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WEB・モバイル2022.06.15

「過去の成功体験はいらない」  若者の新しい感覚を常にキャッチし、販促イベントやWebプロモーションを中心に企画から運営までワンストップで提供

福岡
株式会社ブレイクスルー 代表取締役
Koichi Ueda
上田 浩一

1989年、福岡で学生の短期派遣会社として創業したブレイクスルー。事業範囲をマーケティングや販売促進に少しずつ広げて、現在は企画から制作、運営、スタッフ管理まで一括して行う「ワンストップ・ソリューション」を確立しています。時流に乗って9年で売上が10倍になったり、ある時は逆にどん底を味わったりと波乱を乗り越えてきた同社。「諦めるわけにはいかない」と先を見据えて会社のかじ取りをしてきた代表の上田 浩一(うえだ こういち)さんに、会社の歩みや経営で工夫していることなどを伺いました。

学生の短期派遣サービスを引き継ぎ創業

上田さんは公務員から転職した会社の代表に、自ら就任されたそうですね。経緯を教えてください。

私は新卒から9年勤めた県庁職員を辞めて、1989年に弊社の前身にあたるキャンパスパワーに入社しました。面白い仕事をしたいと思っていたところ、友人が紹介してくれたのがきっかけです。 主な事業内容は、学生の短期派遣サービス。取引先の会社から依頼を受けて、スタッフを手配するという仕事で、イベントやキャンペーンなどにも派遣していました。東京に同じような会社があり、福岡にもその流れが来るとよんだ親会社の社長が、一部署を独立させて立ち上げたばかりでした。 私は営業を担当したのですが、請負単価が低めということもあり赤字続きで、結局6年で会社をたたむという話に。「それなら、私にやらせてください」と手を挙げて、会社を引き継ぐことにしました。今振り返ると、福岡ではまだ早すぎるビジネスモデルだったのだと思います。

黒字化しなかったのに、なぜ引き継ごうと思われたのでしょうか?

すでに取引先が約150社、登録スタッフは約1,500人いたので、どうにかできるのではないかと考えました。それに公務員を辞める理由の一つに、いずれは会社の社長をしたいという思いもありました。そこで、社名をブレイクスルーに変更して、1995年に社員5人で再出発しました。

社名の「ブレイクスルー」には、どんな思いが込められていますか?

毎日目を通していた日経新聞で、当時「ブレイクスルー(現状打破)」という言葉が使われ始めた頃でした。今やっていることをずっと続けていればいいはずがなく、私も社員も自分の壁を越えて成長していくことが、ひいては会社の成長につながる。まさにブレイクスルーしたいという思いを社名にしました。

時流の影響を受けて、浮き沈みを経験

再出発から、どのように事業を展開されたのかお聞かせください。

最初は前身の会社と同じように短期・単発アルバイトの手配をしていましたが、そのうちイベント会場の運営もするように。さらに現場だけではなく、もっと上流の企画から手がけられるようになろうと、広告代理店のもとで企画制作をするようになりました。1995年に売上約1億2,000万円でスタートした弊社は、9年後の2004年には売上が10倍の約11億円になりました。

9年で売上10倍とはすごいですね。

ちょうど携帯電話が社会に出てきて、その波に乗ることができたのです。九州各地の街頭や商業施設で行われる携帯電話の販促イベントを次々に担当して、ピーク時は社員が60人近くになり、鹿児島にも支社を作りました。 しかし、携帯電話やスマホが成熟期に入り、屋外イベントで認知を広める手法が下火になっていきました。7年ほどかけて売上も社員数も半分以下になりました。携帯バブル期に中途で入った社員たちはすべて辞めていきました。10年前のこの時期がどん底でした。それから7年かけてインターネットを活用したプロモーション事業に取り組み、経営はまた持ち直しています。

