グラフィック2020.06.30

トーキョーアーツアンドスペース レジデンス2020 成果発表展「デイジーチェーン」開催!

東京
公益財団法人東京都歴史文化財団

トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)では、2006年よりレジデンス・プログラム「クリエーター・イン・レジデンス」を開始し、東京や海外の派遣先を舞台に、ヴィジュアル・アート、デザイン、キュレーションなど様々な分野で活動するクリエーターたちへ滞在制作の機会を提供しています。
本展では、2019年度にTOKASから海外各地の提携機関へ派遣されたクリエーターと、TOKASレジデンシーに招聘された計15名のクリエーターによる滞在制作の成果を発表します。

 


 

▮ 展覧会概要 ※新型コロナウイルス感染症対策のため、変更となる場合があります。
会 期:
第1期 2020年7月4日(土)~8月10日(月・祝)
第2期 2020年8月22日(土)~9月27日(日)
会 場:トーキョーアーツアンドスペース本郷 (東京都文京区本郷 2-4-16)
開館時間:11:00 - 19:00(最終入場は30分前まで)
休館日:月曜日(8月10日、9月21日は開館)、9月23日(水)
入場料:無料
主 催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 トーキョーアーツアンドスペース
提携都市/機関:
アトリエ・モンディアル(スイス、バーゼル)
クンストラウム・クロイツベルク/ベタニエン、ベルリン市(ドイツ、ベルリン)
クンストハレ・エクスナーガッセ(オーストリア、ウィーン)
センター・クラーク、ケベック・アーツカウンシル(カナダ、ケベック)
トレジャーヒル・アーティスト・ヴィレッジ、アーツ・イン・レジデンス台北(台湾、台北)
HIAP[ヘルシンキ・インターナショナル・アーティスト・プログラム]フィンランド文化財団(フィンランド、ヘルシンキ)
https://www.tokyoartsandspace.jp/archive/exhibition/2020/20200704-6990.html

▮ 展覧会について
レジデンスで滞在制作を行うアーティストは、その土地の記憶や社会的構造に接続することによって、固定された視点を問い直します。小さな声や見過ごされてきた事実に光を当てる彼らの作品は、過去や遠く離れた国の出来事に留まらず、今ここにいる私たちに繋がる問題意識を内包した、世界の見方を更新する試みです。ヒナギクの花冠を意味する「デイジーチェーン」は、コンピュータと複数の機器を繋ぐ接続方法の一つです。太陽の目(day’s eye)を語源とするヒナギクの花は、点と点を結ぶように個々を順番に繋ぎ、一つのネットワークを構築します。
本展では、世界各地のレジデンスで活動を行った15名のアーティストが、リサーチをもとに考察を深め発展させた成果作品を紹介します。時間と空間に接続することによって、新しい視点を獲得し、現在の社会を多様に映し出す作品にご期待ください。

▮ 参加作家
第1期:2020年7月4日(土)~8月10日(月・祝)

井原宏蕗|IHARA Koro

生き物の副産物と彫刻や工芸の技法を掛け合わせて制作している井原は、生態系の循環に不可欠なミミズに着目し、ドイツ各地で糞塚の採取と土のリサーチを実施。本展では、滞在中に発表した生の糞塚(有機物)と焼成した糞塚(無機物)を対比させるインスタレーションを再構成します。
【プロフィール】
1988 年大阪府生まれ。東京都を拠点に活動。2013年東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。主な展覧会に「TRASMUTAZIONI」(Galleria d’arte FABER、ローマ、2018)。受賞歴に「TOKYO MIDTOWN AWARD 2019 グランプリ」、「第20回岡本太郎現代芸術賞『岡本敏子賞』」(2017)など。



キム・ジヒ|KIM Jihee

身体を「不完全なユートピア」と定義し制作に取り組むキムは、身体的なエネルギーによって像を写すシルクスクリーンの印刷工程に関心を持ち、その行為を広義のドローイングとしてアプローチした大型作品を発表します。
【プロフィール】
1983年ソウル生まれ。ソウルを拠点に活動。2020年梨花女子大学校大学院造形芸術学部博士課程修了。主な展覧会に「Your Hands Are Mine」(All That Curating、ソ ウル、2020)、「Uncanny Skin」(Gallery SoSo、パジュ、韓国、2019)。 

 


