職種その他2021.01.12

SDGsの視点で見るオススメ映画(1)目標16:香港映画『十年』

東京都
編集ライター
映画とラテンと音楽と
JUNTO

2021年がスタートしたばかりですが、首都圏は緊急事態宣言により、新年のお祝いムードに浸ることもできず、巣ごもりの日々が続いています。

2020年の1月1回目のレポートで紹介した、国連が提唱したSDGs(持続可能な開発目標)。
少しずつ世間で認知されるようになってはいますが、まだまだ足りない気がしています。

ということで、今年はSDGsと絡めて、環境や社会問題を扱った映画を紹介していこうと思います。

1作目は香港が舞台の映画『十年』。
5人の若手監督による5つのショート・ストーリーで構成されたオムニバス作品で、
2015年から10年後の2025年、香港の“窮屈な”未来を描いた物語です。

この映画を見たのは4年ほど前でしたが、当時はまだ香港の人々が抱える危機感が日本に詳しく伝わっていなかったこともあり、今一つリアリティーを感じることができませんでした。
映画の出来も普通で、それほどインパクトは強くありませんでした。

でも、今、香港で起こっているニュースを目にすると、映画で描かれた規制や抑圧が、架空の話でなくなる日が近いのかも、とさえ思えてきます。
映画に出てくる主人公は、社会活動家や政治意識の高い人などではない、いわゆる普通の庶民です。
国家の批判をしたわけではないのに、普段使っていた言葉が使用禁止になったり、
好きな本を読めなくなったり…。
小さな自由が徐々に奪われていくことの恐ろしさを、肌で感じられる作品です。

SDGsの目標に当てはめると、「基本的自由の保障」をターゲットとした目標16「平和と公正をすべてのひとに」が当てはまります。

『十年』を撮った若い監督たちは、これから自分の思いを自由に表現できなくなるのだろうか…。

この作品は、香港で暮らす人たちの自由や人権について、考えるきっかけとなる映画と言えるでしょう。

『十年』
「エキストラ」クォック・ジョン監督
「冬のセミ」ウォン・フェイパン監督
「方言」ジェヴォンズ・アウ監督
「焼身自殺者」キウィ・チョウ監督
「地元産の卵」ン・ガーリョン監督
2015年/香港

 

プロフィール
編集ライター
JUNTO
普段は固めの記事広告ライター。ときどき映画やラテン絡みでもお仕事してます。 10年前に2年ほどブラジルに滞在して以来、ラテンカルチャーを日本で広めようと奮闘中。 写真は建築家オスカー・ニーマイヤーが設計したリオのニテロイ現代美術館。

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