WEB・モバイル2012.01.11

お客さんをハッピーにする“The House Number Lab”

Dig It! NYC Vol.39
Dig It! NYC 藤井さゆり

info_039_01

 

上記のイメージ、これ、何だと思います?

これらはハウスナンバーというもので、住所の番地を示したものであり、住宅やビルの窓や門に付けるもの。日本で言うところの表札のようなもので、欧米では番地を示すためにこのハウスナンバーを付けるのが主流です。

info_039_02info_039_03

 

今回、このハウスナンバー制作・販売を最近、ビジネスとしてスタートさせた、“The House Number Lab”のグレン・ミラノさんにお話を伺いました。グレンさんには「こういうのを探していたんだ!」と言ってくれる「ハッピーカスタマー」がたくさんいます。フォント、スタイル、素材などバリエーション豊かなハウスナンバーの世界、製品のクオリティにこだわるだけではなく、カスタマーをハッピーにさせる「ハウスナンバーの売り方」とは?ハウスナンバーの市場、今までにないビジネスモデルとは?興味津々で聞いてみました。

グレンさんの作るハウスナンバーとは

従来、ハウスナンバーの設置は、リーフ等を制作している業者に高価なオーダーメードをしたり、DIYショップで売ってるダサい数字のステッカーを自分で貼るといった方法があります。

グレンさんが作るハウスナンバーに使われる素材は、窓等に貼ることのできるよう、片面に粘着剤が付いたステッカータイプのもので、これをシートと呼びます。シートは、純度22金のゴールド(光沢もしくはマット)、クロムメタリックなどいずれもクオリティが高いもの。ナンバーの型が決まったら、特殊マシンで、シートを数字の形に沿ってカットします。 カットされたシートはお客さんの元へ配送され、あとはお客さん自身で貼り付けてもらいます。

グレンさんのハウスナンバーは1オーダーにつき、およそ100ドル~200ドル台。オーダーもウェブサイトから簡単にオーダーでき、かつ、フォント、シート素材、サイズ、シャドウの有無と種類がサイト上でチョイス可能、取り付けも簡単、かつグッドクオリティ、というカスタマーニーズに答えたサービスを提供しているのです。

ということで、グレンさんにいろいろ質問してみました。

info_039_05

アートスクールの学位の他、後にMBAも取得されているそうで、経営についての専門知識もあるんですよね。

大学はファインアートと写真の学校だったんですが、そこでデザインとタイポグラフィについて学びましたので、それが今のルーツになっていると思います。大学卒業後は、フォトグラファーとして働いていたことがあるのですが、そのときは物を売るということよりも、サービスの面が求められました。もちろん変わらずサービスの面は大事ですが、今は製品を売ることがメインですので、経営の知識も必要ですね。

製品受注から納品までのプロセスを教えてください。

お客さんが自分の好きなスタイルをウェブサイトから選び、必要なインフォメーションとともにオーダー ↓ オーダーがあった後、依頼に沿ったハウスナンバーをデザイン、確認用の校正を作成 ↓ 校正確認完了の後、シートをカッティング ↓ お客さんへ配送 ↓ お客さんが取り付け

以上の受注、ハウスナンバーの制作、納品以外に、ウェブサイトの制作~運営、営業を一人で行っています。

あなたのビジネスで同業他社にはない特別なこととは何でしょうか。

3年前に家を購入した際に、オリジナルのハウスナンバーを付けたくて受注先を調べたところ、バリエーションもオプションも豊富かつ手頃な値段でハウスナンバーを扱う業者は皆無でした。また、オーダー方法もわかりにくかったんです。その経験が、「The House Number Lab」をやろうと思ったきっかけでした。

その後、看板制作業のやり方にヒントを得たんですが、インターネットでオーダーができ、サイト上でフォント選択はもちろん、素材やサイズなどのオプション追加が可能、校正もチェックできること、といった点を盛り込んだのが今のビジネスとなっています。また、ナンバー制作自体は本や自分で調べた結果、安価で可能ということもわかりました。

おそらく同業他社で上記の点を採用している所はないと思います。おかげさまでお客さんにはとても喜ばれており、現在たくさんのハッピーカスタマーがいますよ。

バリエーション豊富な美しいフォントから選べる

バリエーション豊富な美しいフォントから選べる

素材やサイズ、シャドウありなどのオプションもサイト上から選べ、購入できる

素材やサイズ、シャドウありなどのオプションもサイト上から選べ、購入できる

 

これまでに建築系、看板制作分野の仕事をしたことなかったんですよね。

まったくないです。ハウスナンバーは、基本的には看板制作業と同様で、昔からある技術です。私の場合には、具体的な市場にターゲットする、マシンや素材など適切な道具を揃えることが重要でした。

現在、ウェブサイトのみでビジネスをされていますが、製品を売り込むための営業や広告等を行っていますか。

営業といったら、ウェブサイト上でのコンテンツ更新、ブログ更新がメインとなりますが、フェイスブックでの広告、グーグルアドワーズも行っています。フェイスブックはさほど効果はありませんが、アドワーズ広告はたくさんではないけれど効果があります。ですが、ほとんどのお客さんは「gold house number」といったキーワードでのオーガニック検索からです。そのキーワードだとThe House Number Labが一番上にリストされるのでクリックしてもらえるようです。

あなたのビジネスで最もクリエイティブな面とは。

ハウスナンバー業界至上、これまでにないビジネスモデルという点だと思います。お客さんのニーズに答えるように、ハウスナンバーをウェブ上で、セミ・オーダーという形で展開したのは新しい方法ですし、クリエイティブな面だと思います。


ハウスナンバーという美しい商品を作り出すこと→デザインセンスの面、自身の経験を基にした、カスタマーニーズに答えた商品、値段、販売方法→経営感覚の面、というところは、グレンさんのデザインを学んだ基礎とビジネスでの知識と経験が合わさって生み出されたものでしょう。

The House Number Labは2011年6月にスタートしたばかりですが、オーダーもコンスタントに入っており、ビジネスとしては好調のようです。

素晴らしい技術をもったクリエイターさんの中で、現在は経営について関わっていない方もいらっしゃるかもしれませんが、「カスタマーニーズに答えたものを提供」して、カスタマーにハッピーになってもらい、という思いは同じですよね。

2012年、みなさんにハッピークライアントが増えて、さらにハッピーな年となりますように!

Profile of 藤井さゆり

藤井さゆり

東京生まれ、アメリカ在住。日本とアメリカでの職務経験あり。
東京丸の内にある公益法人にて8年間勤務の傍ら、友人が企画したクラブイベントのフライヤーや、CDジャケットのデザインを行う。
公益法人では「地方の街づくり・街おこし」支援事業の一環で、ウェブサイト業務に携わる。 公益法人退職後、2004年より4年間、都内商業施設のサイト更新・管理、販促サイトのキャンペーンページ企画と取材・撮影を含めたライティングワーク、ウェブデザインを経験。
2008年ニューヨークに移住。ニューヨークではウェブマーケティング、サイト管理を企業にて経験、それと共にウェブデザインとライティングワークをフリーランスとして行う。現在は日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」を立ち上げ、オーナー兼デザイナーを務める。
Foxylilly.com
facebook.com/foxylilly
instagram.com/foxylilly

続きを読む
TOP