湊かなえ『告白』

湊かなえさんの作品は数多く映像化もされているので、どれかひとつは知っている作品があるのではないでしょうか。
私は『贖罪』から彼女の作品にはまり、小説を読んでは映画を観、ドラマを観ては小説を読んできました。
そして「私は湊かなえさんのファンです!」と言いながら気づいたのが、
デビュー作であり代表作の『告白』を読んでいない!
と言うことです。
『告白』を読まずして湊かなえは語れない、とこの度彼女の原点に回帰してきました。
ざっくりあらすじを紹介すると、
中学校教師の娘が校内で事故死するのですが、
「娘はこのクラスの人間に殺されました。」という教師の告白から物語が始まります。
娘はなぜ殺されなければならなかったのか、何が間違いだったのか、誰に殺されたのか。
被害者、加害者、加害者の友、加害者の家族という様々な立場から語られるこの事件は、
復讐が復讐を生み、悲しく残酷な結末へと向かいます。
一言で感想を述べることはできません!
登場人物それぞれに共感できるものがあり、同情できるものがあるからです。
自分がその立場に立ったとき、果たして彼らの行為を悪といえるのか・・・考えさせられます。
しかし被害者である教師の復讐だけは、そんな共感や同情をねじ伏せるかのように、圧倒的に達成されます。
ラスト1ページ、本当に残酷で、言葉を失います。
湊かなえさんの作品はよく「イヤミス(読んだ後に嫌な気分になる小説)」と言われますが、まさにそれ。
後を引く後味の悪さ。誰も幸せにならない結末。人情を正論で押さえつけられるような。
だが、それがいい!
最高です。「イヤミス」なのに読みたくなるのが湊かなえさんの作品の魅力ですよね。
デビュー作にして最高傑作と言われる湊かなえの『告白』。
ぜひ皆さんも読んでみてください!
画像:Amazonサイト
クリステ編集部 立川亮太