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自分たちのクリエイションが どんな価値を生むのか ~今は自社開発のコンテンツ作りにも力を入れています

仙台
株式会社グラフィック・トイ 代表取締役 田村晋氏
フリーランスデザイナーとして活躍されていた田村さんが会社を設立したのは、震災の年。大きな震災を目の当たりにしたその時、自分のすべきことが明確に見え、ライフラインも復旧していない震災直後に会社を興すことを決意したと言います。その後わずか3年でスタッフは10名に。ますます活躍の幅を広げているデザイン事務所の代表・田村晋さんにお話を伺います。

震災直後に会社を立ち上げ 個人の力を強くしたいという想いから 『東北は負けない』を刊行

デザイナーとして長く活躍されてきた田村さんが自分の会社を興そうと決意されたきっかけは。

デザイン事務所や広告代理店に勤めたのち、フリーランスとして活動していたのですが、震災が起こり、まだ普通の生活が全くできない2011年の3月12日〜15日頃、自分が体験したことをいろいろ考えている中で「会社にしよう!」と思ったんです。ひとりではできないことを「会社」という形でやろうと思いました。そして震災直後の混乱で役所も動いていない時期に会社設立の準備を始めたんです。突然のことだったので、家族も目が点でしたね。まあでも自分の場合、以前会社を辞めた時も「辞めたよ」という事後報告だったので「またか」程度に思ってくれていたかもしれませんね(笑)。

震災が大きなきっかけになったのですね。 その直後、すぐに活動をはじめられたのですか?

そうですね。カメラを片手に震災直後の街へ出て一般の市民の方にお話を聞いたり、写真を撮らせてもらったりしました。商店街の魚屋さんや床屋さん、漁師さんだったり。およそ100名の方にインタビューし、それを冊子にまとめました。それが『東北は負けない』というプロジェクトです。

個人のメッセージ性の強いものですね。

そうです。一般の方に一年後の自分に向けたメッセージをいただき、顔写真とともに掲載するもので、一年後へ自分自身が約束をし、そのメッセージを自分に残す事で強く生きていく事を目的としています。一年後にまた冊子を作るので、同じ方が2冊目にも登場し、一年後の自分への約束を果たす事ができれば、その強さは多くの方への希望となり、今後も生かされていくと考えて制作しました。個人の力を強くしたい、という使命感が強かったかもしれません。震災を経験して混乱している時だからこそ、集団や組織の単位ではできないことが、個人の取り組みで解消できたり緩和できたりする。そう考えていました。

なるほど。全国的に話題になりましたね。

ありがたいことに冊子をご覧になった方からパネル展など派生イベントのお話をいただき、全国のさまざまな場所で展示をしていただきました。震災直後とその一年度にそれぞれ1冊ずつ冊子を刊行し、イベントを行い、多くの方にご覧いただきました。東北の人が震災によって何を感じ、どう生きていこうと思っているのか。それを感じてもらえたのではないでしょうか。こんなにも大きなものになるとは思ってもいませんでした。※2012年にプロジェクトは終了しています。

会社にしたことで意思が伝わりやすく チームで仕事ができるメリットがある

現在はスタッフも10名に増えていらっしゃるということですが、どんなお仕事をされているのでしょう。

東京からのお仕事を多くいただいています。東北エリアのお仕事も多いですね。全国的なキャンペーンのディレクションなどもさせていただいているんですよ。ポスターやパンフレット、パッケージデザイン、何でもやっています。

おひとりで活動されていた時との違いはありますか?

フリーランスでやっていた時はひとつのプロジェクトに沢山の外注の方の意思が入り込んでしまい、一貫性のコントロールがむずかしかったんです。今は、社内のスタッフと制作できる部分が増えたので、自分の想いが伝わりやすくなりますね。一貫性や意思の継続が以前よりかなりスムーズになったと感じています。それから女性向けの商品、お菓子や化粧品などの企画がそうですが、そういったものも、スタッフの感性を活かしてチャレンジしてもらえるので、会社としてはよかったのかなと思っています。

表現できる幅が広がるということは、クライアントのニーズにも応えやすくなったということでしょうね。

広告の世界ですから、クライアントのニーズや要望に応えるデザインや仕組みを考えるのが仕事です。お客様に広告宣伝するものを作りますが、お客様の目に触れる以前にまずはクライアントを満足させること、これが第一です。それがですね、ある程度経験を積むと、クライアントにご満足いただいて、さらにエンドユーザーにも伝わりやすいものを作ることに、セオリーのようなものを感じることができます。

