職種その他2021.03.08

映画「まともじゃないのは君も一緒」“普通”とは何か?を考えさせられる作品

新潟
コピーライター
4合わせDAYS
本望 典子


あらすじ

予備校講師・大野(=成田凌)は、独身・彼女なし。ずっと1人で大好きな数学の世界で生きてきた。今の生活に不満はないが、このままずっと1人なのかと不安になることもある。

自分だって普通に結婚したい。ただ、普通が何かわからない。

女の子とデートをしてもなんだかピンとがずれてくるような空気は感じているが、どうしていいのかは分からない大野。

教え子の香住(=清原果耶)はそんな大野を“普通じゃない”と指摘してくれる唯一の相手。大野は香住に「どうしたら普通になれる?普通を教えてほしい。」と頼み込むのだが…。


©2020「まともじゃないのは君も一緒」製作委員会


レビュー

久しぶりに恋愛映画を観た。10代女子のキラキラドキドキの学園恋愛ものではない、ちょっとコメディタッチの映画で軽やかな鑑賞感!

予備校講師と教え子という、ほどよい距離感もまた小気味良いテンポを与えているような気がします。

 


©2020「まともじゃないのは君も一緒」製作委員会

普段の何気ない会話の中でつい使ってしまう「普通は…」という言葉。

ひと昔前までは、〇才になったら学校を卒業して、会社に勤めて、そこそこ流行の服を着て、休みの日は趣味を楽しみ、〇才くらいで結婚して、子どもを産んで…。

普通に生きることを強いられていた時代だったように思う。

映画に登場する予備校講師が何歳か分からないが、「普通の27才男性」ってこんな人というイメージは、昔ならカテゴライズできたでしょう。

今は自由・個性の時代として、好きなように生きても非難されることはそうない。

 

しかし、映画を観て感じたのは、そんな時代だからこそ単純なことが難しくなってきているのではないかと。

全編を通して「普通とは何か?」を探し求めるふたり。

これは恋愛に限ったことではなく、仕事や学校生活、友人、子育て、地域交流…生活のすべてにおいて当てはまる。

「普通」でいなくてはいけないわけではない、しかしずっと「普通じゃない」ところにいるわけにもいかない葛藤。


©2020「まともじゃないのは君も一緒」製作委員会

私たちクリエイターは、「普通じゃない」ことを時として良しとされる仕事だ。

でも奇抜なアイデアばかりでは、クライアントにも一般消費者にも受け入れられない。

常識的な振舞いや言動、認識を持ちながらも、時として「普通じゃない」発想や提案を求められる、考えてみると結構面倒な職業だと思う。

 

本編の中で「職業なんて関係ない」という言葉が出てくる。

人を好きになる上で、本当は仕事も、服装も、過去もそんなに関係ないことなのかもしれない。

一緒にご飯を食べたり、笑い合ったりしたいかどうか。ただ、純粋にそう思える相手かどうか。

 

そう考えると、この映画は一般的な青春学園恋愛モノより、本質はずっとピュアなのかもしれない。

そもそも、一般的な恋愛映画ってなに?という問題も出てくるし。

とにかく恋愛するかしないかも、誰を選ぶか、どこに行くかも、全部好きに決めていい。

選択できる時代に生きる喜びを噛みしめよう、と思いました。

 


©2020「まともじゃないのは君も一緒」製作委員会

 


2021319日(金) ロードショー


 

出演

成田凌 清原果耶

小泉孝太郎 泉里香

 

作品概要

監督:前田弘二(『婚前特急』 『わたしのハワイの歩きかた』)

脚本:高田亮(『婚前特急』 『そこのみにて光輝く』)

主題歌:THE CHARM PARK「君と僕のうた」

音楽:関口シンゴ

プロデューサー:小池賢太郎(『キセキ ーあの日のソビトー』 『愛唄 ー約束のナクヒトー』)

根岸洋之(『リンダ リンダ リンダ』 『さよならくちびる』)

製作:「まともじゃないのは君も一緒」製作委員会

共同幹事:エイベックス・ピクチャーズ ハピネット

企画製作プロダクション:ジョーカーフィルムズ マッチポイント

公式HPhttps://poupelle.com/

 

プロフィール
コピーライター
本望 典子
広告企画やコトバに携わって20ウン年。振り返れば、歌詞制作やラブレターの代筆、ダメ恋愛のエッセイまで担当する何でも屋に。デザイン専門学校の非常勤講師として学生たちの感性にもふれる毎日。心が動いたモノ・コトへ直球ストレートなB型オンナ。

日本中のクリエイターを応援するメディアクリエイターズステーションをフォロー!

TOP