですか?

最近だと、eスポーツの世界大会に関わりました。最終的にYouTubeに配信する仕事だったのですが、その現場では使っている設備や機材のレベルが高く、なかでも難易度が高い放送局のネットワーク部分のシステムを1日で組むことがご依頼内容でした。

すべての機材を制御し、100台以上のパソコンから送られてくるデータを滞りなく、トラブルなく流せるように構築しなければいけない。ネットワークはよく血液に例えられたりするのですが、不備があると全てが止まってしまうんですよ。そうならないように、環境を整えるのが私たちの仕事です。

そのような仕事は、東京や大阪など大都市が多いのでは?広島にいることにデメリットはないのですか?

もちろんありますよ。物理的な距離があるので、自分と同程度のスキルを持つ人がいれば、東京の人が選ばれるだろうというのは。仕事のチャンスも多いでしょうし。それでも私たちのスキルを必要としてくれる人からのお話が幸いにも後を絶たず、仕事の7~8割は東京からのご依頼です。

なぜ、拠点を広島にされているのですか?

1つは単純に広島の生活が自分にとって心地よいからですね。都会過ぎず田舎過ぎない。私は車やバイクが好きで、ドライブしても断然楽しいんです。

それともう1つ理由があって「広島にも山椒のようにピリッときいた奴がいるんだぞ」って知らしめたいんですよ。勉強会やセミナーなどが広島で開催されたときに、「東京から来た」ともてはやす傾向があるのですが、「東京だから」「地方だから」という垣根を取り払いたい。地方にも優れた人はいるし、東京の人がすごいとは限らないから、そういう風潮を変えたいです。

広島を盛り上げたいという思いをお持ちなのですね。

そんなに大げさなものではないですが、この仕事は専門学校を卒業しただけでは簡単には就職できないですし。仕事があったとしても我々プロの目から見るとレベルが足りてない人も多い。でも、頑張れば自立して仕事ができて、東京で「地方からすごいのが来たぞ」と思わせるような人材が増えてほしいと思っています。

後進育成もされていると聞きました。

そうですね。これはボランティアに近いですけれど。当社に興味がある、プログラミングやネットワーク構築の勉強をしたいなどの思いがある人を事務所で預かっています。雇用しているわけではないので給料は出しませんが、当社に出入りして学んでいいよというスタイルをとっています。

うちで力をつけて、将来的に当社の戦力になってくれてもいいし、学んだことをどこかで役立ててくれてもいいし。広島の人材を育てるのは、「会社のため」だけでなく、社会的な役割でもあると考えています。

何がその気持ちを後押しするのでしょうか?

よく思うのは、「現場力」が無いことですかね。イベントでのインフラ構築なんて、事前準備を万端にしていても、想定を超えるトラブルが起こるのは日常茶飯事で、時間との戦いが待っています。限られた時間の中、慌ててしまい判断が出来なくなる人も少なくありません。冷静に判断する力が現場では必要です。問題をどう対処し、成立させることができるのか、私たちの「判断力」や「対応力」が、お客さまの信頼につながっていると感じています。

それは大林さんのセンスがいいからでは?

私はセンスは経験のうえにしか成り立たないと考えています。どんな仕事にも「勘どころ」があって、天才以外は、経験を積まずに得られる能力ではありません。より多くの経験を積むことで、センスは養われます。

私にセンスがあるならそれは経験の差で、誰でも経験を積めば得られると思います。なのでこの業界を志す人には、私たちの仕事を見聞きしたり、参考にしながら、経験値を上げてセンスを磨いてほしいです。

いつまでもお客さまに頼られる存在であり続けるために

今後の方針を聞かせてください

10年、20年先のことを考えてはいないです。「来年も生き残りましょう」は、忘年会で言うお決まりのセリフなんですよ(笑)。毎年そう思って、1年1年を積み重ねて今があるといった感じです。

私たちは「駆け込み寺」らしく、「なんとかしてほしい」とお困りの依頼があって成り立っている会社です。「お願いされるのは、信頼の積み重ねの結果」ですから。社員全員がお願いされる、信頼されるチームであり続けなければいけないと考えています。

信頼される仕事をするために、心掛けていることは?

自分の専門領域以外の知識を持つこと。守りに入らず、新しい知識や情報を取り入れて自分自身をブラッシュアップすることですね。年齢や経験を重ねるうちに、新しいことに取り組むのが億劫(おっくう)になりがちです。いつも最新情報をキャッチするように心掛けています。

最後にクリエイターへのアドバイスをいただけますか?

会社勤めをしているなら、組織を抜け出したとき、自分だからできることは何かを見つけておくことが大切だと思います。

フリーランスの人は、仕事や知識の幅を広げることです。専門分野に詳しいのは当たり前。プラスアルファの知識があれば、顧客の求めるものを提案できるようになりますから。専門分野以外に対する想像力が欠けていると、良い仕事はできません。

よく山に例えるのですが、専門性の高い山を1つ作るのではなく、その山をいくつか連ねておく、なるべくすそ野や面積を広くする。「理解している領域」を広げておけば、相手を深く理解した仕事を生みますし、他のジャンルの人とも仕事ができたり、相談されたり。頼られることが増えてきますよ。

取材日:10月6日 ライター:山名 恭代

ファナフェクト株式会社

  • 代表者名:大林 正典
  • 設立年月:2014年4月
  • 資本金:100万円
  • 事業内容:Webサイト構築・運用、サーバ設計・構築、イントラネット支援ほか 
  • 所在地:〒730-0012 広島県広島市中区上八丁堀3-6 第二ウエノヤビル5F-B
  • 電話番号:082-225-6088
  • URL:https://funaffect.jp/
  • お問い合わせ先:上記URLの「Contact」より

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