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COLUMNコラム・ザ・ちゃんこ

今アメリカで最もアツい!新しいライドシェアビジネス「dockless e-scooter」

Vol.117
Dig it! NYC 藤井さゆり

先月、休暇でロサンゼルスに滞在していた時、街中の至るところで見かけたのが、このdockless e-scooter(ドックレス電動キックボード)。

 

Birdさん(@bird)がシェアした投稿 -

Instagram - Bird

 

dockless(ドックレス)とは、借りた所への返却が不要=歩道や沿道に駐車したまま乗り捨て可能という意味。アメリカでは、キックボードはscooter(スクーター)と言い、電動キックボードはelectric scooterやe-scooterと呼ばれます。

 

このドックレス電動キックボードは、

 

スマホアプリから街中に駐車してあるキックボードを見つけて利用

乗り終わったら、安全な場所であれば好きなところに駐車したまま乗り捨てOK

その後、誰かが見つけて利用する

 

というもので、ライドシェアの一種です。利用は18才以上で運転免許がある人に限られます。

 

運営しているのは、昨年に事業を始めたというようなスタートアップ企業ばかり。現在アメリカで同じような事業をしている企業はまだ少数ですが、今のところBirdLime、Spinという3つの企業が大手です。

 

私が滞在したロサンゼルスのベニスというエリアでよく見たのは、BirdLimeの2つ。こちらはBird。

 

Birdさん(@bird)がシェアした投稿 -

Instagram - Bird

 

こちらはLime。Limeはドックレス電動自転車のライドシェア(LimeBike)も行なっていて、ドックレス電動キックボードはLime-Sという正式名称があります。

 

Limeさん(@limebike)がシェアした投稿 -

Instagram - limebike

 

ちなみに、Netflixでこちらでも配信されている「テラスハウスーハワイ編」の住人だったローレン・サイさんもロサンゼルスに滞在時、Birdを利用したようで、こんな写真がInstagramに投稿されていました。

 

Instagram - laurentsai

 

実際の利用方法についてですが、以下のビデオがわかりやすいです。このビデオではLimeでの利用方法のみご紹介しますが、Birdもほぼ同様だと思われます。

 

How to Lime: Electric Scooters

YouTube - Lime

 

(利用方法)

 

1)専用のスマホアプリからマップ上で、現在地の近くでキックボードが停車されている場所をサーチし、空いているキックボードを見つける。

 

2)キックボードに付いているQRコードをスマホアプリでスキャンして解錠。利用料金は基本料金として1ドル、1分の利用ごとに15セントが加算。

 

3)ヘルメットを着用し、“自転車”専用通路を走行。電動なので右手にアクセルレバーが付いていて、レバーを押すとスピードが出ます(最大時速約59kmまで)。

 

4)利用終了時は安全な場所にて駐車し、スマホアプリで施錠。ドックレスなので、そのまま乗り捨ててOK。

 

上記が簡単な利用の流れですが、キックボードは電動ですので、自動的に充電される訳ではなく、どこかで充電が必要になります。これは、夜間、充電が必要なキックボードを車で回収し自宅などで充電、充電したキックボードを翌朝指定の場所に配置する、という形で行われており、BirdならCharger、LimeならJuicerと呼ばれる人たちがこの作業を行なっています。ChargerやJuicerは一般から広く募集しており、充電をした分の賃金はその日に支払われるようです。

 

下記のビデオはBirdのChargerをしている人のレポですが、Chargerの仕事の流れがわかりやすく解説されています。支払われる賃金の額は個々のキックボードにより違いますが(アプリから確認可能)、1つのキックボードにつき5ドルや7ドルが多いとのこと。1つのキックボードの充電が完了するのに、2時間〜5時間。充電は、自宅のコンセントから専用のバッテリーケーブルに繋ぎ、携帯電話を充電する方法と同じなので簡単にできます。

 

What's It Like to be a Bird Charger? Electric Scooter App Walkthrough

YouTube - The Rideshare Guy

 

Birdは、昨年に創業されたばかりの企業ですが、4ヶ月で40億ドルの投資を受けており、その企業価値は20億ドルと言われています。

 

