職種その他2014.09.24

「人間力」を高める独自の教育法で未来を担う子どもたちの成長をサポート

福岡
ペガサス株式会社 代表取締役 田中俊英氏
35年前、個別指導塾としてスタートしたペガサス。時代や社会のニーズを的確にキャッチして、塾のフランチャイズやパソコン学習の導入などにいち早く取り組み、今や全国に約400教室を展開しています。「やりたいことだけやればいい」という信念のもと、独自の道を力強く切り拓いてきた代表取締役の田中氏にお話を伺いました。

家庭教師の経験を活かし、少人数制の塾をスタート

田中さんが起業された経緯を教えてください。

私は大学時代に家庭教師のアルバイトをしていました。複数かけもちして、学生にしてはかなり稼いでいたと思います。当時から人に雇用されるのは苦手で、家庭教師の仕事なら独立できるという考えが頭の片隅にありました。 大学を卒業すると、いったん大手の家電量販店に就職しました。でも、店頭で販売する仕事は向いていないと感じ、3か月で退職。給料は学生時代のアルバイト代と同じ程度でしたし、嫌なことを続ける必要はないと判断したんです。 その後は、1年ほど塾に勤めました。塾から家庭教師として派遣され、どんどん生徒が増えたので休みなく働き、月30万円ほどもらっていました。たくさんお金を稼いでいるということが、自分の誇りでした。

人気の家庭教師だったのでしょう。

学生のときからやっていたので、子どもの接し方には慣れていましたからね。 25歳のとき、大学の友人と3人で「個別指導塾ペガサス会」を設立しました。 まずは家庭教師からスタートして、個別指導の塾を構えると、生徒は50人、200人、400人と年々増えて、5年後には塾が15か所、生徒は600人を超えていました。

短期間でそれだけ発展した秘訣は何でしょう?

「1クラス3名制」というキャッチコピーのおかげです。当時の塾は1クラス15名くらいで、多いと40名という塾もありました。その中で「1クラス3名」「個別指導」という点が注目されたのだと思います。

思わぬピンチから始まった 全国展開への挑戦

いいスタートですね。その後も順調でしたか?

それが、6年目に一気に下り坂になりました。といいますのも、ノウハウを持った社員が次々に辞めて、独立していったのです。会社は波に乗って大きくなったものの、社内の労務管理がしっかりしていなかったので、それが不満で辞めた社員もいると思います。

その時はどのように対処されたのでしょう?

独立する人たちを見送るうちに、「そうか、みんな独立したいのか」と気付き、塾をフランチャイズで展開することを思いつきました。そこで「株式会社ペガサスプランニング」を設立。当時、まだフランチャイズという言葉すらあまり世間に知られていませんでしたが、フランチャイズによる塾展開をスタートしました。

私は子どもを相手に授業をしていましたから、トークは得意。授業は子どもへのエンターテインメントです。全国各地をセールスで回り、今度は大人を相手に「起業を応援します」などと熱く訴えました。また、東京でフェアに出展したり、「アントレ」という起業雑誌に載せたりしてフランチャイズを募り、95年には関東・関西・中国・東北・北海道にフランチャイズの教室を開設しました。

パソコンで自立学習を促し 夢を描くことで意欲を高める

いち早く、パソコンを取り入れた学習もスタートされました。

はい、93年にパソコン学習システムを導入しました。当時、「パソコンで勉強するなんてダメだ」「横で先生が教えてもわからないのに、パソコンで学ぶなんて無理」などと言われましたが、私は素晴らしいシステムだと確信していました。それで、小学1年生から中学3年生までの5教科すべてに対応したパソコンソフトを独自に開発してきました。

個別指導事業が順調に拡大している中、なぜパソコン学習を取り入れようとお考えになったのでしょう?

教育は「技」20%・「心」80%というのが私の持論です。

「技」というのは、先生が教えるスキルのこと。学校の講義型の授業などは、教える技ばかりに意識や力が集中しますが、それではいけない。生徒が理解しているか、ノッているか…しっかり観察して対応することが重要です。そのために、教える部分の80%をパソコンに任せ、先生は間違えたところをサポートしたり、子どもたちが進んで学習する環境を整えるという役割を十分に担ってもらえるようにしました。

次に「心」の部分ですが、生徒の心を耕しやる気を引き出すには、何をしたらいいと思いますか? 将来どんなことをしたい、どんな人になりたいかという「夢」こそ、子どもが意欲的に学ぶ原動力になるのです。自分の目指す道や夢を見つけ、それを実現するために勉強する。私たちはまず子どもの夢を引き出し、実現するためのサポートをできればと考えました。

単に成績をあげるための塾ではないのですね。

今や学歴社会は崩壊しており、大事なのは学歴ではなく「人間力」です。私たちは成績をあげるだけではなく、人間力をつける教育に特化した学習塾だと自負しています。子どもたちは夢を描くことで自らやる気になり、学習意欲が高まる。そこで、私たちはマインドマップを利用して小中学生の夢を引き出し、夢をかなえるためのワークショップやイベントなども多数開催しています。また、パソコンを使う学習システムによって、受け身で学ぶのではなく、自ら考え答えを導き出すという姿勢が生まれ、自立学習の習慣がつき、自立した人間の育成にもつながっています。

夢を引き出してやる気を高め、パソコンによる学習システムで学力向上や自立学習を促し、人間力もつく。そんなペガサスならではの取り組みは、全国の子どもや保護者、フランチャイズのオーナーなどから高い評価を受け、今では日本中に約400教室を展開しています。試行錯誤しながらも、前人未到の道を進んでいるのです。

本当にやりたいことを 真剣に追求していけばいい

今後の展望についてお聞かせください。

これからの学習塾は、子どものメンタルを育てることも大事な役割です。勉強は夢を実現するための道筋であり、やればできると強く思うこと、そして何でもイメージすることから始まると考えています。人間できないことはない。根拠のない自信を持って、夢に向かって全力で進もうと子どもたちに伝えていきたいです。

また、パソコンの学習システムもさらに進化させていくつもりです。例えば、人間の忘却曲線をもとに、忘れた頃に復習するようなプログラムを開発したいですね。ただし、パソコンやデジタル技術は、あくまでも教育のための道具。教育の本質は、人間にしかできないと信じています。

最後に、あとに続く人たちにアドバイスをお願いします。

やりたくないことはやらなくていい、やりたいことだけやればいい。やりたくないことは、やってもうまくいかないのだから。やりたいことを一生懸命に追求していけば、足りない部分をサポートしてくれるパートナーがきっと現れます。 食べていくだけの人生は面白くないですよね。必死に自分探しをして、波瀾万丈になるかもしれないけれど、やりたいことをやって楽しく過ごしたほうがいいと思います。 20歳を過ぎたら、ひとりの人間として戦っていくことになります。切られたって、いいじゃないですか。年を取ったとき、その切り口ひとつひとつに思い出がつまっている。戦うことは生きること。自分のやりたいこと、夢に向かって突き進んでいきましょう。

取材日:2014年9月11日

ペガサス株式会社

  • 代表取締役:田中俊英(たなかとしひで)
  • 設立年月日:1980年4月1日
  • 資本金:2,000万円
  • 事業内容:学習塾フランチャイズ開発、学習ソフト開発販売、塾経営コンサル業務
  • 本社所在地:〒812-0013 福岡市博多区博多駅東2-17-5 ARKビル9F
  • TEL:092-477-2777
  • URL:http://www.pegasus-jp.com/
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