衣 真一郎|KOROMO Shinichiro

日常の風景や身体的な記憶を基に制作する衣は、カナダの風景とその自然の中で生まれた競技であるアイスホッケーについてリサーチを行いました。滞在中に知った20世紀初頭の画家たちの技法を参照し、新たに取り組んだ木板を支持体とする油彩など、絵画作品を中心に展示します。
【プロフィール】
1987年群馬県生まれ。群馬県を拠点に活動。2016年東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻修了。主な展覧会に「project N 75 衣真一郎 KOROMO Shinichiro」(東京オペラシティアートギャラリー、2019)、「TWS-Emerging 2014 『風景と静物』」(TWS 渋谷、東京、2014)。

 


北條知子|HOJO Tomoko

1901年にベルリンで行われた世界初の日本人女性―川上貞奴の歌声の録音に焦点を当て、幾度となく言及される彼女の身体的・視覚的な美と、「単なる音」として受容された彼女の声や沈黙を対比させながら、海外において「日本人女性」がどのように扱われてきたのかを考察します。
【プロフィール】
1988 年愛知県生まれ。東京都を拠点に活動。2016年ロンドン芸術大学ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーション修了。主な展覧会に「TOKAS-Emerging 2019『声をひそめて』」(TOKAS本郷、東京、2019)、「群馬青年ビエンナーレ2019」(群馬県立近代美術館)。 

 


リ・カイチョン(李 继忠)|LEE Kai-Chung

第二次世界大戦中、日本占領下の香港と広州で行われた生物・化学兵器の人体実験を調査し、映像、写真、パフォーマンス、彫刻など5つの作品からなるプロジェクト≪深海への細道≫を発表。戦争の歴史を起点に、人間の遷移する概念を探求します。
【プロフィール】
1985年香港生まれ。香港を拠点に活動。2014年香港城市大学修士課程クリエイティブ・メディア専攻修了。主な展覧会に「Courses of Action」(ゲーテ・インスティトゥート香港、 2019)。受賞歴に「第 12 回上海ビエンナーレ」(2018)。Hong Kong Arts Development Award ヤングアーティスト賞(2018)。 

[テーマ・プロジェクト|ミュトスの対話]
2019年度より開始したテーマ・プロジェクトでは、TOKASレジデンシーに滞在する以下3名のクリエーターが、「ミュトスの対話」という共通のテーマのもと、対話や議論の場を持ちながらそれぞれ個別に制作活動に取り組みました。 多様なアイデンティティが交差する東京に滞在しながら、慣習や社会に隠された事象を神話(Myth)の語源である「ミュトス(Mythos)」という枠組みをとおして多角的に考察し、その成果をひとつの展示空間で構成し発表します。

 


大坪 晶|OTSUBO Akira

GHQの施策により戦後占領期に接収された関東の個人邸 宅を調査し、ダンサーと協働して写真や映像インスタレーションを制作。史実を寓話的な記憶として提示します。
【プロフィール】
1979年兵庫県生まれ。神奈川県を拠点に活動。 2013年プラハ工芸美術大学写真学科修了。主な展覧会に「Shadow in the House」(ポートアート&デザイン津山、岡山、2019)、 「Shadow in the House」(京都市立芸術大学小ギャラリー、2018)。 



しまうちみか|SHIMAUCHI Mika

再開発が進む東京の街をリサーチし、合理化する社会のなかで消し去られていく野性に着目。埴輪に影響を受けた大型の彫刻作品やドローイングを展示します。
【プロフィール】
1987年熊本県生まれ。熊本県を拠点に活動。 2013年崇城大学大学院芸術研究科修了。主な展覧会に「猛浪漫」(Shun Art Gallery、上海、2018)、「境界線からみえる風景」(WHITE SPACE ONE、福岡、2018)。 

 

チャリントーン・ラチュルチャタ|Charinthorn RACHURUTCHATA
 

仏教国タイで生まれ育ったラチュルチャタは、女人禁制の区域や参道がある霊山、大峰山をテーマに、仏教の教義が持つ父権的な構造を探求するインスタレーションを発表します。
【プロフィール】
1982年バンコク生まれ。バンコクを拠点に活動。 2006年スコータイ大学コミュニケーション・アーツ専攻卒業。主な展覧会に「STRATA PhotoBangkok Pop-Up Exhibition」(BACC、バンコク、2018)、「Kaohsiung Photo 2018」(Pier2 Art Center、高雄、台湾、2018)。 

 

 


第2期:2020年8月22日(土)- 9月27日(日)

有川滋男|ARIKAWA Shigeo

ベルリンに住む難民の現状を調査した有川は、ベルリンの石畳に使われている玉石をマテリアルとして用いた映 像インスタレーションを制作。シリア人男性が「石を積む」行為を通して、多様な解釈を織り込みながら、個人 の物語を重層的に提示します。
【プロフィール】
1982年東京都生まれ。アムステルダムを拠点に活動。2006年東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科卒業。主な展覧会に「開館30周年記念特別展: 美術館の七燈」 ( 広島市現代美術館 、2019)、「 Buried Suns」(Galerie Mazzoli、ベルリン、2019)。 

