〈濃厚接触者〉に指定されました その2

東京都
編集&ライター
Juzooo
じゅーぞー

 クライアントの方が新型コロナウイルスを発症し、目出度く流行の最先端であるコロナウイルスの関係者となった僕。先方の事務所の方から連絡を受け、住所、携帯番号などの個人情報を報せた翌日、クライアントの方の自宅エリアを担当する保健所から、携帯に電話がかかってきました。 「あなたは、新型コロナウイルス感染症を発症した○○さんの〈濃厚接触者〉に認定されました……」  予告されていたとはいえ、「○○保健所です」という第一声が電話の向こうから聞こえてきた時、「あ〜、ついに自分も新型コロナウイルス禍(騒動)の当事者になってしまったのだな〜」という思いが、ジ〜ンと広がっていきます。  いつ、どれくらいの時間、○○さんと会っていたのか、その場面はどんな状況だったのか、自覚症状はあるのか、など色々と聞き取り(事情聴取)をされました。  僕がまるで自覚症状がないことを告げ、PCR検査について質問すると、保健所の人は意外なことを言い始めました。 「○○さんと接触してから今日が11日目ですね。元気で全く症状がないのでしたら、無理矢理PCR検査を受ける必要はありません」 「エッ!? PCR検査を受けなくてもいいんですか? 僕は〈濃厚接触者〉に認定されたんですよね」 「もちろん、ご希望でしたら無料でPCR検査を受けられますが、症状がないのでしたら、お勧めしません。PCR検査では、〈死菌〉といいまして、感染力のなくなった〈死んだウイルス〉にも反応しますので。他の人に感染させる可能性がなくても、PCR検査が〈死菌〉に反応して〈陽性者〉となった場合、条例に従って、その日から2週間隔離されることになります。そうなると面倒なことになりますから、お勧めしていません」  エッ!? 〈濃厚接触者〉に指定されてもPCR検査を受けなくていいの? 〈濃厚接触者〉になったら、半ば強制的にPCR検査を受けなくてはならないと思っていたので、保健所の人の発言には驚きました。現場のオーバーワークの問題? 検査の実費を国が負担しなければならないという予算の問題? など、いろいろな要因が考えられますので、僕は「わかりました」と言っていったん電話を切りました。  会社の上司に、保健所に無理にPCR検査を受けなくてもいいと言われたことを告げると、 「それでは困る。会社としてはPCR検査を受けて白か黒かをはっきりさせて欲しい」  と言われ、その日は早退し、自宅待機が始まりました。そして僕は、さる病院に設置された〈急速換気ユニット〉(写真)のなかで、PCR検査を受けることになるのです。                                           〈つづく〉

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