Limeも最近、3億3,500万ドルの投資を受けており、投資元にはuber(※ウーバー:自動車の配車サービス・アプリを運営、世界600ヶ国で展開するテクノロジーカンパニー)も参加。uberはLimeと提携して、自社アプリにこの電動キックボードを組み込みたいようです。

 

また、uberの競合他社であるLyft(※リフト:全米とカナダで展開、自動車の配車サービス・アプリを運営)も全米で最大手の自転車シェアリング会社のMotivateを買収、uber同様、電動自転車と電動キックボードシェアリングを自社アプリに組み込もうとしています。

 

しかしこの「ドックレス電動キックボード」、ロサンゼルスだけではなく、カリフォルニアの他都市、また他州にも広がっていますが、手軽に利用できることで今年になってから急激に増えたため、混乱を招く事例が発生しています。

 

サンフランシスコでは、歩道を走っているキックボードに当たって歩行者が怪我をしたり、ヘルメットを着用していなかったり、歩道の中央に駐車したりなどルールを守らない利用者や、キックボードで電線が切られていたり、海にキックボードが捨てられていたりとモラルのない利用者もおり、反対する声も少なくないようです。

 

People In San Francisco Are Pissed Over These Electric Scooters (HBO)

YouTube - VICE News

 

これにより、同市の交通局は「ドックレス電動キックボード」の事業を行えるのは5社に制限することを決定。無事、事業を行える許可が降りたとしても、2年間の実験プログラムであり、年間25,000ドルの許可料金と公共物のメンテナンス・修繕費として10,000ドルを支払わなくてはなりません。

 

事業の申請にはBird、Limeを含めた12社からあったようですが、決定されるまでどの企業も市内で事業を行うことはできないため、サンフランシスコでは現在、ドックレス電動キックボードは中止されています。今のところ決定は8月末と言われており、この一連の流れを「シリコンバレーの電動キックボード戦争」と言っている記事も見られます。

 

このように「ドックレス電動キックボード」のシェアライドは、今最も注目されているビジネスですが、ここ最近で急成長したためか、行政やルールが追いついていない印象です。

 

個人的には、このドックレス電動キックボード、乗り捨てOKなので利用者に好都合ですし、車や自転車での移動よりも手軽、交通渋滞が問題となっているロサンゼルスの渋滞緩和にもなり、車よりも環境に良い、夜間に充電をしてお小遣い稼ぎができる、などという点を考えると、すごくいいアイデアだと思います。

 

特にロサンゼルスは一年中通して気候がいいので、キックボードに乗っている時は気持ちがいいでしょうね。Birdがロサンゼルスでスタートしたのも、そこで人気なのも頷けます。

 

問題は色々とあるのでしょうけれど、今後、きちんとルールが整備されて、利用者も安全に利用し、廃止されることがないことを願います。ニューヨークにもドックレス自転車シャアリングはあるので、キックボードが来る日は近いかも?!

 

(参考)

 

Bird

 

Lime

 

Spin

 

Silicon Valley scooter wars - techcrunch.com

 

Scooter startup Bird raises $400 million in 4 months and rockets to $2 billion valuation - businessinsider.com

 

Uber's next big thing is Lime scooters to get around town - cnet.com

 

Lyft outlines bike and scooter plans - techcrunch.com

Profile of 藤井さゆり

藤井さゆり

東京生まれ、アメリカ在住。日本とアメリカでの職務経験あり。
東京丸の内にある公益法人にて8年間勤務の傍ら、友人が企画したクラブイベントのフライヤーや、CDジャケットのデザインを行う。
公益法人では「地方の街づくり・街おこし」支援事業の一環で、ウェブサイト業務に携わる。 公益法人退職後、2004年より4年間、都内商業施設のサイト更新・管理、販促サイトのキャンペーンページ企画と取材・撮影を含めたライティングワーク、ウェブデザインを経験。
2008年ニューヨークに移住。ニューヨークではウェブマーケティング、サイト管理を企業にて経験、それと共にウェブデザインとライティングワークをフリーランスとして行う。現在は日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」を立ち上げ、オーナー兼デザイナーを務める。
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