器用になる、と。

そうです。そういうことを感じはじめると、自分が作っているものは誰にでも作れるのではないか、と疑問が生まれる。経済活動の一環として自分の仕事は回っているけれども、「すごいね」と言われるのがクライアントなのか、自分なのか明確で無くなってくるものなんです。そうして私の場合、じゃあ誰からもお金をもらわずに自分達のやりたいことを伝えるとどうなるのか、と考えはじめました。

それが、御社の自発的なプロジェクトのきっかけですか。

そうなんです。『東北は負けない』もそうですが、今は『仙台3歩』という冊子を発行しています。

スポンサーのいないフリーペーパーによって 表現できる「何か」を大切にしたい

仙台3歩』は御社が発行しているフリーペーパーですね。面白いです。

見ていただけるとわかりますが広告がありません。「スポンサーは?」とよく聞かれますが、スポンサーがいないんです。自分達の紹介したいことを発信するだけの「自分達の作りたいものを作る」という目的ではじめたものです。

とてもデザイン性の高い、ユーモラスな冊子ですね。

こんな冊子は他にないかもしれませんね。紹介した場所には必ずマップと住所、電話番号を入れるという紹介記事のルールがありますが、そういうことも全て無視しています。今はすべてネットで検索できますよね。わざわざ詳細情報を説明的に掲載する必要はないんです。掲載されている場所に行きたい時は、ネットで検索していきますからね。

確かに、初めての場所に出かける際には必ず一度ネット検索しますね。

そういうものですよね。これはひとつの例ですが、こういう小さな事も私たちの冊子で表現したいことの一つですね。

オリジナルキャラクターや雑貨の制作販売もされているとか。

はい。制作したキャラターの雑貨を販売しています。例えばそれをいくらで売るのか。欲しい人がいくらで買うのか。いくらの価値がつくのかを想像することも、スタッフの創造性を高める一つのきっかけになればと思っています。

仙台3歩

仙台3歩(表紙)

仙台3歩

仙台3歩(中面)

自分たちの言葉で伝えるものがどんな価値を生むのか それを知ることに価値がある

今後はどのような取り組みをされていくのでしょう。

ずっと考えているのが、自社でものを作って発信していくことです。『東北は負けない』や『仙台3歩』などすでに取り組んでいるものもありますが、こういうことを発展させていきたいですね。自分達の言葉で伝えたものが世の中にどう価値付けられるのか。会社としての“クリエイション”に時間を割くことは、コストをかけてもやってみる価値があるのではないかと思っています。

それはとても楽しみですね。

ありがとうございます。どう伝わり、どう感じてもらうかは、手にした人に委ねるものかなと。ビジネス的な視点ではなくて、「知りたいから知る」「伝えたいから伝える」というシンプルな部分を大事にしていきたい。目的は定まっていなくても伝え手と受け手の気持ちを等価交換できるような新しいコミュニケーションの形を模索しているところです。

取材日:2014年3月7日

★作品のご紹介★
仙台みやげ展

「クリエイターが創る、新しい仙台みやげ展」出品作品

「クリエイターが創る、新しい仙台みやげ展」への出品作品 ▽仙台経済新聞仙台 パルコでクリエーターによる「新しい仙台みやげ展」-過去最多150人参加 http://sendai.keizai.biz/headline/1474/

 

マッチ箱マガジン

マッチ箱マガジン

「マッチ箱マガジン」参加作品 ▽仙台市HP 温泉地の新しいおみやげ「マッチ箱マガジン」誕生! http://www.city.sendai.jp/report/2012/1206690_1414.html

 

株式会社グラフィック・トイ

  • 代表取締役:田村晋(たむらすすむ)
  • 設立年月:2011年5月2日
  • 事業内容:広告デザイン・グラフィックデザイン・CMプラン・キャラクターデザイン・内装デザイン・プロダクトデザイン・その他Tシャツデザイン・販売など
  • 所在地:宮城県仙台市青葉区国分町1-8-13 仙台協立第2ビル5階
  • TEL:022-398-4353
  • FAX:022-398-4353
  • URL:http://www.graphictoy.com/
  • お問い合わせ先:上記TEL
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