 


石塚まこ|ISHIZUKA Mako

流動する人々の生活における言語と文化の越境にまつわるプロジェクト「追熟と訛り」に取り組む石塚は、さまざまな場所でその土地の人々を巻き込みながら有機的に展開してきた施行を映像インスタレーションとして展示します。
【プロフィール】
兵庫県生まれ。ストックホルムと兵庫県を拠点に活動。2005年ルンド大学マルメ・アート・アカデミー自由美術専攻修了。主な展覧会に「グローバリゼーションの中の不和」(フランス国立社会科学高等研究院(EHESS)、パリ、2017-2018)、「MOTサテライト 2017 秋 むすぶ風景」(東京都現代美術館)。 

 


今村 綾|IMAMURA Aya

社会的・宗教的な図像学に関心を持つ今村は、視覚実験 《Can We Look at Each Other?》を映像インスタレーションとして発表。光とガラスによる全反射を利用した本作は、向かい合う二人が互いを同時に見られない状況を生み出し、人種、 ジェンダー、身体など、個人の差異と同一性を想起させます。
【プロフィール】
1982 年京都府生まれ。ベルリンを拠点に活動。 2008年京都精華大学大学院芸術研究科博士前期課程修了。 主な展覧会に「ポーラ ミュージアム アネックス展 2018 -イメージと投影-」(ポーラ ミュージアム アネックス、東京)、 「History is Ours -メディアにおける女性像」(ベルリン日独センター、2017)。

 


レキシー・ゼン|Rexy TSENG

家族や友人、恋人同士といった親密な人間関係における力学をテーマに制作をしているゼンは、滞在中に行った 日本の労働者に関するリサーチを基に、電車内でスマートフォンを眺める会社員やゲームに耽る若者、レンタル おじさんを描写したポートレイトを発表します。
【プロフィール】
1986年台北生まれ。上海を拠点に活動。2009年カーネギーメロン大学ファインアート専攻卒業。主な展覧会に「Tomorrow Sculpture Awards」(四川美術学院美術館、重慶、中国 、2019)、「 Ren Ren 」(OPPOSITE + Grace Collection Gallery、上海、2019)。 

 


高石 晃|TAKAISHI Akira

閉鎖された空間に穴を開けることによって、意識や知覚の構造モデルを提示する高石は、歴史的な海上要塞として知られるスオメリンナ島をリサーチし、ドックの底に城壁の形を模した彫刻を制作しました。本展では、彫刻が海に沈んでいく過程を記録した映像や、リサーチに基づくアニメーションを展示します。
【プロフィール】
1985年神奈川県生まれ。東京都を拠点に活動。2010年武蔵野美術大学大学院美術専攻油絵コース修了。主な展覧会に「下降庭園」(clinic、東京、2019)、「紅櫻公園アートアニュアル 2018」(北海道)。

 


橋本 仁|HASHIMOTO Jin

日本統治時代に台湾で生まれ育った日本人「湾生」についてリサーチを行った橋本は、対岸をテーマに展示スペースを構成。台湾/日本、過去/現在といった時空間の溝を可視化し、歴史という大きな流れによって分断された二つの国を抽象的に表現します。
【プロフィール】
1984年埼玉県生まれ。埼玉県を拠点に活動。2014年東京藝術大学美術学部工芸科修了。主な展覧会に「Memory Code」(Kuo Mu Sheng Foundation、台北、2020)、「Memento mori」(ギャラリータグボート、東京、2019)など。

 


マルティナ・ミレル|Martyna MILLER

自身の記憶を起点に、日本の鯉の起源や文化的概念について人類学的視点で調査を実施。あらゆる種は水を介し て繋がっているという考えに基づき制作した映像作品 《Memory Carp》を中心に、水中にいるような感覚を引き起こす没入型のインスタレーションを展開します。
【プロフィール】
1988年ケントシン(ポーランド)生まれ。ワルシャワを拠点に活動。2019 年ポズナン芸術大学博士課程修了。主な展覧会に「Dream of a turtle」(European Solidarity Centre、グダニスク、ポーランド、2019)、「Niepodległe. Women, Independence and National Discourse」(ワルシャワ近代美術館、2018)。 

 

 

本記事に関するお問い合わせ:公益財団法人東京都歴史文化財団

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