社会の流れをつかむことが大切なのですね。

携帯バブルによる浮き沈みを経験したことで、「このままではダメだ、地に足の着いた事業を育てなければいけない」と強く感じていました。屋外でマスに向けたフィールドプロモーションの時代から、インターネット上でキャンペーンやイベントを展開して、クリック数や訪問者などの数字に基づく販促が主流になると思い、Webプロモーションを新たな軸にしようと考えました。 まずはサイト制作ができる社員を採用して、全員でインターネット広告について学び、毎年社員を増やしながら仕事を拡大。2014年にYahoo!マーケティングソリューション パートナーになったのを皮切りに、Googleパートナー、LINE公式アカウント店舗向けパートナーにもなりました。

御社の強みや具体的な仕事内容について教えてください。

マーケティングや販売促進の企画から、販促物の制作、イベントやキャンペーンなどの準備と会場の運営、スタッフの手配・管理まで、一貫して自社で行うことができるのが当社の最大の強みです。また、Webサイトのデザインや制作、インターネット広告の企画・運用など、インターネットを活用したプロモーションも得意な分野です。イベントやプロモーションに関してリアルとデジタルの両方に対応できて、会社設立から33年の間に積み上げてきた多くのネットワークがあるので、本当に幅広く多種多様な仕事をさせていただいています。東京のナショナルクライアントの仕事もあれば、九州各地の会社や団体をサポートする案件もあります。 例えば、今オフィスに掲示しているポスターから具体的な仕事を紹介すると、ゴルフトーナメントの会場運営を10年ほど毎年行っていますし、コンサートの運営もやっています。また、有名な家具産地が主催するオンラインイベントのサイト制作から運営まですべてを手がけたり、ゲームコンテストの事務局を務めたりしています。

新型コロナウイルス感染症の影響もあったのではないでしょうか?

はい、2020年春からリアルイベントの仕事が一気になくなりました。ちょうど60歳になったので、還暦にして自己破産かもしれないと焦りました。しかし、秋から新型コロナウイルス関連の給付金申請の受付業務やワクチン接種会場の運営を請け負うようになり、2022年度は売上13億円で過去最高に達しました。

Webプロモーションを強化していきたい

今後の展望について教えてください。

コロナ関連の売上はたまたまめぐってきただけで、6年前から会社をしっかりデジタルシフトしたいと考えてきました。リアルもデジタルもできるプロモーション会社として、今は福岡でナンバーワンの存在と自負しているので、これからも先頭を走っていきたいです。そのためにはデジタルのWebプロモーションと、リアルイベントを2本柱に置き、安定した経営を目指します。 この仕事のやりがいは、誰もやっていないことをやれること。ブレイクスルーの精神で、みんなで新たな世界を切り拓いていきます。

経営や社員育成に関して、工夫されていることはありますか?

社内では会社の状況をオープンにしています。営業担当が15人いて、毎週1回個別営業会議を行います。そして担当別や業務別の売上を集計して、毎週、全社員に公開しています。大型案件をみんなで協力し合って担当することもありますし、営業一人ひとりはもちろん、みんなで上を目指して頑張ろうという動機づけになっていると感じています。

一緒に働くスタッフには、会社としてどのようなことを求めますか?

柔軟さですね。年を重ねるとどうしても考え方が凝り固まってしまいがちですが、プロモーション会社としては、これからの消費を作る若者に学ばなければいけません。若者がどんな感覚で生活をしているのか、常に新しい情報をキャッチしておく必要があります。 私自身も過去の成功体験はさっさと捨てて、明日、3年後5年後がどうなるか、どうなりたいのかを考えて行動するようにしていますし、折に触れてスタッフにもそのように伝えています。そして、何でも話しやすい雰囲気を心がけ、些細な情報でも上がってくるように意識しています。

取材日:2022年4月22日 ライター:佐々木 恵美

株式会社ブレイクスルー

  • 代表者名:上田 浩一
  • 設立年月:1989年7月
  • 資本金:1,000万円
  • 事業内容:フィールドプロモーション、Webプロモーション、イベントの企画制作、広告・宣伝の企画制作、マーケティング戦略立案、キャスティング、人材派遣
  • 所在地:〒810-0041 福岡市中央区大名2-6-5 天神西通り館6F
  • URL:https://break-net.com/
  • お問い合わせ先:092-715-0300

※掲載の社名、商品名、サービス名ほか各種名称は、各社の商標または登録商標です。

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